PICK UP
2014.11.26
「レベッカミンコフ」ファッションとITが融合したNY旗艦店
ファッションとテクノロジーが融合した新たなスタイルの「Rebecca Minkoff(レベッカミンコフ)」のフラッグシップストアが、ブランドの拠点でもあるニューヨークに11月21日オープンした。
96 Greenee Streetにオープンするということは随分前から発表されてはいたが、なかなかその後動きがなく、ようやくオープンの知らせが届きプレスプレビューでストアを訪れると、なるほどね、と感心。今までのフラッグシップのオープンとは一味も、二味も違うものだった。
RM米国初のフラッグシップストアはソーホーの一等地
レベッカ・ミンコフ(L)ユリ・ミンコフ(R)photo courtesy of Rebecca Minkoff
18歳という若さでファッションデザイナーになることを夢見てニューヨークへと移住してきたレベッカ・ミンコフ。2001年には“I Love New York”と書かれたTシャツを含むカプセルコレクションを発表。そのTシャツが夜のトークショーで紹介されたことから一夜にして注目を浴びることに。
その数年後の2005年には彼女のアイコンバッグである“Morning After Bag (通称M.A.B)が誕生。バッグデザイナーとして知られるようになった。
彼女の才能は兄であり、ブランドの創設者そしてCEOでもあるユリ・ミンコフのサポートが加わったことで、ニューヨークを代表する世界のファッションデザイナーの座へと階段を登った。
今ではハンドバッグの他に、アパレル、アクセサリー、靴、ジュエリーを展開するライフスタイルブランドとして成長。メンズラインの「Ben Minkoff(ベンミンコフ)」も加わり、次はどんな展開を見せるのだろうとワクワクさせるそんなブランドだ。
2010年には東京の銀座に出店。羨ましい気持ちを抑えながら待つこと4年。待望の米国初となるフラッグシップストアが今月21日、ニューヨークのソーホーにオープンした。ストアがある通りにはクロエやティファニー、ステラマッカートニーといった一流ブランドも出店している一等地の通りだ。
スマートディスプレイで全てをオーダー
ファッショントレンドと同じくらい最新のテクノロジーやデジタルメディアとの融合をいち早くビジネスに取り入れていることでも知られるレベッカミンコフ。
ニューヨークのフラッグシップストアではeBay Inc.とパートナーシップを組み、最新のテクノロジーを取り入れたお買い物体験を提供している。
まず店内に入ると大きな鏡のスマートディスプレイに迎えられます。 インタラクティブなディスプレイに触れるとコーヒーやお茶、お水など無料で振る舞われるドリンクをオーダーすることが出来るウェルカムサービスにVIPな気分にさせられます。
そのままスマートディスプレイを使い、レベッカミンコフのコレクションやブランドのコンテンツをチェック。試着してみたい商品があればそのまま”Add to My Fitting Room(フィッティングルームに追加)”をタップすることでフィッティングルームのリクエストが出来る。最後に携帯の電話番号を入力することで、オーダーしたドリンクや試着室の準備が出来ると、携帯へメッセージが届いて知らせてくれる様になっています。 例えストアが混雑していてもフィッティングルームが空くのを待たず、一旦外へ出て他の用事を済ますこともでき、時間を有効に使えるという訳です。
RFID を活用したフィッティングルーム
photo courtesy of Rebecca Minkoff
フィッティングルームにも大きな等身大の鏡のスマートディスプレイ。試着に用意された洋服にはRFID(Radio Frequency Identification)タグを使用しているため、商品情報が感知され鏡に映しだされます。大きなタブレットを操作する感覚で鏡の画面をタップ。ストアで試着すると同時に商品情報を確認することが出来るのはまさにオフライン(ストア)とオンライン(Eコマース/モバイル)の世界がシームレスに融合したと言えるでしょう。
試着の際にサイズ違いや色違いなどが必要な際、普通ならば試着室を出て販売員の方を探して声をかけますが、スマートディスプレイで「CALL STYLIST(店員さんを呼ぶ)」をタップすることでスタイリスト(店員)の方に持ってきてもらい、またスタイリングのアドバイスだってしてもらえる。
最新のテクノロジーが可能にしたこの便利さと、ストアならではの店員さんとのエンゲージは、この店でなければ体験することの出来ない特別な空間なのです。
照明の明るさもシーンごとにチョイス
女性の方が頷かれるかもしれませんが、フィッティングルームの照明ってどうも明るすぎたり、暗すぎたりピンとこない時ありますよね。そんな悩みにもタップひとつで色々な照明の明るさをチョイス出来ます。
ニューヨーク店の場合は朝の柔らかな明るさの「Brooklyn Morning」、公園で浴びるような自然の明るさならば「Afternoon on The High Line」、夕方のお出かけを想定するならば「Hudson River Sunset」、夜のお出かけの雰囲気ならば「Soho After Dark」、もちろん普通のライティングでも設定は出来ます。こうしたちょっとした遊び心を感じさせるのも、ファンとのエンゲージに長けているレベッカミンコフならではだなと感じます。11月後半にサンフランシスコ、12月にオープンするロサンゼルス店ではその都市に合わせたライティングが用意されるという話です。
オンライン with オフラインが常識の時代へ
レベッカミンコフの今回のストアは、スマートフォンやオンラインショッピングが当たり前のミレニアル世代に向けたサービスだと感じると共に、最新のテクノロジーを活用し、VIP的なサービスを味わうことが出来るという意味では幅広い世代に喜ばれるサービスでもあると感じます。
時代は「オンライン or オフライン」ではなく、「オンライン with オフライン」。
レベッカミンコフではストアのオープンに合わせモバイルアプリをリリースし、またウェブサイトもリニューアルした。「モバイル」、「Eコマース」、「リテール」がシームレスとなり、それらサービスの良い部分を全て体験できるのがこの新たなスタイルのストアなのです。
REBECCA MINKOFF NYC Flagship Boutique
96 Greene Street
New York, New York 10012
Tel: 212-677-7883
http://www.rebeccaminkoff.com
Store Hours:
Sun:12pm-6pm
Mon-Wed:11am-7pm
Thu&Fri:11am-8pm
Sat:11am-7pm
R I N A 90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。
以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。
■ アパレルウェブ ブログ |