次回展は2フロアに規模拡大 対日強化進める「モード・イン・フランス展」

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2017.01.13

次回展は2フロアに規模拡大　対日強化進める「モード・イン・フランス展」

2016年7月にフランス婦人プレタポルテ連盟の会長に就任したピエール＝フランソワ・ル・ルエ会長。ネリー・ロディ社の代表として来日回数30回以上の親日家

　仏の婦人ファッションブランドが2017～2018秋冬コレクションを一堂に発表する第42回「モード・イン・フランス（MODE IN FRANCE）展」が1月11日に開幕した。今回から会場をウエスティンホテル東京へと移転拡大し、対日強化を推し進めている。2016年7月、同展主催者であるフランス婦人プレタポルテ連盟の会長に就任したピエール＝フランソワ・ル・ルエ会長が、仏ファッション産業の現状と今後の展望を語った。

　同展は、日本で行われるフランスの合同産業見本市の中でも最大規模。従来はウエスティンホテル東京（東京・恵比寿）の客室フロアで個別展示を行っていたが、2016年7月展で同ホテルのオープンスペースへ移動。さらに今回、ベルサール渋谷ファースト（東京・渋谷）に会場を移し規模を拡大した。

　前回展（2016年1月）に比べ20％増の63社・70ブランドが参加。初日の来場者数は、3.9％増と順調な滑り出しを見せた。来場者は、小売店が微減、百貨店が横ばいとなったが、輸入卸は増加。有力セレクトショップのバイヤーたちの来場も見られた。ルエ会長は、「仏ファッションの多様性を示すことができた。バイヤーの方の探しているものが必ず見つかるはず」とコメント。今回、スペースに限りがあり出展を断った企業もあったことから、次回1月展では、従来の1フロアから2フロアに広げ、約90～100ブランドを招致することも検討しているという。

　トレンド＆マーケティング分析を行うネリーロディ・パリ社長（2003～2006年）、ネリーロディ・ジャポン社長（2006年～）を歴任するルエ氏が、昨年7月の同連盟会長就任後に取り組むのが、輸出強化を見据えたマーケティング調査。日本をはじめ、イタリアや米国、中国などがターゲットに含まれており、今年6月に調査結果を公表する予定だ。ルエ氏は、「仏の大手セレクトは閉店が相次ぎ危機的な状況。卸売りの仕組みも変化している。新世代のセレクトショップ台頭や、百貨店の新しい試みも見られるが、私が注視するのは、企業同士の強固な結びつき。新しいディストリビューターの必要性などを含め、生産者やデザイナーらのニーズを把握する必要がある」という。

　仏ファッション産業は現在、国民総生産の2.7％を占め、売上高で見ても、航空産業や自動車産業を上回る主力産業。加えて、「内向きな企業も中にはあるが、一方で、仏の輸出総額は7年連続でプラス。2017年上半期も増勢基調にある」という。同連盟では、デジタル施策や流通構造の見直し、資金的援助、専門学校などを通した教育にも併せて注力しながら、国を代表する産業である仏ファッションの輸出拡大を進める考えだ。

　「モード・イン・フランス展は、まさに対日輸出強化策の1つ」とルエ氏。「この場を活用しながら、出展者企業の要望にできる限り応えていく。今回初出展するブランドの中には、100年以上の歴史を持つブランドも多い。来場者の皆さんには、仏ファッションのノウハウや技術・伝統を見てほしい」と語った。

1884年創立の「ピガニオル（PIGANIOL）」は伝統的な傘の製造を5代に渡り受け継ぐ老舗メゾン。2009年にはEPV（無形文化財企業）に選ばれた。ナイロン素材の超軽量傘など、最新技術や現代鉄器なデザインも積極的に取り入れている。

1840年創業のベレー帽ブランド「ロレール（LAULHERE）」もEPVに認定されている老舗企業。最高級のメリノウールやアンゴラを使った製法を代々継承し、すべて自社アトリエで仕上げている。

ニットブランド「リュナティスム（LUNATISME）」。デザイナーのヒルダ・ケシシアンによるエレガントなデザインが持ち味。ウォッシャブルやシームレスなどの機能も重視している

フィリップ・フェランディス氏がデザインする高級コスチュームジュエリー「フィリップフェランディス（PHILLIPPE FERRANDIS）」。植物や昆虫などをモチーフにしたアイテムが中心。日本市場向けに小ぶりなデザインを多く用意したという

ガラス工芸家ルネ・ラリックが1888年に創設したジュエリーブランド「ラリック（LALIQUE）」は2回目の出展。今回は、セレクトショップのバイヤー向けにカプセルコレクションを用意した。真鍮（しんちゅう）にアクリルを吹きかけたもので、本ラインのおよそ2分の1の価格設定。すでに複数のバイヤーとの商談を行ったという