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2023.10.30

「ジュン アシダ」60周年アニバーサリーコレクションを開催 「タエ アシダ」とジョイント

写真左から:「タエ アシダ」「ジュン アシダ」

 

 
 「ジュン アシダ(jun ashida) / タエ アシダ(TAE ASHIDA)60周年2024春夏アニバーサリーコレクション」が2023年10月26日、東京・西新宿の新宿住友ビル 三角広場で開催された。「ジュン アシダ」のメゾン創立60週年を記念して行われたもの。「ジュン アシダ」と「タエ アシダ」の両ブランドの2024春夏コレクションをジョイントショー形式で発表した。

 

「タエ アシダ」は若さと自由を強調
 

 中央に白い四角のステージが置かれた会場。カメラを付けた2台のロボットが登場し、オフィシャルカメラマンのようにステージの周りを動き回る。通常は別の日に開催している2ブランドを同時に開催した今回。アニバーサリーコレクションは、「タエ アシダ」のコレクションからスタートした。前回のタエ アシダのコレクションではDJで登場するとともに、ショー音楽のプロデュースも手掛けた俳優でモデルの大平修蔵プロデュースによる音楽が流れる。
 

 最初に登場したのは、コルセットのようなデニムのトップスとデニムのミニスカートに同色のレースをドッキングしたリメイク風スカート。デニムとスカーフプリントのトップス、ダメージジーンズをプリントした白のスカート、白いシャツなどの白とデニムの組み合わせ。白のコートにもジーンズをプリントしている。反戦マークのようなモチーフをプラスしたものもある。
 
 また、ボタニカルやアフリカなど民族調。ボタニカル柄やサファリジャケット、ストライプの上に花を乗せたワンピース、アニマル柄、赤、グリーン、紫などの大胆で鮮やかな色使いなど、1970年代を思わせるデザインだ。マニッシュなストライプ、パンツスーツ、マニッシュとフェミニンのミックスも目を引く。
 

 後半は、花を着てしまったようなピンクのドレスやメタリックなドレスなど、パリのオートクチュールが世界のファッションをリードしていた、1950年代のオートクチュールを思い出させる、あるいは美術館に飾られそうなとでも言えそうなドレスが登場。若さや自由を強調しながら、サステナブルや快適さ、ドレスまで、幅広く対応するコレクションを見せた。
 

「ジュン アシダ」は創設者のアーカイブを取り込んで

 

 「タエ アシダ」が終わり、少し前までコレクションや大平のスペシャルパフォーマンスを映し出していた巨大なモニターに流れたのは、創設者である芦田淳と「ジュン アシダ」ブランドを紹介する映像。小室哲哉の生演奏とともに、若き日に、中原淳一に30枚のスケッチを見てもらったシーンをネットニュース風にした動画、過去の作品の画像、同ブランドの根底に普遍性があることを踏まえて、コロナ前の2016年からランウェイコレクションではなくショートムービーで発表した当時の動画。芦田淳の本人の写真が映し出される。

 「ジュン アシダ」のコレクションは、白いジャケットとスリムなパンツ姿の冨永愛を始め、背中に切り込みを入れたようなデザインを着た5人のモデルが白い四角のステージに並んだアーカイブコレクションからスタートした。テープのような直線と美しい構築的なジャケットを思わせる、立体の知的な組み合わせから創られたようなボーダーのジャケット、バイアスボーダーとでも呼べそうなドレス。60年代の未来派やアール・デコ、ジオメトリックなどアートからの影響も感じさせるデザイン。アーカイブコレクションなのか、2024春夏コレクションなのか迷うほど。今も新鮮だ。

 また、「タエ アシダ」とも共通する紫やグリーン、南国風プリントやアフリカなどの異国情緒、民族的あるいはトライバルなムードのボーダードレス、スカーフプリント、タキシードなどの70年代をほうふつとさせるムード。さらに、メタリックなドレスやゴールドのドレス、同ブランドが繰り返して発表してきた服をくりぬいたグラフィカルなデザインを、くりぬく代わりにシアーな素材で表現した白のジャケットなど、芦田淳自身がコレクションを発表していた当時を思い出させるデザイン。フィナーレに冨永愛が着たドレスもアーカイブコレクションから作られたというが、それも芦田多恵デザイナーと今の感覚でデザインされている。

 
 「大きなイベントは久しぶりでしたし、2ブランドのショーを1度に見せたので、かなり大変でしたが、喜んでいただき、ほっとしています」という芦田多恵。「ジュン アシダのブランド創立60周年とともに会社創立60周年ということで、タエ アシダと同時開催にしました。タエ アシダは“開放”をテーマに、ジェンダーやTPO、体など、いろいろなものから解放されている時代だと思い、時代に合ったものを作りたいということでデザインしました。また、ジュン アシダは父のアーカイブを取り込んでいます。すべてのパターンが残っているので、同時のものを組み立てて私なりに今のシルエットで作り直しました。アーカイブを起源にしながら今のものにしたものから、忠実に作ったものまでいろいろなものがあります」と説明。
 
 また、今後については「ジュン アシダは日本の唯一と言っていいハイブランドという立ち位置だと思っていますので、しっかりとしたモノづくりを守り、皆さんに愛されるものを作っていきたい。タエ アシダは時代性にあった幅広いもの、いろいろなものにチャレンジしていきたい」と話した。
 
取材・文:樋口真一

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