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2015.05.13

10代女子はヨガパンツで学校へ 米国の急上昇中トレンド「アスリージャー」のいま

ナイキ:女性に特化したカタログ。50ページの特大号!

 春の訪れと共にワークアウトする人が増え、ますます拍車がかかって来たアスレチックウエア市場。NPDの調査によると、米国のアクティブウエア市場は昨年10月時点で、年間売り上げ$35b(約4兆2,000億円・1ドル=120円)を超す勢い!2020年までに、$100b(約12兆円)の成長が期待されるビッグ市場。先日発表されたPIPER JAFFRAY社の調査でも、高所得者家庭の10代女子の16%がファッション・アスレチックウエアを好んでおり、2009年の1.5%から増加。対してデニムジーンズは9.1%が支持、2010年の20.2%から減少しています。中間所得者家庭の10代は、学校にレギンスやヨガパンツを好んで着用しており、スポーツウエアを普段着として取り入れる『アスリージャー』トレンドは年々増加傾向にあります。そのため、ナイキなどのスポーツウエアブランドは勿論のこと、マス市場、スタートアップ、オンラインストア、ラグリュアリー市場、キッズ市場など、ありとあらゆるチャンネルの市場が、このブームに参戦し、熱いバトルを広げています。

白熱する女性向けアスレチックウエア

ノードストローム内で、ナイキレディースをフィーチャーした「ポップアップストア」

 ナイキでは、ルルレモンやギャップ社のアスリーターなど、アリスージャートレンドを含む婦人のアスレチックラインを最大限に強化しています。昨年カリフォルニア州ニューポートビーチにレディースに特化した婦人のみのストアを出店。平均160坪のストアではヨガクラスなどのスタジオや、トレーニングクラブなども提供。婦人のビジネスはメンズに比べ急成長しており、2017年までに現在の$5b(約6,000億円)から$7b(8,400億円)への成長を期待しています。アディダスの売り上げを上回り、米国でナンバー2のスポーツウエアブランドにのし上がったアンダーアーマーも、今年初旬に「レディース・マーケティング・キャンペーン」を立ち上げ、ジゼル・ブンチェンなどとの契約で、女性消費者へのアピールを強化。ノードストロームのポップアップストア(写真参照)でも、ナイキの婦人アスレチックアイテムをフィーチャー。モール内では、各所に50ページにも及ぶカタログが配置されています。また、ヴィクトリアズ・シークレットでも、スポーツラインの売り上げがスタート。2年で$200~250M(約240-300億円)に成長しており、この春にはスポーツラインを取り扱う店舗を150店増やしています。

「Asluxury-アスラグジュアリー」が急上昇!

先日ローンチしたスポーツに特化したメンズのラグジュアリーウエア「ミスター・ポーター」

 最近の動きで見逃せないのが、ハイエンド&ラグジュアリーブランドの展開するスポーツウエアの急成長。ラグジュアリーブランドを取り扱うオンラインショップ「Net-A-Porte(ネッタポルテ)」で昨年夏にローンチした「Net-A-Sports(ネッタ・スポーツ)」では、立ち上げ当初の16ブランドから61ブランドの取り扱いに増加、想像を超える成長を遂げている事が伝えられています。また、メンズの「Mr Porter(ミスターポーター)」でも先月スポーツブランドに特化した「Mr Poter Sport(ミスター・ポーター・スポーツ)」をローンチ。ランニング、トレーニング、サイクリング、ゴルフ、テニスなどのスポーツ向けのスポーツアパレルと雑貨を世界170カ国に向け販売をスタート。アスレチック+レジャーを組みあわせた造語、『アスリージャー』はすっかりお馴染みとなりましたが、アスレチック・ハイファッションを意味する新造語『Asluxury-アスラグジュアリー』市場が急成長中です。

スイートスポットを狙う「オールドネイビー」

3種の消費者層をカバーするギャップ社のアスレチックウエア

 そして、もう一つ気になるのが、マス市場の動き。本来のアパレルビジネスでは苦戦が続いているギャップグループでは、以下の3つの価格帯、消費者をカバーしたアスレチックウエアの展開で巻き返しをはかっています。

 

●オールドネイビー:ファミリー層をターゲットにした、低価格帯のアスレチックウエア。

●ギャップ・フィット:ギャップブランドの中で展開する、中間層を狙ったアスレチックウエア

●アスリータ:様々なスポーツをカバーしたアクテイブウエアに特化したストアチェーン。現在100店舗以上あり急成長。ヨガウエアのルルレモンの最大の競合店となっている。

 

 その中でも、オールドネイビーが狙う低中所得のファミリー層は、アスレチックウエア市場の中で最大のスイートスポットでもあり、今後の動きが期待されている。同社では、実は2011年から、アスレチックウエアラインをスタートしていますが、ここ数年のブームに先駆け、ナイキで14年の経験がある人物を商品開発部の副社長として迎えたり、プーマ、アディダス、ザ・ノース・フェイス、リーボックなどで経験を積んだ人物をシニアデザイナーとして迎えるなど、スポーツウエアに精通した人材を雇用する事で、商品開発を進め、数年に渡り実験的に展開をしてきました。 この秋には、『暑く感じた時にクールダウン』『寒く感じる時に体温をあげる』『汗等で濡れた時に速乾性がある』―この3つのシチュエーションに対応する様々なハイテク素材を取入れた商品を展開。それでも価格帯は、ヨガパンツ(15ドル)レースバックタンクトップ(10ドル)スポーツブラ(7ドル)など誰にでも手に届く低価格のスポーツウエアの提供でマス市場をマークします。先月リリースされたプロモーション動画でも、アスレチックウエアをフィーチャーしたクールなイメージを打ち出しました。

 

 「プラネット・フィットネス」に代表される、ひと月で10ドルぽっきりのジム・チェーンなど低所得者層・ファミリーをターゲットにしたサービスも続々登場しており、アスリージャートレンドは、マス市場でもますます過熱。そういった客層をターゲットにしている、オールドネイビーは1,000店舗以上ありますので、このスイートスポットにハマれば「アフォーダブル・アスレチックウエア」として、かなりの売り上げが期待できるのではないでしょうか。


Old Navy:BUILT FOR SPRING(US)

参考サイト:
月10ドルのジム・チェーン「プラネット・フィットネス」
http://www.planetfitness.com

ミスター・ポータースポーツ:
http://www.mrporter.com/Content/sport_landing


 

 

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