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2018.10.18
【2019春夏東京ファッションウィーク ハイライト3】手仕事とハイテクの融合で差異化する東京のデザイナーたち
アマゾン ファッション ウィーク東京2019春夏コレクションの前半は手仕事とハイテクの融合もキーワードになっている。新しいコレクションの見せ方を模索するブランドも少なくない。また、20ブランド近くが初参加となる中で、日常やリアルということもポイントになっている。
コトハヨコザワ(kotohayokozawa)
「コトハヨコザワ」は日常にあるものを集めて服を作った。家にあるものなどを撮影して並べたプリント、コートやジャケット、シャツなどのベーシックなアイテムを解体し、つなぎ合わせたような服、異素材を無造作につなげ合わせたようなドッキングや家にある服を重ねたようなスタイリング。また、服の上に洗濯ばさみなどで違うアイテムをつなげただけに見えるものもある。90年代のズリーベットなどリサイクルファッションと共通するスタイルにも見えるが、アバンギャルドというよりもさりげなさが勝っている。半径数メートルにあるものを加工して新しいものに見せるSNS時代の発想をファッションデザインに取り入れているのだろうか。横澤琴葉は「日常の中にあふれているものや家にあるものなど、そのままの日常でいいんだ、ということを伝えたかった」と話した。
マトフ(matohu)
「マトフ」は手仕事に注目。新しい見せ方によるプレゼンテーションを行った。コレクション終了後ではなく、初めにデザイナーが登場し、コレクションのテーマや狙いを説明。青森の津軽産地やもの作りの課程の映像を見せ、デザイナーが説明しながらモデルが登場するという方法でコレクションを発表した。今回挑戦したのは、肩や襟の裏に刺し子をプラスしたスポーツウエアや、こぎん刺しへのオマージュを洗練させた日常着に仕上げたデザイン。服はこれまで以上に軽く、しなやか。日本の技術やイメージがバランス良く取り入れられている。また、モデルが着用したのは3体だが、ショーでは見ることが出来ない刺し子のテクニックや、どういう形で使っているかなどをみることができるように20体のコレクションの展示も行った。堀畑裕之と関口真希子は「これが終わりではないし、ショーをやめるというわけでもないが、これからも服にとらわれず、いろいろなチャレンジをしていきたい。手のひらの美ということでは世界中にある手仕事もやっていきたい」と説明。新しい挑戦は始まったばかりだ。
ミドラ(MIDDLA)
「ミドラ」は“STILL IN BLOOM”をテーマに、街にうもれそうな小さな花「わすれな草」の花をシンボルにしたコレクションを見せた。生演奏でスタートした今回。花のモチーフやフリンジ、リボンなどを乗せた白のシリーズやチェックの上に花のモチーフを付けたデザイン、たくさんの花や蝶が飛ぶヘッドピースもテーマを強調している。レイヤード風も残っているものの、繊細さや透明感が際立っている。「生演奏や香り、ヘッドピースなどと融合した五感を刺激するショーにしたかった」と安藤大春。
フミク(Fumiku)
「フミク」はトレンドやアバンギャルドな要素もプラスしたリアルクローズを並べた。「本当の自分がどこにいるのかわからなくなるような感覚。雨上がりの湿気を帯びた空気。湿気を吸って重くなった髪と肌。思い空気をまといながら、軽やかに強く生きる女性像を表現した」という今シーズン。フラワープリントやレイヤーされたパターン、寝起きのようなスタイリングなどが特徴になっている。ドッキングやレイヤード風、アシンメトリーなデザイン、オーバーサイズなどのトレンドを日常に着られるようなデザインに落とし込んだ服が続く。林史佳は「デビューコレクションなのでファンタジーなものではなく、ブランドコンセプトに近いものにしたかった。将来は海外でもコレクションを発表したい」と話した。
文・取材:樋口真一
撮影:土屋航(Fumiku、kotohayokozawa)、樋口真一(matohu、MIDDLA)