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2022.08.23
Z世代の心を掴むインクルーシブ・サステナブルブランドとそのコミュニケーション事例3選
1990年代後半〜2010年代前半にかけて生まれたZ世代。
真のデジタルネイティブともいえるこの世代は、日米それぞれの国で、アメリカ全体の約42%、日本全体の30%の人口規模を占めており、今後の最も重要な消費者セグメントになっていくことが予想される。
Z世代の購買にまつわる特徴
1. あまり派手にお金を使わない堅実派
Z世代はリーマンショックなどの不況や社会不安の経験が影響しており、消費に対して保守的な傾向が見られる。
「将来的に安定した生活を送っていきたい」と考える人が多く、貯蓄や節約に高い関心を持っている。
Z世代が堅実であることを示す一つが、25歳時点で毎月貯蓄に回すお金がどれだけあるかを示したこちらの図。
世代が若くなるにつれて、自由に使えるお金は減るものの、貯蓄額は増加。Z世代は、3世代で唯一、自由に使えるお金を貯蓄額が上回る結果となった。
2. 消費に対する情報収集が活発
Z世代は、Instagram、TikTok、YouTube、TwitterなどのSNSを含め、あらゆるデジタルチャンネルを用いて情報収集をすることに慣れている。
ゆえに、商品の購入を検討する際は、複数のチャンネルから商品の情報を得て、あらゆる角度から吟味する傾向にある。
例えば日本では美容系Youtuberによる「コスメレビュー」動画が人気を集めているが、それはアメリカでも同じだ。
実際に商品やサービスを利用した第三者による口コミやレビューといった「生の声」をもとに、「自分に合っているサービスなのか」、「買って失敗しない商品なのか」をシビアに見極めているといえる。
3.「モノ」消費<「コト」消費
モノを所有することに対しての執着が少ないZ世代は、「モノ」の購入ではなく「コト」を購入する動きが見られる。
ここで言う「コト」とは、スポーツ観戦・映画・自分が好きなアーティストのコンサートなどの体験に対する消費のこと。それらへの投資には積極的な傾向がある。(参考)
4. 本質的に自分が共感するもの・価値を感じるものに投資する「イミ」消費
イミ消費とは、ホットペッパーグルメ外食総研エヴァンジェリストの竹田クニ氏が提唱した概念で、ある商品を消費することにより生まれる社会貢献的側面を重視する消費行動のこと。(参考)
イミ消費の一例として、ノンプラスチックなどの地球環境保全につながる商品、無化学・無添加の商品、アニマルフェア・フェアトレードな商品の購入が挙げられる。
特に若い世代から支持を集めており、上記の傾向の一つとして、地球環境の持続可能性を重視する「サステナブル」なブランドへの関心が人一倍高い。
この関心の高さの理由は、今世界で起きている社会問題や環境問題にSNSを通じて手軽に触れる機会が多く、「それらの問題に対する当事者意識が芽生えやすい」ことが1つとして挙げられる。
そのため、個人よりも影響力の大きい企業などの組織や、ブランドにも、彼らの価値観や信念を尊重し、社会的問題に対し何かしらの姿勢をとってほしいと感じやすい。
ブランドの世界観に共感できる、ブランドが目指している世界に共感できる、と感じた商品をより購入する傾向にある。
事実、アメリカのZ世代を対象とした調査ではサステナブルな製品には10%以上の出費をいとわないというデータもある。
5. 多様性を尊重した選択をする
SNSに慣れたZ世代は、物心ついた時から多様な価値観に容易に触れることができていたため、自然と個性を尊重し、多様性を認める倫理観・価値観を前提に生きている。
そのため、多様性の需要を表明しているブランドやメッセージングにどの世代よりも敏感で、共感しやすい。
上記の傾向の一つとして、全ての人を対象にすることを表明する「インクルーシブ」なメッセージを発しているブランドへの関心が、他の世代よりも高い傾向にある。
その一例として、Qualtrics社による調査では、Z世代のFacebookやInstagramユーザーの77%が、ソーシャルプラットフォームでジェンダー平等のテーマを推進するブランドを「より好意的に受け止める」ことが明らかになった。(参照)
以上、Z世代の消費行動を5つに分けてお伝えした。
改めて上記の特徴をまとめると、Z世代の消費行動として、商品を購入するときは「たくさんの情報をもとに比較検討し、自分の共感する世界観を発信しているモノやコトに対して、堅実に投資する」傾向を持っているといえる。
今回はそんなZ世代の心を掴んでいる、アメリカ発のインクルーシブ/サステナブルな3つのブランドの、発信しているメッセージと、Z世代に向けた効果的なコミュニケーションの事例をご紹介する。