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2019.02.27

【2019秋冬パリコレ ハイライト1】パリコレ開幕 2018LVMHプライズ特別賞受賞のロック・ファンがショーを開催

 オートクチュール・コレクションから1ヶ月の間を空けることなく、2月25日からパリコレクションがスタートしている。初日は、スイスの二人組、「オットリンガー(OTTOLINGER)」や、フランスでは根強い人気を誇る「ジャックムス(JACQUEMUS)」など、夕方から3つのショーが開催されたが、中でも最注目だったのが、昨年のLVMHプライズで特別賞を受賞した、韓国出身のデザイナー、ロック・ファンによる「ロック(ROKH)」だ。

 

 「ロック」のショー会場は、オペラ地区にあるオフィス街の中のスーパーマーケットだったスペース。コレクションタイトルは「EXT.AUSTIN,TX_DAY」。ファン本人が幼少期に過ごしたテキサス州オースティンのイメージと、スピルバーグやガス・ヴァン・サントなどに代表される80~90年代のアメリカ映画における恐怖感にインスパイアされたという。アルフレッド・ヒッチコック監督作品の「サイコ」のテーマソングが流れる中、登場したのは異素材をはめ込んで再構築したブルゾンや様々な箇所にカットを入れたコートなどのアウターと、オリジナルのフローラルプリントを多用したドレス。アウターは新鮮なシルエットを見せ、ドレスがロマンティックな側面を加えている。デビューコレクションゆえに未知数ではあるものの、各アイテムの作り込みについて強い姿勢を見せ、期待の新人の登場となった。

「ロック」2019秋冬コレクション

 

 夜は脚本家、作家、アーティストなどマルチに活躍する大宮エリーのパリでの初個展のオープニングが開催され、多くのファッション関係者が駆けつけた。会場は、「ケンゾー(KENZO)」や「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」でデザイナーとして活動してきたイネス・ドゥ・ヴィルヌーヴが一昨年オープンさせたカフェ・レストラン、イネコ。昨年、大宮がイネコで昼食中に、友人に見せていた画集がイネス・ドゥ・ヴィルヌーヴの目に留まり、個展開催が決まったという。大宮のおおらかで色鮮やかな絵に囲まれた会場は、温かい雰囲気に包まれ、ミュージシャン、おおはた雄一のバックサポートで自らバイオリンを演奏し、ライブペインティングを披露。夏木マリやアミアヤも来場し、華やかな一夜となった。

 初日はショーが3つと、いつもながら緩やかな滑り出しで、実質的なスタートは2日目からとなる。週末には、昨年末からの恒例となっている「黄色いベスト運動」の影響が少なからず想定でき、不安要因はあるものの、運動が下火になっているため順調に進みそうな気配ではある。世界の中でも、常に独創性を期待されてきたパリが今季どんなクリエーションを見せてくれるのかリポートしていきたい。

2019秋冬コレクションを見る

 

取材・文:清水友顕

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