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2016.07.01

スナップ!ロンドンコレクションメンズで撮れたオシャレ事情

 6月に行われたメンズブランドの2017年春夏シーズン発表の場、ロンドンコレクションメンズ。4日間の期間中、新作コレクションの内容と同じく注目されているのがストリートスナップです。メンズファッションはもちろん、ファッション関係者のレディースファッションも面白い傾向を発見。ファッション業界の最先端を知る人達は、どのようなアイテムをスタイリングに選んでいるのでしょうか。

コーデの仕上げは二極化!スカジャンVSライダースジャケット

 メンズブランドが集まるロンドンコレクションメンズですが、ファッション関係者として女性もたくさん集まります。そして人が集まれば流行となるファッションも見えてきます。そこには大きく分けて2つ、人気のスタイリングアイテムがありました。

増えるライダース愛用者、昨シーズンからさらに増加

 梅雨がない6月のロンドンでも悩まされるもの、それはイギリスらしい天候ともいえる突然の雨。1日の中で晴れと曇りを繰り返すローテーションが常識化しており、決して暖かい気温が続くわけではありません。まだまだ重ね着や羽織りものが必要なロンドンの気候では、本格的な夏っぽいスタイルはまだまだおあずけ。そこで、昨シーズンから引き続きレディーススタイルのメインとなっているアイテムがライダースジャケットです。カラーはもちろん王道のブラック。ワンピースに合わせるレディースらしい着こなしも見られましたが、パンツを合わせるメンズライクなスタイルも目立ちました。タイトなシルエットは、女性らしいスタイリングとして気軽に取り入れられることがポイント。テーラードジャケットよりも扱いやすいタフなアイテムとして重宝されています。

ファッションジャーナリストとしてイギリスファッション業界のセレブであるメラニー・リッキー(Melanie Rickey)もライダースジャケットで登場。こちらもトレンドのガウチョパンツは上品で華やかなフラワーモチーフのプリントアイテムです。

圏外からランクイン!スカジャンは日本製??

 視線を集める虎や富士山、光沢感あるサテン生地が特徴的な日本が生んだファッションアイテム「スカジャン」。半年前のストリートスナップでは見られなかったスカジャンですが、ロンドンコレクションメンズの会場では数多く見つけることができました。

 

 Tシャツやカットソーファッションの仕上げとして羽織るスタイルが基本。ロンドンでスカジャンを取り入れたスタイルは、圧倒的に女性が多かったです。アーティスティックでありエキゾチックな刺繍。中にはアレンジされ、花柄プリントや華やかなデコレーションを取り入れたデザインも見られます。このような装飾が素敵なスカジャンが、季節感あるファッションを意識する女性とマッチした模様。

 

  思い返すこと約1年前。2016春夏である今シーズンのコレクションとして、ルイヴィトン(LOUIS VUITTON)を筆頭に、ラグジュアリーブランドがスカジャンをデザインしています。まさに狙い通り、教科書通りにトレンドとして広がったようです。

王道のスカジャンっぽい刺繍はもちろん、ロックなデザインやフェミニンな花柄まで様々なスタイルがあり多彩。サテン生地の艶やかさを活かした無地のスタイルも人気です。

どっちがお好み?テーラードVSストリート

 会場に集まるメンズのファッションは、例年通り英国ならではのジャケットスタイルと、個性あるストリートスタイルに分かれます。上品なスタイリングで会場に格式の高さを印象付けるトラッドなファッションに、ロンドンらしい新鋭的なデザインやビンテージアイテムを取り入れたオリジナリティーある着こなしが混ざり合っています。それぞれのスタイルから見る傾向にフォーカスしてみましょう。

グレーやホワイト!ジャケットスタイルは明るいカラーが春夏気分

 サヴィル・ロー出身ブランドの参加も多いロンドンコレクションメンズでは、スーツを着こなす男性もたくさん集まります。そんな彼らが春夏に取り入れるカラーはグレーやホワイト。スリーピースでも明るいグレーで暑苦しさを感じさせないスタイリングに努めています。フィット感はもちろん、エレガントな着こなしに見える基本を忠実に守りながらも、どこかに自分らしい主張を持ってくる方法がオシャレな取り入れ方となっています。

 

 それがネクタイなのかスーツの生地の柄なのか、はたまた小物使いで主張するのかはセンス次第。このワンポイントのアクセントで、ジャケットスタイルにも個性を引き出しています。

ネクタイでカラーを加える方法は、王道中の王道。インナーに合わせるカットソーやハットを取り入れるなど、自分らしいアレンジ方法は様々です。一見、自由が利かないスタイルのように感じるジャケットスタイルですが組み合わせ次第でオリジナリティーを取り入れることが可能です。

カラーやデザインでインパクト!アイテム選びでアイキャッチ

 ストリートな着こなしを見ると、明るいカラーで視線を集めるコーディネート、芸術的なデザインやコレクションブランドの最新アイテムでモードに着こなす姿も。スーツを取り入れたスタイルとは違う、モダンなファッションが見どころです。

イエロー、ブルー、ピンクなどのカラーに加え、プリント柄で華やかさを演出した着こなしも目立った春夏の着こなし。自由にオシャレを楽しむロンドンらしさをロンドンコレクションメンズの会場で再確認することができます。

どんな着こなし?会場に集まったセレブをキャッチ

 最新コレクションが発表される場に欠かせない華といえば、セレブリティーの存在です。中でも男性セレブは、ビシッとジャケットでキメていても、カジュアルな装いでも、スッキリと見えるシンプルな着こなしが目立ったシーズンでした。その分、夏のイメージに合ったカラーリングに工夫が見られるコーディネートです。

