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2020.04.08

日本に起こる、ファッション系企業の取り組みの変化

 新型コロナウイルス対応策に各社追われる中、今日本のファッション系企業での取り組みにも変化が見られます。これまで以上にSNS、ライブ配信の活用がますます広がり、サブスクリプションサービスの利用者数の増加も見られるなど、消費行動の変化も加速しているようです。

ディレクターが出演するライブショッピングを実施(BEAMS)

 2020年3月27日(金)21:00にBEAMS初となるライブコマース(ライブショッピング)を実施しました。BEAMSのクリエイティブディレクターである中村 達也氏とBEAMS Fのディレクターである西口 修平氏がスーツ、ジャケットスタイルを楽しむ今期一押しのVゾーンやおすすめアイテムを約1時間のライブで配信しました。今回の取り組みを経て、同社は「継続に向けては、今後も前向きに検討している。」と話しました。紹介されたアイテムはライブ配信されているECのページからそのまま購買可能です。

 

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ランドセル選びを自宅で快適に! テレビ電話とSNSで動画配信を実施

(土屋鞄製造所)

 土屋鞄製造所は外出を控えることが推奨されている今、新たなご案内方法を期間限定(3/19~3/31)で実施しました。テレビ電話での、相談窓口を新たに用意し、InstagramのIGTVとライブ機能を活用して「動画視聴型ランドセル講座」を3回にわたり配信しました。この動画では、ランドセルの特徴や素材、視聴者の質問についてスタッフが丁寧に説明・紹介。同社の担当者によると「外出が難しい状況も続いているため、インスタグラムの配信を見て購入を決めてくださる方も増えている。」とお客様からの反応は良好とのこと。4月以降も状況に応じてオンライン施策を検討。自宅にいながら快適にランドセルを選べる環境づくりに取り組んでいます。

 

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無観客「Gap2020 Summer YouTube Press Preview」

(ギャップジャパン)

 Gapは新型コロナウイルスの感染が拡大している状況を考慮して3月に開催を予定していた「2020Summer Collection プレスプレビュー」をYoutube上での映像配信に変更しプレス向けに限定公開しました。映像は「Denim」や「babyGap & GapKids」などテーマ別に全部で5本、各5分程の動画に仕上がっています。同社の担当者によると「他媒体様、スタイリストの方々より非常に楽しく見ましたとたくさんのお声をいただきました。今回の取り組みにより、悲観的になり過ぎず前向きに乗り越えていこうという機運を少しでも届けられたのではないかと感じております。」とポジティブな反響があったといいます。また、このアイデアは同社の海外現地スタッフからも高評価を受けたとのことです。

 

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農家・酪農家を支援!ファクトリエのInstagramアカウントでライブ配信(ファクトリエ)

 

 ファクトリエは、2020年3月20日(金)より、新型コロナウイルスの感染拡大より間接的に被害を受けている九州の自然栽培の農家・自然放牧の酪農家を食べて支援する新プロジェクト「ファクトリエマルシェ」を、自然栽培、有機農業の仕事をしている吉本 法史氏とコラボレーションし、企画を開始しました。本プロジェクトは農家・酪農家の応援を目的としているため、新事業ではないことも特徴です。月に1回程度、吉本氏が訪れている農家・酪農家と店舗を繋ぎ、来店者はその生産者の商品を食べながら話を聞けます。またその模様はInstagramでもライブ配信し、その商品も販売。同社の担当者は「このタイミングで、しっかりと作り手の見えるこだわりの物を、たべて応援できるなら!という気運の高まりもあり、お客様の反応も大変良かったそうです。予定していた個数を追加して販売している」と話しており、お客様からも好評な取り組みとなっています。

 

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消費行動にも見られる変化

 

 家にいながら商品を購入する、在宅購買スタイルが主流になる中で、サブスクリプションサービスの利用にも影響が出ているようです。

オンライン洋服レンタル『airCloset』の新規会員数が2月月初に比べて月末で約 2.8 倍へ!

 月額制のオンラインファッションレンタルサービス「airCloset(エアークローゼット)」の新規会員数が好調に推移しています。2020年2月1日(月初)と29日(月末)それぞれの一日あたりの新規月額会員登録数を比較したところ、29日中の登録数が1日中の登録数の2.8倍であることを発表しました。同社は、「昨年、一昨年の同月でみてみると同数程度でしたので、今年が特に特徴的な伸び率だとみています。コロナウイルスの影響により2月上旬から下旬にかけて巣ごもり需要が高まるなど市場の変化がみられたこともあり、当サービスの新規会員数にも影響があるのでは」と話しています。

 

公式ページ

まとめ

 今回の新型コロナウイルスの拡大により、外出ができない諸外国よりは、対応策が緩和な日本においても、動画を活用したデジタル接客を中心に各社取り組みを行っています。また、ファクトリエのように、この状況に業界を越えて乗り切るために、行われる活動も今後増えてきそうです。

 

 ユーザーとしても、変化する生活習慣から一番適した消費行動を選択するようになると、これまでの買い物様式とはまた変わった形で、商品を求めるようになることが当たり前に変わっていきます。そこには遠隔化を可能にするデジタルが必ず必要になってきます。厳しい状況ではありますが、このデジタルへの変化に対応していくことが必ず求められるタイミングなのかもしれません。

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