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2018.11.30

AIを使いアプリユーザーの離脱を防止 リプロがサービスのβ版提供を開始


AIが予測したユーザーの再訪確率と、実際の再訪率の誤差(図:リプロの発表資料より)

 モバイルアプリのマーケティングツール「リプロ」を提供しているリプロ(東京都渋谷区)は28日、アプリの利用をやめそうなユーザーを人工知能(AI)が予測し、効果的にプッシュ通知や広告などを配信する新サービス「スマートオーディエンス」のβ版(試用版)を提供開始した。漫画誌アプリで行った実証実験では、ユーザーの行動を約90%の精度で予測し、ターゲットを絞って通知や広告を送信することでコストを約85%削減できたという。

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 β版の提供を始めたスマートオーディエンスは、アプリの利用をやめそうなユーザーをAIが行動履歴から予測し、特典や広告、利用促進のメッセージなどを送信するターゲットとして指定する。これによって、ユーザーの利用頻度を分析する作業の負担を軽減することができるほか、特典を付与するユーザーを絞り込むことができるようになり、マーケティングにかけるコストを削減することができるという。

 同社はβ版の公開に先立ち、集英社(東京都千代田区)が運営する漫画誌アプリ「少年ジャンプ+」で実証実験を実施した。

 実証実験では、AIがアプリから離脱しそうな傾向にあるユーザーを抽出することができるかどうかを検証し、さらに、こうしたユーザーに特典を付与した通知を配信すると、再訪するユーザーが増加するかどうかを調べた。その結果、AI が予測した再訪確率と実際の再訪率との誤差は10%以内となり、高い精度でユーザーが再訪するかどうかを予測できることを確認。また、再訪確率が低いと予測したユーザーをターゲットに特典を付与した「プッシュ通知」を配信したところ、再訪率が上昇した。

 この結果をもとに、従来の方法で「プッシュ通知」を配信したときと、AIによってターゲットを絞ったときのコストを比較すると、従来の方法に比べ85%のコストを削減できたという。

 同社は「従来の、すべてのユーザーに特典を配信する利用促進策では、特典がなくても利用するユーザーにまで配信してしまい、必要のないコストがかかっていた。AIでターゲットを絞ることで、ユーザーと最適なコミュニケーションを図ることができ、より効率的なマーケティングが可能になる」としている。


再訪確率別のユーザー増加率

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