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2018.12.29
【2018年】ストーリー性を重視したブランド構築事例4選
ブランドを構成する要素として挙げられるのは機能性、デザイン性、ストーリー性と言われているが、近年その中でもストーリー性が力を持ち始めている。
機能性やデザイン性に関して良い商品はすでに世の中に溢れていたり、すぐに他社に真似されたりする中で、ストーリー性はそのブランド固有のものである分、カスタマ―が感じる価値も無二のものとして捉えられるからだ。それは情緒価値、すなわち情緒的な付加価値とも言えるものだ。
そこで今回は、2018年にご紹介したブランドのなかで、ストーリーを共有し情緒価値をうまく伝えた事例をおさらいしよう。
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社会問題に取り組むブランド
ブランディングにおけるストーリー性の中でも2018年に特に注目されたのがサステイナビリティだ。サステイナビリティとは持続可能性のことで、労働のサステイナビリティと環境のサステイナビリティに分けられる。
もともと労働におけるサステイナビリティに関する議論の発端は、2013年4月にバングラデシュの首都ダッカ近郊で1,100人以上の衣料労働者が亡くなった「ラナ・プラザ」ビルの崩壊だ。この事件は衣料労働者の劣悪な労働環境が広く認知されるきっかけになった。
今まで見えなかった情報に対する透明性が高まってきている現代において、カスタマーは社会問題に対して当事者意識を持ち始めている。そういった問題意識が高い消費者にとって、社会問題を解決しているというストーリー性はデザイン性や機能性よりも重要度が高く評価されると考えられる。
Everlaneのサステイナビリティへの取り組み
サンフランシスコとニューヨークに店舗を構えるアパレルブランドEverlaneは、「Radical Trasnparency : 徹底的な透明性」という信念のもと、製造工場における労働環境や、衣服の原価だけではなく値段の内訳をすべて公開している。
製造工場で働く従業員の様子(画像はEverlaneのホームページより)
Everlaneは労働のサステイナビリティを重視し、自社のECサイト上に世界各地の工場の様子を公開している。カスタマーは工場内の様子や、製品が誰によってどのような過程を経て製造されているのかを確認することが出来るのだ。
また、商品の原価や内訳もウェブサイト上で開示している。内訳には人件費も含まれており、商品ごとに1着にあたりいくらの人件費が支払われるのかも明確にしている。
Everlaneは今やアメリカの人気ブランドとなっている。サステイナビリティというストーリー性で成功したブランドの1つとと言えるだろう。
なお、ブランドのサステイナビリティについてもっと知りたい方は『アパレル業界の未来を予測!知っておくべき6つの現象【後編】』と『いまブランドが捉えるべきは“ユーザーの意識変化” – サステイナビリティーが重要視される理由とは』をご参照いただきたい。