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2019.09.05
【aCL八津川社長に聞く 仮想モール名称変更の狙い㊦】 「ようやく体制が整った」、テレビCMで新規流入期待
前号に続き、auコマース&ライフの八津川博史社長(=写真)に、優待サービス会員向けに始めた送料無料サービスの狙いなどを聞いた。
――有料の優待サービス「auスマートパス(スマパス)プレミアム」会員向けに、ワウマで購入した商品の送料が無料になる特典の提供を開始した。
「おもてなしの部分や対応速度など、基準を満たした店舗から始めている。新たにスマパスプレミアムに加入する顧客が増えたり、スマパスプレミアムの価値を再確認する顧客が増えたりした結果、auの利用者増にもつながるのではないか。今まで通信のauを使うだけだったのが、当モールを使うことで、auの他サービスも使うようになるなど、顧客とのエンゲージメントが高まるきっかけになると思う。送料無料サービスを知り、今まで他の通販サイトで買い物をしていたが、auワウマもチェックするようになる。グループ全体での顧客とのタッチポイント増加につながる施策ではないか。『スマパスプレミアムの顧客は、買い物の際にまずワウマをチェックする』というように、習慣化してもらうことが重要だ」
――スマパスプレミアムの契約者増までつなげるには、かなりの店舗が送料無料に対応する必要があるのでは。
「顧客に支持してもらえるような店舗や商品がきちんとおすすめできる形にしなければいけない。対応商品が探さないと出てこない状況では意味がないので、ラインアップとして整っている状態にしていきたい。また、プレミアムな商品の品質がいまいちだったり、配送が遅れたりした場合、最初の期待値が高かっただけに、顧客の反応が逆に振れる可能性がある。そういったことは回避しなければいけないので、品質は大事にしなければいけない」
――新たに「店舗スコア」も始めた。
「スコアもかなり溜まってきたので、信頼性をものさしにできればと思っている。良いスコアを取ることを店舗の目標にしてもらうなど、良い流れにしていきたい。また、新たなサービスとしてオンラインサロンを設けたが、当モールは規模が小さい分、他モールよりも一歩踏み込んだ店舗との付き合いができる点が強みでもある。サロンを生きたコミュニティーにしていきたい」
――送料無料は大型商品や冷蔵・冷凍商品にも対応するのか。
「そこは今のところ垣根を取り払って考えている。商品数が増えてきたら、原資を出す当社の負担が重くなるのは事実だが、こういった商品を取り揃えていることで、顧客に喜んでもらえるのは事実。『大型や冷蔵・冷凍だから対象外』というやり方はせずにコマを進めていきたい。北海道、九州・沖縄、離島などへの配送についても同じ。『離島だからサービス対象外』という考え方は現時点では無い」
――8月5日からテレビCM放映を開始した。
「auの人気テレビCMである『三太郎シリーズ』の座組みで、買い物を打ち出すのは初だ。『auワウマ』になったことがすぐ分かる内容で、当モールに来てもらうきっかけになるのではないか。『三太郎』というauのメインキャラクターと一緒になって動いていくというのは、店舗からも期待してもらっていた部分だと思うし、KDDIのネット販売に対する本気度を、きちんと形として示していけると思う」
―― 新規顧客の流入も増えそうだ。
「これまでワウマとauのブランド認知はずれていたと思うので、合致する流れになる。かなり楽しみにしている。au利用者向けの『au ID』とそれ以外の携帯電話利用者向けの『Wow! ID』を統一することで分かりやすくなっており、当初店舗にお約束した、KDDIとして総力を挙げてネット販売に取り組む体制がようやく整ったのではないか」
――10月には消費税増税を控えている。
「8月から先んじて『auにロイヤリティーがある顧客はauワウマで買い物をしてもらう』という仕掛けを行っており、その流れで増税前の商戦に入っていきたい」(おわり)