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2025.09.27

旧村上ファンドが高島屋株取得、その狙いは?

 旧村上ファンド系の投資会社・シティインデックスイレブンスが、村上世彰氏の娘である共同保有者の野村絢氏との合計で、高島屋株を5.32%保有していることが分かった。

 

 高島屋株は9月に入ってから急騰しており、1カ月で約25%上昇している。大量保有が発覚した22日には8.19%上昇し、1644.5円で取引を終え、年初来高値を更新した。

 保有目的は「投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行う」としている。

 旧村上ファンドは、2005年には阪神電鉄へ買収を仕掛け、2024年には京急株と京成株を取得していることで話題になったが、高島屋株大量取得の目論見とは何だろうか?

 

●なぜ高島屋なのか?

 

 今回の大量保有は、高島屋が競合他社に比べて割安に放置されているのも、狙われた原因の一つと言われている。

 

 三越伊勢丹HD(PER17.5倍、PBR1.78、以下同)や、大丸松坂屋などを運営するJ・フロントHD(20.9倍、1.5倍)に比べて、高島屋(12.2倍、1.04)はまだまだ割安感がある。

 2026年2月期は免税売上が伸び悩んでいるが、不動産事業や金融関連事業の収益力が高く、最終利益は過去最高を更新すると予想されている。

 魅力的な資産、株主還元が弱い、生え抜き人事中心の硬直的なガバナンス・・・。

 旧村上ファンドに狙われやすい傾向の企業とも言える。

 

●百貨店の再編待ったなし?

 

 高島屋に限らず、百貨店業界は再編が叫ばれて久しい。

 この10数年、インバウンドに助けられていた面があるが、インバウンド客へのラグジュアリーブランドなどの売上は頭打ちとなっている。

 2025年の免税売上は、前年にコロナ禍から大きく回復した反動で、各社共大幅に前年を下回っている。

 EC(ネット通販)の拡大などで若年層の百貨店離れは進み、店舗維持コストは高く、ラグジュアリー強化戦略によるインバウンド頼みにも限界がある。

 旧村上ファンドが高島屋にどのような戦略を描いているかは不明ではあるが、競合他社との合併などで選択と集中を進め、企業価値を高めたいという狙いもあるのだろう。

 旧村上ファンドが現在進行形で株式取得を進めている京成・京急や、フジ・メディアHDも含めて、どのような要求をするか注目される。

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