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2016.10.07
撮れたてスナップ!ロンドンファッションウィークに集まったオシャレの共通点とは?
ロンドンコレクション レポート
高嶋一行(写真・文)
ファッション業界から関係者が集まり、セレブが華麗にドレスアップして登場するロンドンファッションウィーク。 9月16日から5日間にわたり行われたSS2017のロンドンファッションウィークでも、たくさんのオシャレ自慢が会場を賑わせていました。そこにはロンドンのトレンドを象徴する共通点、そして注目が集まるセレブの着こなしなど、見逃せないロンドンの「今」を感じることができます。 今回、全日程のたくさんのスナップから厳選して、ロンドンファッションの最新ストリートスタイルをご紹介します。
何が流行ってる??ロンドンの今はストリートで要チェック
胸や背中で語る!ウィットに富んだロゴメッセージ
半年前から少しずつ予兆があり、ポツリポツリと視線を集めていた「ロゴメッセージ」デザイン。それが今回のロンドンファッションウィークでは多数のユニークメッセージが会場を沸かせていました。「Never Grow Up!(大人にならないで!)」、「MUM I’M GOING OUT(ママ遊びに行ってくる)」などの面白いメッセージから、「HELLO BOYS!!」なんてちょっと男性に挑発する女性スタイルなど様々。胸元や背中のオープンスペースに思わず目で追ってしまうフレーズがデザインされています。広がりを見せているキッカケのひとつに、ライダースジャケットがロンドンの街でトレンド化したことが挙げられます。もともとパンクスタイルの代名詞であるライダースジャケット。不満や主張をファッションで表現した“なごり”からファッションデザインに応用されているようです。
メンズファッションでは政治的な不満を掲げたスタイルも見られましたが、今回のレディースブランドが集まるロンドンファッションウィークでは、ウィットな表現や現実逃避感があるロゴメッセージが多く見られました。
もはや無地のライダースジャケットやアウターが物足りないくらいのインパクトがあるロゴメッセージ。着るだけで「攻め」の姿勢をアピールすることが可能です。
また「ハウス オブ ホランド」のコレクションでは、フィナーレにモデル全員がロゴメッセージの大きくプリントされたTシャツを着て登場。ユーモア満点のデザインがストリートでも視線を集めるアイテムは「BUY NOW」商品であり、ショーが終わった後に公式サイトや取り扱い百貨店などで購入可能となっています。まさに現在のストリートなオシャレに必要なものとマッチしたセールス展開となり、売れ行きの結果が気になるところです。ちなみに「ハウスオブホランド」のTシャツは、ブランド10周年を記念したもので、キャッチーなデザインが魅力的です。
華やかに着飾りたい!装飾感あるスカジャンムーブメント
アメリカ軍が駐在する横須賀にて、日本のお土産として発展したスカジャン。実はこのスカジャンがロンドン中の女性から選ばれるアイテムとなっています。6月の行われたロンドンコレクションメンズの際から、すでにトレンド感があるホットなアイテムであったスカジャン。詳しくは前回のスナップレポートを参照。
スカジャンのルーツである日本を描いたものはもちろん、ブランド独自の芸術性ある刺繍が施されたものなど、レディースファッションのアクセントとなる存在感を発揮しています。同じくトレンドであるMA-1よりもカラフルで華やか。似たようなブルゾンスタイルなら、スカジャンを選ぶ女性が増えているロンドンのストリート。オリジナリティーが出しやすく、1枚羽織るだけでコーディネートとして完成する手軽さに、息の長い流行となる予感がします。
MA-1とは違う色のバリエーションが女性に人気。メンズライクな着こなしにも最適な便利ウェアとして活用の幅が広がります。
ジワジワと支持率を伸ばす!ヨーロッパ中で心をつかむ”漢字”の魅力
漢字を使用する日本人や中国人から見れば、思わず二度見するデザイン、それが「漢字」を使ったデザインアイテムです。個性派ファッションが集まるロンドンファッションウィークでは、半年前のシーズンでも「漢字」デザインや「日本語」ロゴは支持されていました。それが現在も飽きられることなく人気であり、むしろコーディネートに取り入れるファッショニスタがジワジワ増加。アルファベットにはないエキゾチックなデザインは、ロンドンを中心としたヨーロッパ中でトレンドとなっています。またファッションとは異なりますが、タトゥーで漢字を取り入れいるスタイルも数年前より広がっています。日本人から見ると奇妙ですが、ヨーロッパでは、“クール”なデザインとして認められています。
意味が分かっても分からなくても、そこはご愛嬌。突然、現れる漢字スタイルは必ず二度見してしまうアイキャッチ力があります。
セクシーさ倍増!シースルースタイルを着こなす女性達
半年前のコレクションで多数のブランドが取り入れたシースルーなデザイン。そのセクシー感あるドレススタイルが、一定数の女性から好んで取り入れられています。装飾感ある刺繍が贅沢にデザインされているものから、レース素材で大人フェミニンに着こなせるアイテムまで多種多様。共通点はブラックもしくはホワイトのモノトーンカラーのチョイスです。カラー素材よりも、より大人っぽく美貌を引き立てることができるシンプルなブラックとホワイトに人気が集まっています。
ドレスはゴージャスに、トップスはフェミニンにコーディネートできるシースルーデザイン。女性らしさをアピールでき、パーティー会場に冴えるポテンシャルを持っています。
【会場の盛り上げ役】ショー会場に現れたセレブの着こなしは?
