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2023.09.16
「ラム・シェ」が初のランウェイショーを開催 絵本からインスパイアしたコレクション
「ラム・シェ(RUMCHE)」が、2023年9月12日、東京都港区の草月会館の石庭「天国」で2024春夏コレクションショーを開催した。同ブランドは安原璢美がアパレルメーカーでデザイナー兼ブランドディレクターを経験後、スタート。コレクション開始後4年経ち、初のランウェイショーを行った。
ショー会場のエントランスでゲストに贈呈されたのはショーン・タン著の「エリック」。今回のコレクションのインスピレーション源となる絵本だ。交換留学生のエリックを迎えた物語で、彼をもてなす家族の温かさとほろ苦さ、エリックの生活の中の小さな気づきを見つける審美眼が印象的だ。
安原デザイナーは「普段の生活で見落としがちな、小さな気付きの面白さや美しさを考えるきっかけとなりました。時間の流れが早く、せわしない日々を送る私たちは、心に余裕を持つことを忘れてしまうこともあります。ラム・シェは、着る人の⼈間性や生き様をより鮮やかに映し出す洋服でありたい。それは自由な精神であり、個性豊かでありながら、夢ではなく現実であるもの。心を豊かにするコレクションを届けたいと思いました」とリリースに綴った。
発表したコレクションでは、同ブランドのシグネチャー、ボンドヤーンが何より目をひく。熱を加えて冷ますことで固まる糸を、かぎ針編みにして“着るアクセサリー”として提案しており、今季は、代表的なフラワーモチーフのハーネスやドレスをはじめ、エリックを彷彿とさせるジグザクモチーフのビスチェやスカートなどが現れた。
風をはらんで膨れたルックも登場。シルエットは、花びらを思わせるダーツギャザースカート、包まれるような設計のドレス、ボリュームスリーブのブラウスなどが硬質ムード漂う会場に映える。
オリジナルプリントも魅力。水辺に絵の具を垂らしたようなマーブル模様や、光輝く鉱石が砕けるようなモチーフなど、自然を感じさせるテキスタイルを採用。高い染色技術を誇る京都の工場でプリントし、光沢感のある質感やシアーな素材感に落とし込んだ。
「エリック」の物語やイラストとシンクロするピースもお披露目。インドの職人との協業による煌めくビーズやスパンコール刺繍のアイテムは、物語のラストでカラフルに輝く贈り物のよう。伊フィレンツェ製の伸び縮みするチェーンもドレスに装飾した。
また、リメイクのシリーズでは、ユーズドのTシャツを裁断し編み上げたトップスやボンディング加工したベルト、かぎ針編みのテーブルクロスをトップスに仕立てた。中には映画「ジョーズ」のポスターをフロントにあしらったピースをレイヤードしたルックも登場した。
ラストルックの真っ白なワンピースが現れた後、フィナーレ。様々な柄や装飾、シルエットのルックを纏ったモデルたちが、高低差のある石庭を練り歩きショーを締めくくった。