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2020.04.09

【本音で語るツール活用術】WEBマーケティングツール最前線 Vol.5――画像検索プラットフォーム「Pinterest」

アパレルウェブ「AIR VOL. 29」(2019年11月発刊)より

written by 鎌戸隆輔(アパレルウェブ)

今回本音で聞いた人はこの人:

ピンタレスト・ジャパン株式会社

カントリーマネージャー 舩越 貴之氏

 

  日頃デジタルマーケティングを実践する中で、気になったツールやサービスを提供している会社に突撃取材します!サービスの紹介で終わるのではなく、デジタルマーケティングのヒントになる様な、ここでしか聞けないインタビューをアパレルウェブ1のツールマニア、鎌戸がお届けします。

ポイント:

SNSより、サイト流入に貢献できる!?ドメイン認証から始まる「Pinterest 」活用入門

取材するサービス:

画像検索プラットフォーム「Pinterest」

どういうサービス?

ユーザーにパーソナライズされた画像が提供される画像検索サービス。気に入った画像を自分専用のボードにピン止め(保存)や、ピンした画像から画像元の外部サイトに遷移も可能。

まずは最初にPinterest が他のSNSと異なる点や特徴を教えてください。

 

 Pinterest はよくSNSとして語られることが多いのですが、私たちはSNSではありません。Pinterest はユーザーがアイデアを探す、生み出すために有効な画像検索のプラットフォームです。SNSは誰かと繋がることが主な目的の一つでもありますが、Pinterest は誰かと繋がりたいと考えて使っているのではなく自分のアイデアを探す目的で使っているユーザーがほとんどです。この利用目的の違いはSNSとPinterest が大きく異なる点です。また、SNSと違い画像が蓄積されていくストック型のプラットフォームであること。画像がユーザーにリピン(※1)されることで拡散されていくことも特徴です。

 

(※1)リピン…他のユーザーがすでにピン(保存)した画像に対してピンすること

 

確かに実際に私(鎌戸)も使っていると、活用しているうちに自分が将来実現したいために参考になる画像を検索、Pin(保存)することが多いです。

 

 そうですね。Pinterest を使って頂いているユーザーの多くは意思決定の前の段階で使って頂くシチュエーションが多いですね。まさにアイデアはあるけど、ふわっとしている段階で使います。実際にPinterest で検索されるワードの97%がブランド指名検索(※2)ではありません。例えば、ファッションの領域で考えるとハッシュタグやブランド名で検索はされず「レザーブーツ」と検索されるケースが圧倒的に多いです。上記の例で言うと、実際に購入するブランドまでは決まっておらず、なんとなく「レザーブーツ」を探していて、自分に似合うもの広く探している状態です。ですので、ウィンドウショッピングに近いイメージです。ファッションはビューティー、フード、インテリアと並んでユーザーに人気のカテゴリーとなっており、ファッション企業とも相性が良いプラットフォームだと自負しています。

 

(※2)ブランド指名検索…「アパレルウェブ シャツ」など検索ワードにブランド名や会社名が含まれるワード

ファッションと親和性が高いとのことですが、実際のアクティブユーザー数はどのくらいいるのでしょうか。

 

 まず、世界の月間利用者は3億人います。国別の利用者数は非公開ですが、ニールセンの調査結果(2019年5月)によりますと、国内には530万人の月間利用者がいると言われています。Pinterest は米国で強いイメージもあると思いますが、現在ユーザーの50%以上は米国で、特にアジアでユーザー数が急激に増加しています。属性で言いますと、女性が多い傾向にありますが男性ユーザーも急増しています。また、年齢は若年層からもう少し上の層まで、幅広く利用して頂いています。因みにモバイル比率は85%です。

 

ここからは企業が実際にPinterest を始めると仮定した質問をさせていただきます。InstagramやTwitterを運用している企業からすると、Pinterest の運用は更なる業務負担となり、運用開始を躊躇する企業もいるかと思います。業務負担という面ではどのようにお考えでしょうか。