世界のファッションリーダー アレクサ・チャンはカジュアル節
ロンドンファッションウィークのセレブの中でも、その着こなしが注目されるオシャレ女王のアレクサ・チャン。日本の雑誌でも頻繁に紹介される彼女のスタイルは、大人ガーリーなカジュアルが魅力です。「ハウス オブ ホランド」の会場に現れた際には、ハイウエストのデニムに光沢感あるPU素材のジャケットをプラス。さらに、可愛く独自のアプローチが注目されるブランド「ライアン ロー」の会場でも彼女をキャッチ。ライトなパープルがアクセントとなったプリントトップスを、フェイクレザーのスカートに合わせています。
セクシーから上品まで何でも 最も会場を騒がせたセレブ
とにかくたくさんの会場で、多くのカメラマンからのフラッシュを浴びたのが、若手女性シンガーソングライターのエラ・エア。2014年にブリット・アワードで最優秀ブリティッシュ・シングル賞を受賞。最近ではDJフレッシュ「Gravity」でのコラボレーションでUKチャート4位を記録するなど今後の活躍に注目が集まる女性シンガーです。実は右下の「トップ ショップ ユニーク」に来場したブラックのトップスコーデ以外、3つのスタイルは同じ日にスナップしたもの。10時に行われた「ジャスパー コンラン」のショー会場には、千鳥格子柄のスカートをベースにしたエレガントなファッションで登場。かと思えば、13時の「ジュリアン マクドナルド」の会場ではセクシーなドレス姿を披露しています。さらに、その後すぐに始まった15時の「ハウス オブ ホランド」のショーへはユニークなキャラクターモチーフのコートで来場。出席するブランドのアイテムでゴージャスに着こなす姿は、まさに“オシャレなセレブ”そのものです。
イギリス女優のキレイな品格 ドレスに負けない魅力を持つオリビア
映画はもちろん、イギリスのテレビドラマ「PAs~秘書たちのゴシップライフ」などで活躍する女優のオリビア・グラント。彼女がショー会場に現れると、カメラマンからの「オリビア!」コールは止むことはありません。ドレスアップしたスタイルでは、シンプルなものを選びスタイリッシュにコーディネート。ポージングもしっかりとキマり、次の日のロンドンでの新聞でも取り上げられていました。
笑顔で撮影に対応 女優ナタリー・アンダーソンは無地がお好き
ショー会場に遅れて登場し、その日のショースケジュールをメチャクチャにするセレブが少なくない中、しっかりと時間通りに来場するセレブがナタリー・アンダーソン。彼女もテレビドラマなどで活躍する女優です。カメラマンからの撮影依頼にも快く応じる。さらにスマイルも忘れない、日本で言う「神対応」を行うセレブです。今回のロンドンファッションウィークでは、カラーは違っていても無地のドレスで登場。そのカラーも鮮やかで、笑顔に負けないくらいの眩しさが魅力です。
ノエルの娘アナイス・ギャラガーも 続々来場するセレブたち
注目ブランドのショーであれば、知名度に比例して有名人もたくさん来場します。ロンドンファッションウィークならではの、イギリスで活躍する女性達がショーのために着飾ったスタイリングに注目しましょう。
ニコラ・ロバーツ:イギリスで人気があり、おしまれつつ活動休止をしたアイドルグループ「ガールズアラウド」のメンバー。現在は、ファッション関連の番組などに出演。レッドカラーがゴージャスなロングドレスにトレンドのライダースジャケットを組み合わせています。
アナイス・ギャラガー:イギリスを代表するバンド「オアシス」のギタリストだったノエル・ギャラガーの娘。「ハウス オブ ホランド」の会場でデニムブランドのリーとコラボレーションしたオーバーオールをスタイリング。足元の毛足の長いファーシューズが特徴的です。
ファーン・コットン:テレビやラジオで活躍するイギリスセレブ。日本のファッション雑誌にも紹介される注目オシャレ女子。「ハウス オブ ホランド」の会場では、誰よりも目立つシャイニーなプリントドレスを着用。スペースシャトルなど、夢のあるモチーフが個性的です。また、カジュアルなスタイルにチュールスカートを合わせた着こなしも披露。
フォクシーズ:イギリスの実力派シンガー。日本でも洋楽好きな女性から人気のある世界的ヒット歌手。「ジュリアン マクドナルド」のショー会場にプリーツのロングパンツ姿で登場。ブラックとピンクのコントラストにラグジュアリーなアイテムチョイスが魅力です。
アリーシャ・ディクソン:イギリスを拠点に活動する歌手。5年の休止から活動再開をした話題の女性。「トップ ショップ ユニーク」の会場に登場したアリーシャ。深みのあるブルー1色のドレスで正統派なゴージャス感にまとめた着こなしです。
トレンドと個性が混ざる場所―それがロンドンファッションウィーク
トレンドとなるファッションや、セレブにフォーカスしてご紹介したストリートスナップ。ただ、ロンドンらしいオリジナリティーある個性派ファッションでドレスアップした方も多く、着る人も見る人も楽しめるポイント。トレンドと個性がミックスされた独自の雰囲気がロンドンファッションウィークらしさでもあります。
高嶋 一行(たかしま・かずゆき)
ロンドンのELEY KISHIMOTOにてデザインアシスタントを経験後、日本では海外ブランドのセールス・PRエージェント会社に勤務。 現在はイギリスに戻り、英国を中心としたファッション記事を執筆中。 現在、ファミリーセールやサンプルセールの情報サイト「tokyosamplesale.com」(毎日更新)も運営している。
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