NEWS

2023.12.31

《ニュース2023》脱・人手不足 多様な人材の「活躍」を模索

「苦労して採用したものの、退職したいと申し出があった」と産地企業の経営者は頭を抱える。優秀な人材がすぐに離職してしまうようでは、企業は未来を描けない。繊維製造業では深刻化する人手不足から抜け出すために、多様な人材の雇用強化や働きやすい環境作りが進んでいる。

 

働きがいも重視

 テキスタイルメーカーの葛利毛織工業(愛知県一宮市)の葛谷聰社長は「当社や毛織物産業で長く働いてもらいたい」と考え、副業を認めている。

 同社で働きながらブランドを立ち上げる社員や、ハーブティーの研究をする社員がいるという。異業種の価値観が交じり合うことで相乗効果が生まれ、本業にも良い影響があると話す。

 プリント加工の坂口捺染(岐阜市)は残業を基本的になくし、出退勤時間を自由にした。シングルマザーや介護中の人、定年を迎えた人、特別支援学校の卒業生など、個々の事情に合わせた働き方を整える。

 最近では〝働きやすさ〟だけでなく、〝働きがい〟も重視する。12月にオープンした古着店で、仕入れたもののそのままでは販売できない古着は、プリント事業のネーム付け作業のために内製化した縫製部門がリメイクを担う。

 「シニア層が長く働けるようにと内製化した縫製だが、リメイクした商品が世に出て売れることでモチベーションにもなるのではないか」と坂口社長は期待を寄せる。

メールマガジン登録