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2020.04.01

Instagramとアプリを活用した海外先進企業の新型コロナウイルス対応策【SNS、アプリ編】

 世界各国で、新型コロナウイルスへの対応策として、小売業界のみならず、フード業界、フィットネス業界など様々な業界でアプリやInstagramの活用が行われています。世界各国の異業種での取り組みや、SNS、アプリの活用を事例と共にご紹介します。

グローサリー系のアプリのダウンロードが急増(米国)

「Fairways (フェアウェイズ)」の公式Instagramより

 外出禁止、都市閉鎖が広がる米国では、市民が家にいる時間が増え、オンライン上でグローサリーの購買をする需要が大きく増加しています。小売専門情報サイトの「Retail Dive」によると、グローサリー系アプリのダウンロード数が急激に増加しています。アプリ分析ツールを提供するApptopiaのデータによると、3月15日の時点で、2月15日と比べ、「Instacart (インスタカート)」のダウンロード数が218%、「Walmart Grocery(ウォルマートグローサリー)」が160%、「Shipt(ターゲット傘下のグローサリーストアのアプリ)」が124%増加したといいます。

 

 また、一部のグローサリー企業では、食品の備蓄目的の顧客対応で、店舗に発生する行列を解消するために、アプリを活用しています。「Fairways(フェアウェイズ)」では昨年からセルフチェックアウトが出来るアプリを導入しましたが、当初、利用者は伸びず、使い方が浸透していなかったため、新型コロナウイルスの影響が広がる中、同社は改めて公式Instagramで、セルフチェックアウトの使い方を紹介する動画を投稿しています。

グローサリーストアで起こるムーブメント(米国)

高齢者がゆっくりと買い物できる時間を設定

 アプリなどで買い物が効率化される一方で、3月16日カリフォルニア州にあるグローサリーストア「EREWHON」では、買い物客の「年配者が買い物しづらそうにしていた。年配者や、体の不自由な人がゆっくりと買い物できる時間帯があったら良いのに。」というコメントをきっかけに、年配者および、体の不自由な人を対象にした買い物時間を通常の開店前の1時間に設定すると、ユーザーコメントを受けてから即実践に移しました。

 

 このムーブメントは続々とグローサリーストア業界に広がっています。3月18日には、ホールフーズマーケットが営業時間の調整と共に、開店時間前に60歳以上のお客様の買い物時間を設定する事を発表しています。同月19日には、コストコも年配層の方が落ち着いて買い物が出来る時間を設定しています。

フィットネス業界ではInstagramのライブ動画配信を活用 無料レッスンを提供(米国)

Skytingの公式サイトでは、プラットフォームごとでライブ配信のスゲージュルを公開

Skytingの公式Instagramでは、ライブ配信のアーカイブもある

 ヨガなどのブティックジム業界では、Instagramのライブを活用し、1日に数回の無料レッスンをオンラインで実施することで、顧客やファンとコミュニケーションを取り、お互いに励みのメッセージを贈り合うことで、ファンとスタッフのエンゲージメントを深めることに注力しています。ヨガクラスの「Skyting」は、オフィシャルサイト、Vimeoでのライブ配信のほかに、インスタライブ配信のスケジュールを公開し、公式Instagramへ誘導するようにしています。

Instagramのストーリーを販促に活用(英国、ドイツ)

「In the mood」はInstagramの「ストーリー」を活用、即興ファッションショーを配信

 英国の外出禁止状況下では、ほとんど来店のない店舗や、営業休止の店舗はECの運営に資源を集中しています。Instagramのストーリーなどで商品の説明やコーディネートを紹介し、同時に展開サイズや値段なども明記しています。欲しいと思った商品があれば気軽に購入希望の連絡を入れるなど、問い合わせが行いやすい状況を作っています。中にはin the moodという英国のセレクトショップのように、来店客のない店舗を使って、即興オンラインファッションショーを行うなど工夫しています。

Uebervart-Shopの公式Instagramアカウントより

 ドイツのファッションECサイト、Uebervart-Shopでは、インスタライブを活用し、店舗にいるスタッフが顧客との買い物をライブ配信するなど。様々な工夫が行われています。

ASOSエイソス)がSpotify(スポティファイ)上で在宅ワーク用のプレイリスト提供(英国)

左:イソスの公式Instagram 右:スポティファイの「WORK FROM HOME」プレイリスト

 在宅ワークを行う人が増えたことにより、ファッションECサイトのASOS(エイソス)では、在宅ワーク時に聴くことができるプレイリストを作成しています。「WORK FROM HOME」と名付けられ、音楽ストリーミングサービスのSpotify(スポティファイ)にて視聴可能となっています。エイソスはこのプレイリストをInstagramのストーリーでも紹介しています。

 

 プレイリスト内容はメジャーなポップシンガーの曲が中心であり、世代を超えて楽しめる内容となっています。全140曲が集められており合計で9時間。自宅で仕事をしながらBGMとして利用してもらうことが狙いです。また、競合企業の「Boohoo(ブーフー)」も同様のサービスを行なっています。

ASOSエイソス)とBoohooブーフー)の在宅ワークコンテンツ(英国)

エイソス、ブーフーの公式Instagramより

 イギリスのファッションECサイトASOS(エイソス)とBoohoo(ブーフー)では、在宅ワーク向けのコンテンツをInstagramに投稿しています。エイソスは公式Instagramで、スタッフの在宅勤務の様子を紹介し、在宅ワークの感想などをユーザー向けにシェアしています。またブーフーの場合は、公式Instagramで、在宅向けのコーデを紹介し、ECサイトへ誘導しています。

まとめ

 世界各地で、外出禁止の延長が相次いでいる中、顧客の在宅時間も増えています。欧米の小売業は、ECサイトの運営と物流体制の正常化に注力し、顧客に対しても通常の営業を行っていることをアピールしています。Instagramを中心に、ライブ配信機能を活用し、店舗の対面接客に代わる、「ライブ接客」をどう行うかが、今大きな議題になっています。

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