THE MAXREの米国ファッションビジネストレンド Vol.49

MAXRE Corporation

　今年は、ハロウィン前からクリスマスギフトの購入している人も多いと言われる中、残りのギフト購入に焦っている消費者も多いのではないでしょうか。ホリデー商戦終盤を迎え、今年のEC販売は、昨年より13億ドル多い、1,070億ドルと伝えられています。感謝祭前から、運送会社のUPSでは9万5000人、アマゾンでは12万人もの臨時ワーカーを雇用し対応、それでも追いつかない状況。現在配達の遅れが伝えられており、これからのネット注文については、クリスマスまでの到着が危ぶまれています。今年はクリスマスイブが日曜日にあたるため、12月23日（土）までの配達が必要となり、さらにそのリスクが高まっているといいます。そんななか、消費者にストレスなく商品を届けるためのピックアップやデリバリーの方法が、今後の課題となりそうです。

24時間体制でクリスマスにも対応　ノードストロームの「カーブサイド・ピックアップ」

　ウォルマートの食品部門や、全米最大のスーパーマーケットチェーンであるクローガー（Kroger）などの大手は、ネットで注文した商品を指定された店舗で受け取れるというサービスを取り入れていますが、ノードストロームは、それを上回る“24時間、いつでもピックアップできる”という驚くべきサービス「カーブサイド・ピックアップ」をスタートしました。ただし、12月16日～24日は、LAやシアトルなど10カ所の店舗に限定しています。注文の際、「カーブサイド・ピックアップ」を選択し、モール到着の10分前に電話もしくはメールすれば、所定の場所に係員が持ってきてくれるというもの。

　人気のない真夜中のモールにある駐車場で荷物をピックアップしたい人が多いとは思えませんが、少なくとも、モールが混雑する時間を避けたり、出勤前、あるいは食事に出かけた帰りに受け取ることができます。これなら、クリスマス直前の注文でも、確実にピックアップができますし、心配しながら荷物が届くのを待つ必要もなくなるのです。

一般人による配達は定着するか　アマゾン・フレックス（AMAZON FLEX）

　アマゾンが2年ほど前からスタートしているのが、一般の人がアマゾンの配達を請け負うサービス。スマホと車があれば、誰でもアルバイトとして報酬を得ることができるのです。時給18～25ドルと一般のパートタイムと比べても高額であることや、隙間の時間を利用して配達できることから、ウーバー（Uber）同様、若年層に人気があるようです。知人の娘さんも最近、週末に数時間だけ配達をしているのですが、荷物をピックアップする配送センターは、利便性のいい場所を自分で選ぶことができ、配達したらその証明として、写真を撮影して送信するだけだといいます。配達後まもなく、アルバイト代金が入金されるのも大きな利点です。

　ちなみに、アマゾンの配送センターは全米に１４０拠点。時給は、ピーク時の時間帯や、レストランのデリバリーが含まれる「プライムナウ」の場合（チップが加わるため）などによって差が出ているようです。ホリデー商戦のパッケージの増加で、近隣に住む人々が配達を請け負うというシステム――副業で臨時収入を望む人々と、配送のコストダウンを図りたい企業の思惑はウィンウィンの関係で一般化していくのでしょうか。

クリスマスまでに配達したい！米国小売り店各社の送料＆注文のデッドラインまとめ

　この時期にインターネットでの購入の決め手となるのは、送料の有無や、ラストミニッツ（直前予約による割引）で、クリスマスまでに商品が届くかどうか。多くの小売り店が、送料無料のオプションを提供しているなか、「アーバンアウトフィッターズ」グループでは、消費者が送料を負担するようです。

参考：米国郵便局から国内郵送の場合、１パウンド（約454グラム）を超えると配達に2～3日必要となるプライオリテイメールとなり5.95ドル（西端から東端までの場合7.25ドル）

　消費者にとって、「送料無料」は魅力的ですが、購入がぎりぎりになった消費者にとって最も重要なのは、ストレスなく確実に受け取れるかどうか。小売り業に占めるEC比率が増加するなか、低コストでスムーズに配達をする手段が必要となってきそうです。