ロンドンコレクションメンズでは数多くの会場に足を運んだイギリス人モデルのオリバー・チェシャ(Oliver Cheshire)。カジュアルなスタイリングが特徴的です。ジャケットを羽織ってもスニーカーなどのカジュアルダウンを忘れないリラックスした着こなしで個性を出しています。

イギリスで最も成功しているモデルと言われているデヴィッド・ギャンディ(David Gandy)は、鮮やかなパープルのダブルジャケットスタイルで登場。ホワイトのパンツがサマースタイルらしい雰囲気にまとまっています。

ジム・チャップマン(Jim chapman)はイギリスの有名なユーチューバー。ネット上で活躍する今時のセレブは、装飾感なしのグリーンのパンツスタイルが印象的です。明るい色にまとめたブルゾンスタイルが爽やかさを感じます。

フー・ビン(Hu Bing)は中国で人気の高い俳優。中国ブランドもコレクションを発表しているため、セレブリティーの1人として来場していました。Tシャツに合わせたブルーのセットアップがエレガントでも肩の力を抜いたファッションに仕上がっています。

ファッションリーダーは一味違う!自分なりのスタイルを確立

スザンナ・ラウ

エイサップ・ロッキー

ナオミ・ハリス

 シンプルなファッションで登場したセレブリティーの一方で、ファッションリーダーとして影響を与える有名人は他人とは違う自分らしい個性をコーディネート。スタイリングで存在感を出したセンスに視線が集まっていました。
 ファッションブロガーとして常にスタイリングが注目されるスザンナ・ラウ(Susanna Lau)は、ボリュームあるジャケットにヒラっと動きのあるスカートを組み合わせ。シルエット重視の着こなしにまとめています。
 オシャレなラッパーとして注目を集めるエイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)も登場。ラグジュアリーブランドのアイテムをストリートスタイルで着こなすのが彼のスタイルです。コラボレージョンプロジェクトで話題となったJ.W.アンダーソン(J.W. ANDERSON)のコーディネートでまとめています。
 女優のナオミ・ハリス(Naomie Harris)は韓国ブランドのソンジオ(SONGZIO)でドレスアップ。流線型プリントのスタイリッシュアイテムをさらりと着こなしています。

イギリスの人気バンド、マクフライ(McFly)のベース担当であるダギー・ポインター(Dougie Poynter)もロンドンコレクションメンズに来場。ミュージシャンらしいスキニーパンツにメッセージ性のあるプリント柄のシャツでスタイリッシュに登場しています。

番外編!コレクション会場で見つけた明日使える話題とは

 ストリートスナップでお腹いっぱいになったところで、ロンドンコレクションメンズの会場で見つけた少し気になる小ネタをご紹介。メディアには載らない小さな話題がたくさんあることも、コレクション会場の魅力です。

1.5億のユーザーは無視できない!スナップチャットも公式化

 フェイスブックやツイッターがメインだった時代は終わり。インスタグラムがファッション業界でもSNSの王道となる中で、新鋭のSNSがスナップチャットです。6月頭にはユーザー数が世界で1億5000万人に達したことがニュースとなり、勢いのあるコミュニティーツールのひとつとなっています。
 もちろん、ファッション業界もスナップチャットに積極的に参入している状況です。ロンドンコレクションメンズに参加するメインブランド、トップショップユニーク(TOPMAN Design)やマン(MAN)では、会場入り口に大きくスナップチャットのアカウントが紹介されていました。インスタグラムに続いて、ファッションの分野でも活気づくことが予想されます。

体験型アート!スタッフもみんな一つになれる文化祭的な取り組み

  公式のプレゼンテーション会場横に現れたのは、簡易写真スタジオ。ここで、写真を撮ってその場でファイリングをしてくれるイベントが行われていました。もちろん来場者の方を中心に写真を撮っていくのですが、中にはセキュリティーの方やカメラマンなどのスタッフも興味本位で参加。撮った写真は壁にも貼られていき、最終日には壁全体が写真で埋まっている状態です。
 みんなで作るファッションイベントであるロンドンコレクションメンズ。そんな文化祭のような雰囲気を出した催しは、アットホームでワイワイとした一体感が魅力です。

裏でスタッフは大忙し、でもモデルはリラックス!

 キャットウォークショーやプレゼンテーションの準備を行うバックステージ。デザイナーはもちろん、ヘアメイクやスタイリングを行うスタッフが忙しく動き回る場所です。限られた時間内に全ての準備を行わなければならないスタッフには、直前の修正やモデルへのフィッティングなど対応することはたくさんあります。そして、バックステージ内の撮影でウロウロするフォトグラファーも多数。そんなカオスな場所となり誰もが必死な裏方ですが、モデルは至ってリラックスムードな場合も。
 ヘアメイク待ち、ショーの出番待ちなど待ち時間が多いモデル達は、カメラを向けても余裕の表情であることが印象的です。


 

 

高嶋 一行(たかしま・かずゆき)
ファッションライター

 

ロンドンのELEY KISHIMOTOにてデザインアシスタントを経験後、日本では海外ブランドのセールス・PRエージェント会社に勤務。 現在はイギリスに戻り、英国を中心としたファッション記事を執筆中。 現在、ファミリーセールやサンプルセールの情報サイト「tokyosamplesale.com」(毎日更新)も運営している。

 

tokyosamplesale.com

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