 

先ほどもお話しましたが、Pinterest はSNSではなくストック型のプラットフォームです。なので、単純にコツコツと新しい画像を出し続けることが重要なのは事実です。画像を投稿し続けることで、画像が蓄積され、ユーザーとの接点が増えます。ここだけ聞くと負担が大きいと思われがちですが、SNSの様にハッシュタグの選定やユーザーとのコミュニケーションはありません。そういう面では運用の負担は最小限です。

 

確かにSNSはフォロワーとのコミュニケーションやハッシュタグのプランニングに工数がかかりますね。そこが無いという点において業務負担は大きくない様に感じます。では実際に新しく始めるとして、どのような指標を持って、運用するべきなのでしょうか。

 

 ユーザー同士のコミュニケーションを重視するプラットフォームではないので、エンゲージメントの指標はフォロワー数やいいねの数などを追っていくという考えではありません。そのため、アカウントの月間閲覧者数が、エンゲージメントを図るうえで、まず追っていくべき指標となります。その次にサイトへの流入数です。ビジネスアカウントをお持ちの企業様であれば、Pinterest アナリティクスを、お使い頂けますので、アナリティクスからこの指標は確認が可能です。

サイトの流入数も指標としてみるのですね。SNSではあまり指標として設定しない項目だと思います。

 

 実際にPinterest を運用している方の話をお伺いすると、Pinterest の一番のメリットはサイト流入が多いとのことでした。Pinterestが SNSより流入数が多いという話もよく聞きます。流入のパターンとしては、フォロワーになってもらって、ユーザーのフィードにブランドのフィードが流れてというパターンもあるのですが、ブランドのファンにPin(画像)の拡散を委ねているパターンもあります。例えば自社のサイトにPinterest のPinボタンを設置することで訪問したユーザーに画像を保存してもらいます。そこから画像が拡散して、流入が増えるという形です。自分たちで運用していく他に、サイトにPinボタンを設置して、拡散の仕掛けをつくることも流入数増加のポイントとなります。

 

その他にPinterest に企業が取り組む上で欠かせない工夫などありますでしょうか。

 

 自社ECを運用していて、流入数を伸ばすのであれば「プロダクトピン」の活用は是非した方がいいですね。プロダクトピンはPinterest上で製品価格や在庫状況をリアルタイムで把握できるものです。なのでユーザーは気になった商品の詳細をその場で確認できるため、利便性の向上につながります。設定も難しくなく、基本的にはサイト内の共通ヘッダーにタグを設置するだけで対応可能と思って頂いて大丈夫です。

 

 また、ビジネスアカウントをお持ちの方は自社の「ドメイン認証」は必ずするべきです。自社のドメインとPinterest のアカウントを連携させることにより、ユーザーやファンに保存されたものも含む、そのドメイン下から保存されたすべてのピンのパフォーマンスをレポート画面で確認することができるようになります。ドメイン認証していない場合は、ご自身で保存されたピンの成果しか確認することができません。ドメイン認証はウェブマスターの方であれば比較的簡単に行うことができるので、Pinterest 公式ブログやヘルプセンターをご参照ください。

 

 もしまだ、Pinterest のアカウントを持っていない方がいれば、投稿をしなくてもいいので、まずはアカウントを作り、ドメイン認証するだけでもしてみてはいかがでしょうか。リピンされた画像の月間閲覧者数などポテンシャルを見極めてから、運用の方針を決めるのも決して遅くはないです。

 

 

ピンタレスト・ジャパン株式会社公式ページ

 

アパレルウェブ「AIR VOL. 29」(2019年11月発刊)より

 

 


■AIR(APPARELWEB INNOVATION REPORT)とは…

 

 アパレルウェブが持つマーケティングプラットフォームに蓄積されたビッグデータやメディアのログなどから導いた独自データや分析結果、海外のファッションビジネスにおけるテクノロジー導入事例など、ファッションビジネスにおいて即効性のあるレポートを定期的に提供しています。

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