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2020.04.03

TIK TOKが生み出したZ世代の最新コミュニティと影響力

 NYPOSTによると、Z世代は、1996年〜2010年に生まれた世代で、最年長は24歳。昨年、全世界人口77億人の32%を占める24億7000万人と推定され、ミレニアル世代を上回る人口となっている。米国小売業界にとっても、極めて重要な購買層として、思考やライフスタイル等、様々な研究が行われている。

 

 そんな中、Z世代に絶大な人気のTIK TOKから次々と派生しているサブカルチャーがある。昨年の8月辺りから、急浮上したVSCO GIRL(ヴィスコガール)もその一つで、一時的なトレンドかと思いきや、米国小売店では今年も引き続き、彼女達を意識した商品が揃えられ、メインストリームへと移行しつつある。Instagramでは#VSCOgirlが200万件近い投稿があり、その殆どの見た目がカラフルなサーフガールのようなライフスタイル。90年代を彷彿させる、リラックスしたビーチスタイルが中心。このヴィスコガールを含むZ世代の最新コミュニテイをいくつかピックアップした。

 

VSCO GIRL(ヴィスコガール)とは

 「VSCO」は元々、写真用の編集アプリで、無料版でもInstagramには無い様々な編集ツールが充実していること、写真を投稿してシェアすることはInstagramと同じだが、いいねやコメントが表示されない為、Z世代には、Instagramより人気になっているようだ。しかし、名前の由来とは異なり、ヴィスコガールの活動は主にTIK TOKを使用しており、ヴィスコガールは、TIK TOKから誕生し、一風変わった世界観がトレンド現象となったようだ。大きな特徴の一つに、特定のブランドの特定のアイテムを身につけている為、どの女子も外見的な印象が殆ど同じ、しかし彼女達はそれを楽しんでいるようだ。

ヴィスコガールのマストアイテム&キーワード

                 FASHION・  SHOES・

                   MAKE-UP・HAIR

                        ACCESSORIES

 ATTITUDE ・MOOD ・KEY WORD

オーバーサイズT&デニムショーツ ハイドロ・フラスク(ウオーターボトル)  エコフレンドリー
クロックス・ビルケンシュトック  貝殻のネックレス  ボヘミアンルーム
チェック柄のVANSスニーカー  フェール ラーベンのカンケンバッグ  #SAVE THE TURTLE
ブランデイ&メルヴィル  ステッカーで覆われたラップトップ  “SKSKSK”(スクスクスク)※下記参照
大量のカラフルなシュシュ  ペーパー若しくは金属のストロー  自然の中での撮影
メッシーバン(乱れた感じのお団子ヘア)  アップル・エアポッド  シンプル・イージー・リラックス・ユニーク

ヴィスコガールの間で流行っているトレンドキーワード一覧(作者独自調査、作成)

※OMG!や笑を意味する入力フレーズを声にだして使用する

 マストアイテムの一つ、VANSのスニーカーは、VFコーポレーションが所有するブランドの一つ。NPDの調査によると、昨年の上半期、ナイキが1桁増の微増、コンバース、アデイダス、スケッチャーズ等の売り上げが減少した中、VANSは25%増の成長をしており、特に白黒のチェックは、ヴィスコガールズのアイコン的アイテムとして人気になった。人気の理由としては、VSCO GIRLSのファッションが西海岸テイストで有ることから、サザンカリフォルニアベースのスケーターブランド「ヴァンズ」がピックアップされ、取り分け、クラシックスタイルのチェック柄がアイコン的スニーカーとなった。

 

 また、昨年、Vera Bradleyが買収したPURA VIDA(プラ・ヴィダ)のストリングブレスレットも人気の一つで、腕に何種類も重ねてつけるのが流行。過去6ヶ月でアメリカの小売業者は通常の118%も仕入れ、ヴィスコガールはプラ・ヴィダのメイン顧客の一つとして定着している。

 

 クロックスとビルケンシュトックも昨年から、ヴィスコガールが、古くから存在する老舗ブランドや伝統的なブランドに深く共鳴する傾向にある事から、急上昇しているブランドの一つになっている。小売りの分析調査を行うEDITEDによると、ノードストロームのビルケンシュトックの在庫は140%、ZAPPOS(ザッポス)で171%増と伝えられている。

ヴィスコガールが特定のブランドを好む理由

 彼女達が、特定の商品に固執する理由には、各ブランドが行っている社会貢献に大きく関係している。例えば、プラ・ヴィラは、製品一つの純売り上げの10%をチャリテイーパートナーに寄付をしています。また、Hydro Flask(ハイドロ・フラスク)は公共の公園がリラックスでき、インスピレーションを得られる重要な場所として支援をしており、非営利団体を通して、ボトルや寄付金を送っている。

 

 またフェール・ラーベンは、素材と生産プロセスのサステナビリティに注力しています。ヴィスコガール が、冗談まじりに頻繁に使用している「#SAVE THE TURTLE」というワードも、環境への関心が示されており、ミレニアル層とは異なる、Z世代らしいアプローチになっている。

メイクアップ業界へのインパクト

 特定のブランドを好んで身につける事から、ミニマリストとも呼ばれるヴィスコガールだが、自分自身の自然な姿にプライド持ち、それを磨く意味で、スキンケアやセルフケアにもフォーカスしている。自然派化粧品で知られる、Burts Bees(バーツビーツ)のリップバームや、Mario Badescu(マリオ・バデスク)のフェイシャル・ミストを好んで使用している。マリオ・バデスクの商品はAmazonでは、8ozボトルが12ドルで販売されているが、レビューが8,000件以上のヒット商品になっている。

 

 投資バンクのPiper Jaffray社の調査では、こういった、ヴィスコガールの傾向が、様々な業界にいかに影響があるかを伝えており、Z世代女性の化粧品の支出額は、前年比で21%減少したと報告している。減少した原因は、Z世代女性がメイクアップよりはスキンケアに重きを置いているからだ。彼女達はナチュラリストの志向が強く、動物愛護、地球環境への関心が強い事が特徴的だ。一部の企業では、ビーガンや天然成分の製品が人気になっていて、エステイーローダでも、パッケージのリサイクル、詰め替え、再利用などが始まっている。

 

 写真編集アプリVISCO(ヴィスコ)のユーザの75%は、25歳未満のZ世代であり、アマゾンのサイトでも、VSCO Girl Starter Packsを販売しているほど、メインストリームへと流れ込んでおり、2020年の小売業界にも変化を与えるトレンドとして注目だ。TIK TOKから派生したZ世代の最新コミュニテイの続きは、AIRで。


 

 

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