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2019.09.05
ドゥクラッセ 大型店拡充しメンズ強化、店舗事業で今期100億円へ
DoCLASSE(ドゥクラッセ)は今期(2020年7月期)、実店舗の大型化とメンズ取り扱い店の強化などに取り組む。
同社の実店舗事業は、岡田峰昌ドゥクラッセザストアCOOが5年前に当該事業の責任者に就任して以降、アパレル店頭小売りのノウハウを注入して成長軌道に乗った。店舗数の拡大に加え、カタログや新聞広告、自社ECといった通販チャネルの成長とブランド認知の拡大も追い風となって実店舗事業の売上高は15年7月期の20億円に対し、16年7月期が28億円、17年7月期が40億円、18年7月期が57億円、19年7月期が75億円と高い成長率で推移。今期は大台の100億円を計画している。
ドゥクラッセの全社売上高に占める実店舗事業の割合は3分1程度まで拡大。通販チャネルは同社の屋台骨だが、今後の出店戦略に合わせて実店舗事業の割合はさらに高まりそうだ。
19年7月期の新規出店店舗(約10店舗)の平均面積は200平方メートル以上で、従来の平均面積約115平方メートルと比べて倍近い面積で出店。店舗の大型化に伴い、そのほとんどが主力のレディースだけではなく、メンズとの併売店としてオープンした。
前期は既存店売上高が前年比12~13%増で着地。上位10店舗の売上高が2億円を超え、上位20店舗は出店する商業施設のフロアで売り上げ1位だったという。また、上位店舗だけでなく、下位店舗も好調で店舗事業の底上げにつながった。
MD面では毎月発行するカタログの掲載商品を店頭ですべて展開できるわけではないため、実店舗では強化品番を設けてトップラインを上げる取り組みを継続。テレビCMで紹介した商材はかなり在庫を積んだという。
同社では昨冬の大ヒット商品「マジカルサーモコート」のテレビCMを放映した18年11月単月の店舗売上高が前年同月比約50%伸びるなど、当該商品1品番が店舗売上高の30%程度を占めた時期もあった。
既存店売り上げが前年比2ケタ増となった要因は、こうした広告媒体との連動が奏功したほか、ドゥクラッセの認知度が高まってきていることもプラス材料になった。
上位店については、関西の旗艦店である大丸梅田店は6億円超で前年比10%以上伸び、好調を維持した。昨年6月にオープンした大型店の新宿アルタ店(店舗面積約528平方メートル)は東の旗艦店としてブランド認知向上に大きく貢献したと見ている。
神戸に最大店舗、事前告知で成果
今後の出店戦略は店舗の大型化を前提とする。一環として、8月23日には三宮オーパの別館1階に神戸三宮センター街店(約562平方メートル)を開設した(画像)。同店は新宿アルタ店と同規模の大型店で、西日本では同社最大の店舗となる。レディースとメンズに加え、雑貨を強化する。これまでファッション雑貨専任のMDはいなかったが、新たに専任者を採用して臨んでいる。また、店内奥にはアウトレット商材のエリアを設けるなど幅広い商品を提案する。
神戸の新店では、オープン前の4月20日~7月15日まで、店前スペースでポップアップを展開。「ドゥクラッセTシャツ」のテレビCM放映に合わせて同商品を販売した結果、1カ月を通じて展開した5月と6月はそれぞれ単月で1000万円以上を売り、予想以上の成果を得た。
事前に店前でポップアップを展開することで本オープンに向けた宣伝にもなり、「オープン前から認知度を高めるとともに、期待感も醸成できたのでは」(岡田COO)としており、本オープン当日には100人以上が開店時間前に並ぶ盛況ぶりだった。同社では、神戸三宮センター街店の初年度売上高は年間5億円を計画している。
9月13日には関東の最大店舗である新宿アルタ店をリニューアルオープンする。同店はこれまでメンズ売り場が店の一番奥にあったが配置換えし、正面入り口からメンズ商材があることを分かりやすくする。また、神戸の新店と同様にファッション雑貨を強化する。
一方、グループの婦人靴ブランド「フィットフィット」は新宿アルタ店から抜ける。ドゥクラッセとフィットフィットではターゲット層が若干異なるほか、ドゥクラッセで進める店の大型化とフィットフィットの店舗の勝ちパターンが違うことから、フィットフィットは独自の出店戦略を進めることになった。
ドゥクラッセは店頭購買客の中心が50代後半なのに対し、新宿アルタ店は40代後半~50代前半と若めのため、客層にふさわしいMD、VMD戦略を実現していく。
同社によると、新規出店店舗のオープン初年度から2年目の売上高の平均伸び率は1・4倍と高く、新宿アルタ店の今期は改装の実施もあって同水準の成長を目指す。
メンズ取扱店22店舗に拡大
出店計画についてはこの数年、顧客層の近いユーザーが利用している百貨店への出店を強化してきたが、丸井やパルコ、イオンなどが従来のターゲット層よりも上の年齢を狙ってきていることから、今後は百貨店だけでなく、これまで出店がなかったり、少なかった商業施設、ショッピングセンターへの展開も視野にあるようだ。
出店エリアは関東と関西を重視し、テレビCMの受け皿としても連動しやすい体制を強化する。ドゥクラッセの店舗数は19年7月末時点で52店舗。そのうち60%強が関東と関西で、今期も両エリアを強化する。20年7月末には10店舗増となる62店舗体制を整備する計画だ。
店舗の大型化と並行してメンズの強化にも取り組む。今年8月末時点でレディースとメンズ商材が買える併売店舗は20店舗、メンズ単独店舗も2店舗あり、メンズ取り扱い店舗は合計22店舗に増えた。今後の出店も基本的にはメンズとの併売店として出店する。
一方で、店舗事業の課題のひとつは店独自の集客だ。これまで同社では新聞広告で新客を開拓し、広告を見た消費者が実店舗に来店するケースも多かった。足もとでは新聞広告からテレビCMに広告媒体の比重を移しているが、今後はイベントなど各店での集客施策の精度を高める必要があるという。
同社では、4年後の23年7月期に全社で売上高1000億円を計画する(内訳は非公表)。カタログとEC、リアル店舗の3チャネルそれぞれで強みを発揮していく。1000億円企業を目指すフェーズでは、「海外展開が必要になる」(岡田COO)としており、海外を視野に入れながら当面は国内基盤を強化するが、実店舗に先がけて越境ECの展開などはありそうだ。
また、従来は販売チャネルごとに収益構造の確立や売り上げ拡大に取り組んできたが、次のステージではチャネル間の融合にも取り組む。とくに、通販チャネルでは紙媒体からウェブへのシフトが不可欠なことから、リアル店舗の来店客に顧客情報を登録してもらうなどCRM基盤の充実化を図っていく。