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2017.10.03

VR、AR、ドローンで体験する次世代アートとは

media-art

「なぜVR/AR・ドローン x アートなのか?」

まず、上記の質問にお答えする前にメディアアートに関して説明させて頂きたい。メディアアートとは、芸術表現に先端メディアテクノロジー(20世紀当時はコンピューターや電子スクリーン等)などのこれまでになかった技術的発明を利用または開発して生み出される芸術のジャンルのことを指し、主に20世紀中盤より広く知られるようになった。

2017年は、この流れの最前線がVR/AR・ドローンを活用したアートになるということだ。つまり、絵画だったアートがメディアの進化に伴いその表現性をデジタルの場に広げ、今となってはVRで没入するアートやARを活用して現実空間にアートを投影する作品、そしてドローンを駆使して空に光を映し出すアートなどが誕生したのがここ数年の傾向である。

そして、メディアアートという進化を遂げていく中でVR/AR・ドローンの普及に伴い、アート表現も進化したと言えるだろう。

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次世代アートの新しい可能性とは

前述したように、VR/AR・ドローンがここ数年で進化したことでアートの表現方法も一緒に進化そ、これにより3つの可能性が生まれると思われる。

鑑賞者の体験がよりリアルに

1つめは”鑑賞者”の体験がよりリッチになること。特にVRを活用したアートに見られるが、もはやアート作品に完全に没入してあたかもその作り出された世界観の中で生きている体験が可能となった。見た目だけでなく、音楽から触れたときの体験までデザインされたアートは今までになかった五感を刺激するアートに進化してゆくのではないだろうか。

企業による活用

2つめは、企業によるアートの活用を挙げたい。例えば新製品の体験イベントでVRアーティストとコラボレーションして、アートによる製品・サービスの使用感を伝え、新しいユーザー層の購買に繋げることもできるし、イベント会場やスポーツの競技場ではドローンを使ったアート作品の展示を休み時間に行い、顧客の満足度を高めることもできるだろう。

なお最近のトレンドとして、Googleが開発したVRペイントアプリ「Tilt Brush」が世界中で話題になっている。今後このようなアプリが益々増え、エンターテイメント業界を中心に活用されていくと考えられる。

場所を選ばないアート

3つめは、場所を選ばずに体験できるということ。今まではアート作品は美術館に足を運ばないと観れないものが多かったが、VR/ARのアート作品であればヘッドセットや関連ツールさえあれば自宅で楽しむことができる。「持ち運び可能」であるアート、それがVR/ARアート特有の特徴だろう。

注目のメディアアート作品3選

上記で述べたような可能性に取り組むアーティストが今後増えれば、私たちの生活や購買体験はどんどん変わっていくはずだ。それでは、ここで既に実在するVRやドローンを活用したメディアアートの作品をご紹介したい。

1. 国内VRアート

まずは日本人のアーティストのVR作品をご紹介したい。国内でユーチューバーとして知られているせきぐちあいみ氏は、2016年11月にクラウドファンディング「GREEN FUNDING」にてVRアートプロジェクトを開始。

プロジェクト達成率348%、約174万円の資金を調達し、今年の2月にVRアート個展「Daydream Reality」を開催した。今後は、VRゴーグルによる視覚だけでなく、聴覚、嗅覚、味覚、触覚など全ての五感を刺激するようなVRアートを制作していく予定だ。

[embed]https://www.youtube.com/watch?v=MlA4amRCLS8[/embed]

2. 英国発VRアート

海外事例として、執筆者が英国・エディンバラで体験してきたVRアートもご紹介したい。VRの専門家と音楽の専門家が協力して制作したVRアートが2016年、英国・スコットランドのエディンバラで開催された「Edinburgh Art Festival」の会場の一つ、エディンバラ大学内で展示された。

この作品では、Jess Johnson氏が制作した異空間に、VRヘッドギアで鍵に目線を合わせてドアを開け、中の異空間世界を進んでいくという、実にユニークな作品だ。

[embed]https://www.youtube.com/watch?v=LbJ1LI_QXIU[/embed]

3. ドローン x 富士山 「Sky Magic」

次にご紹介したいのはMicroAd社の手がけるドローンによる空間情報化サービス「Sky Magic」。複数のドローンの活用により、光と音をシンクロさせ、イベント、祭り会場、花火大会、球技場、ファッションショー等の表現空間を拡張させるプロジェクト。

ドローンを活用したアートでありデザインでもあるこのプロジェクトが今後どのような影響を与えるのか、ぜひ注目していきたい。

[embed]https://www.youtube.com/watch?v=5WWwvIgGbkg[/embed]

実際にメディアアートを鑑賞

最後に、国内、国外で実際にメディアアートを体験できるイベントを2つご紹介したい。

VR Gallery by SONY Digital Entertainment
東京・阿佐ヶ谷にある、SONYが運営する世界初のVR専門アート・ギャラリー。上記でご紹介したTilt Brushを使用した現代アートの数々を楽しむことが可能。

ARS ELECTRONICA
毎年オーストラリアで開催される、世界最先端のデジタル技術とアートをテーマにした世界最大デジタル・アートの祭典。例年テーマが決まっており、今年はAI(人工知能)をテーマに数多くの作品が紹介された。

これからの新しいテクノロジーの進化に伴い、その影響を受けてアートの表現手法も進化していくだろう。テクノロジーとアートの融合に触れることで、仕事上で使うテクノロジーでは得られないような体験を得られるのではないだろうか。

*上記の記事は株式会社CAPAのブログから転載したものです。元記事はこちらよりご覧頂けます。

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