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2019.03.01
【2019秋冬パリコレ ハイライト3】ディオール、サンローラン、エルメス…世界中のサポーターを熱狂させるコレクションの数々
パリコレクション2日目のハイライトは、マリア・グラツィア・キウリによる「ディオール(DIOR)」と、アンソニー・ヴァカレロによる「サンローラン(SAINT LAURENT)」。3日目はアレッサンドロ・デラクアによる「ロシャス(ROCHAS)」、ピエール・アルディによる「エルメス(HERMÈS)」のシューズのプレゼンテーション、4日目はゲラルド・フェローニによる「ロジェ ヴィヴィエ(ROGER VIVIER)」のプレゼンテーションが行われた。
ディオール(DIOR)
「ディオール」は、ロダン美術館の庭に建てられた特設テント内でショーを発表。会場内にはイタリアのアーティスト、トマーゾ・ビンガによる女性の裸体でアルファベットを表現した写真を張り巡らせ、入場者にフェミニニティ(女性性)を強烈に意識させた。
「ディオール」のアイコンであるバージャケットの他、チュールのドレス、デニムのジャケットなど、キウリらしいクリエーションの他に、今季は50年代のテディガールをイメージした赤のチェックのアイテムが登場。一見ブランケットを羽織っているだけのように見えて、実は立体的なカッティングが施されて、特にバックサイドに造形的なフォルムを見せるコートドレスなど、特徴的なアイテムが目を引く。
また、ショート丈のジャンプスーツに、スズランや蝶の刺繍を施したチュールのスカートを合わせる、といったスタイリングはこのメゾンならでは。ワークウェア風のジャンプスーツやジャケットなど、ユニフォームから着想を得たアイテムなど、いつもながら豊かなバリエーション。会場にはディオールのアイテムをまとった顧客が多数見受けられ、世界中の女性から圧倒的な支持を得ていることを直接的に感じさ、女性であることを謳歌する女性のためのクリエーション、そんなメッセージが伝わってくるコレクションだった。
サンローラン(SAINT LAURENT)
「サンローラン」は、エッフェル塔を眼前に望むヴァルソヴィ広場の特設会場でショーを開催した。カトリーヌ・ドヌーヴ、ベティ・カトロー、ビアンカ・ジャガーという「イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)」のミューズたちにイメージを求めたコレクションは、80年代のシルエットをよりモダンに、そして新鮮にアレンジ。
ベティ・カトローを彷彿とさせるホワイトのコートは、大きな肩パッドを入れたパワーショルダーのシルエットが特徴。総パンコール刺繍のミリタリーコートや、ビアンカ・ジャガーを思わせるホワイトスーツのジャケットなど、多くのテーラードにこのシルエットが用いられている。「イヴ・サンローラン」のオピウムを想起させる東洋モチーフのアイテムは、一際艶やかな印象。蛍光色のフェザーとクリスタルメッシュを組み合わせたミニドレスのシリーズは、ブラックライトを当ててグラフィカルに見せた。
刺繍など手仕事の技巧を駆使し、クチュールの要素を随所に散りばめた、「サンローラン」らしいコレクションとなっていた。
エルメス(HERMÈS)
「エルメス」のシューズの最新コレクションは、ポン・ヌフ橋前の貨幣美術館にてプレゼンテーション形式で発表された。恒例となっている、モデルの足だけを見せる演出では、今季はバリエーション豊かなスニーカーの他に、東洋を意識したタイガーモチーフのブーツや、タイガーモチーフのライナーの深紅のパンプスなどが登場。また、羽をデザインしたパンプスやバスケットシューズなど、遊びのあるデザインが多く見られた。
ロシャス(ROCHAS)
「ロシャス」のショーは、シャイヨー宮内の舞踏会用ホールを会場に開催された。冒頭には、ブラック&ホワイトのツイード素材をあしらったマニッシュなアイテムが登場。フェザーを全面に刺繍したドレス、ラメのスーツなどのブラックのシリーズに続き、ブルーとブラウンのバイカラールックはスポーティカジュアルで新鮮な印象。ペールピンクサテンのAラインのホルターネックドレスや、ロシャスらしい繊細なレースを重ねたクラシカルなイメージのドレスと、小花プリントのシャツ風ドレスなどモダンなアイテムをミックス。最後に登場した繊細なオーガンザ製ドレスは、クチュールメゾンであるロシャスの魅力を十二分に伝える美しい作品となっていた。
ロジェ ヴィヴィエ(ROGER VIVIER)
「ロジェ ヴィヴィエ」は、新任のアーティスティック・ディレクター、ゲラルド・フェローニによるコレクションをプレゼンテーション形式で披露した。会場は、編集者・映画プロデューサーとして成功したチノ・デル・デュカによる奨学基金団体が入る館。
タイトルは「The Daydream」。地上階、1階、そして2階に7つの部屋を設置し、それぞれに女性が夢見るイメージを具現化。ポニーのぬいぐるみで埋め尽くされた部屋では、マドモアゼル・ユリアが袴姿でDJする中、ビジュー付きのパンプスとパーティーバッグを見せ、精神科医の部屋では、靴マニアの女性が診察を受ける即興演劇が繰り広げられ、スリッポンやブーツなどマニッシュなシューズを展示。
その他にも、ペドロ・アルモドヴァル作品で知られるスペインの女優、ロッシ・デ・パルマが寝そべる女優の部屋や、カトリーヌ・ドヌーヴの出演作品しか流れない、ドヌーヴ風のモデル達が座るシネマの部屋、ドラッグクイーンがスイーツをふるまうキッチンなど、シュールな演出の連続。パーティーさながらの賑わいで、招待客は大いに楽しんでいる様子だった。