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2018.09.06

京東集団 日本商品の仕入れ拠点新設、仕入高を1年で倍に

 中国大手のネット販売事業者で仮想モール事業なども手掛ける京東集団は日本商品の調達を強化する。都内に専用拠点となる「京東日本購買センター」を開設し、従来、中国で行っていた日本の事業者との商品買い付けを日本国内で直接行い、完結できる体制とした。あわせて購買システムを日本語化したり、販売支援体制を強化することで今後、1年間で日本商品の仕入高を現在の倍まで増やす考え。同社の越境ECサイトで人気の高い日本商品の品ぞろえの拡充で売り上げ拡大を目指す狙い。
 
 京東はおよそ3カ月前に東京・大手町の日本法人のオフィス内に新設した日本商品の仕入れ拠点「京東日本購買センター」を9月3日から本格稼働させる。京東はこれまでも約1年前に設置した日本法人で大手事業者を中心に仕入れ交渉や越境ECサイト「JDワールドワイド」への出店を促すなど営業を進めてきたが、日本法人の役割は営業窓口であり、人員も限られていた。また、商品の仕入れに関する契約は中国で行っており、当然、日本には買い付けを担当するバイヤーもいなかった。開設した「購買センター」には商品調達部門を移管し、複数のバイヤーを置き、日本国内で仕入れが完結できるようにした。あわせてこれまで中国語および英語のみの対応だった購買システムを日本語でも対応できるようにし、契約内容も日本にあわせた内容に改め、契約を結びやすくした。また、従来までの米ドル建てでなく日本円での決済ができるようになり、為替リスクなどがなくなるというメリットも出てくるようだ。
 
 加えて、販売支援体制も強化。「越境ECによる商品配送でも日本直送型や中国での保税倉庫ストック型など色々なパターンがあり、商品のジャンルや売れ行きに応じて最適な形がある。あるいは仕入れという形ではなく、『出店型』として当社サイトで商品を販売して頂く形もある。日本で直接、日本の事業者とコミュニケーションを取りながら販売形式ややり方などを相談し決めることができるようになることで、それぞれの事業者の要望や商品の特徴に合致した形での契約が可能になる。また、中国の消費者の嗜好に合わせた商品選びやプロモーションの最適な方法などの相談にも乗りやすくなる」(京東越境ECの総責任者・楊葉氏)という。
 
 今後、日本での取引拡大に応じて「購買センター」の規模を拡大していく意向で、ベビー・マタニティー用品や化粧品、サプリメントなど現状、中国で売れ筋となっているジャンルのさらなる調達強化に加えて、ファッション関連商品や食品、日本の伝統工芸品などの調達も進めたい意向。1年後には日本からの仕入量を現状の倍まで拡大させたい考え。「『JDワールドワイド』の取扱商品の20%を日本の商品が占めており、いかに中国の消費者が日本の商品を信じて好んでいるかが分かる。越境ECは中国ではものすごい勢いで伸びており、今後、5年間も年率50%以上の伸び率を保っていくと予想されている。我々のサイトの3億人のアクティブユーザーに高品質な日本の商品を提供していきたい」(王笑松高級副総裁)という。
 
 なお、京東では越境EC事業の拡大に向けて、海外での商品調達を強化しており、日本と同時期に韓国でも「購買センター」を設置しており、今後、米国や欧州でも仕入れ拠点の設置を検討しているようだ。
 
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