PICK UP
2015.03.11
舞台はショッピングモールからジムへ ますます過熱する“アスリージャー”トレンド
NYで開催された、コーテリーショーの『アスレチックウエア』を集めたブース。
右はレベッカミンコフのスポーツライン
70年代ファッションや、デニムファッションも注目されていますが、中でもアパレル業界に大きく影響しているのがアスリージャートレンド。瀕死の米国ショッピングモールを救うことができるのは『ジム』だとも言われており、ヨガやフィットネスジムのトレンドは引き続き大注目。NPDグループによると、昨年アパレル&ファッション雑貨に消費された金額は、3,230億ドル(約38兆7600億円、$1=120円換算)。その中でも、アクティブウエア、アスレチック、パフォーマンスフットウエアが大きな割合を占め、売り上げを牽引しています。先月、NYの展示会をざっと回ってきましたが、アスレチックウエアブランドを集めたブースが特設されていました(上の写真)。写真右側は、「レベッカ ミンコフ」が通常のラインとは別にブースを取って販売していたスポーツライン。ブースでは、スタイリッシュなジムバッグやスニーカーがありました。一時的なトレンドというよりは、もっと根付いたファッションになりつつあるように感じます。リサーチ会社のIBIS WOLDによると、昨年米国でジムやフィットネスクラブ等の会員になった人数は5,400万人以上。人々を魅了し、さらにパワフルな現象へと導いているビジネス、そしてその鍵を握る消費者に注目してみました。
初心者たちを囲い込み フィットネスのバイキング「CLASS PASS(クラス・パス)」がすごい!
クラス・パス http://classpass.com
今フィットネス市場で注目を浴びているのが、2013年にNYでスタートした「クラス・パス」。月に99ドルを支払い会員になれば、何種類ものクラスを無制限で受けることができるのです。ピラティスや、サーフボードヨガ、キックボクシング、トレンドのソウルサイクルのようなブティックフィットネスまであり、現在全米24都市で2,000のスタジオと契約。月に150万件の予約が入っているという。人によっては、1カ月に20クラス達成したというくらい“フィットネスオタク”を作り上げてしまったと言われるほど、その都市のクラスはどこも大変な混雑状態。クラス・パス利用者の65%は、フィットネス初心者ということですので新規のスポーツ人口を生み出しています。
合言葉は“#汗だく” フィットネス版SNS「BURN THIS(バーン・ディス)」
アプリにアップされている写真↑
BURN THIS(バーン・デイス)https://www.burnthis.com
スポーツとヘルシーフードに特化した、インスタグラム+ピンタレストを足したようなアプリ。ワークアウト(運動)している自分の写真や、毎日飲んでるスムージーなどの写真がアップされています。インスタグラムのように、友達をフォローしたり、“LIKES”やコメントを残す事が出来るほか、写真の中に#SWEATY(汗だく) #ACCOMPLISH(達成)などのワードを組み込めるのが特徴。このハッシュタグ付きのワードが画像と重なりメッセージがダイレクトに伝わってきます。米国外の国からも、グローバルに繋がりたいとリクエストが殺到しているそうですが、ダイエット中や、きついエクササイズ中も頑張っている人たち
フィットネスウエアの定期購入「SWEATSTYLE(スエットスタイル)」
スエットスタイル http://www.mysweatstyle.com/
今年立ち上げたばかりの、ハイエンドのフィットネスウエア・アパレルの定期購入サービス。サイズや、どんなスポーツ、アクティビティをするかなど、事前の質問に答えて登録。その後、送料(定期購読料含む)1回に付き20ドルで、5着のアイテムが送られてくる。購入するかどうかを5日間の間に決め、買わない場合は準備されているラベルを付けて無料で返品。全部購入する場合は15%オフのサービスが受けられるというもの。取り扱いブランドは、『アライア』『コーラル』『プリズムスポーツ』『ファットブッダ』など、いずれも新進のハイクオリティ商品。価格帯は、トップス(45~120ドル)、ボトムス(70~140ドル)、スポーツブラ(40~100ドル)。価格帯やサービスから考えると、スポーツをライフスタイルの一部に取入れている中級クラス以上の女性、ルルレモンのターゲットと似ています。3月の正式リリースまで限定受け付けをしていますが、すでにフルで予約済み。ブランドの数は順次増えて行く予定。
フィットネストレンドで注目される3大消費者
(左)ルルレモンのキッズブランド イヴィヴァ(中央)高所得のヤングレデイース
(右)マッデイ・スパルタン・レース
●ティーンエージャー
アクティビティウエア市場の売り上げの28%は10代の客層。2008年の6%から確実に増加しており、定番のデニム市場からシェアを奪っている。スポーツとは別に、ルーズでリラックスした着こなしを好み、部屋着からお出かけ着まで幅広い。ヨガウエアの『ルルレモン』では10代の客層をターゲットにした姉妹店『IVIVVA-イヴィバア』を拡大中、アディダスも10代向けのアスレチックギアブランドを企画中と注目株。
●ヤングレディース
ルルレモンの客層に代表される、20~30代の独身高収入の女性消費者層。ジム、買い物、カフェにもレギンスを着用するアスリージャートレンドのターゲット。ナイキでは、2017年までにこの世代向けのラインで新たに20億ドル(約2400億円)の売り上げを見込んでいる。スポーツ用品を扱う『DICK’S SPORTS GOODS』でも、人気オーディション番組「アメリカンアイドル」のシーズン4で優秀新人賞を受賞したシンガー、キャリー・アンダーウッドとのコラボで、『CALIA』ラインを開始している。アンダーアーマーも、女性向けのラインを拡大するなど、ヤングレディースターゲットのスポーツウエアは、アスレチックウエア市場の中でも高額商品の販売が期待される。
●シリアス・アスリート
お買い物にもカフェにもというレベルではなく、ハードなスポーツを好む女性のためのアパレルライン。リーボックでは、タフフィットネスや、ハイ・インテンシティワークアウトと呼ばれる、クロスフィットや泥の中で競い合う、マッディ・スパルタレーズなどの過酷な運動をする女性をターゲットにしたアパレルギアをスタートしています。また、顧客の90%が男性だというオークレーでは、レディースの客層の獲得を狙い、ヤングレディース向けの本格的なトレーニングウエアをスタートしている。自分を追いつめるようなタイプのハードなスポーツ人口もじわじわと増えているようです。
今回、ご紹介したビジネスは、ほんの一部ですが、このトレンドが根強いと感じるのは、ファッション+スポーツというパワフルな目的があること。今まで年間契約が一般的だったスポーツクラブも、条件が緩和して会費も安くなっており、月10ドルのジム『PLANET FITNESS』も拡大中。消費者層に合わせたプランが増え、モチベーションを上げるSNSの存在や、便利なサービスが登場することで、スポーツ人口の増加、アスレチックウエアの消費に完全リンクした市場が生まれているようです。
マックスリー・コーポレーション
マックスリー・コーポレーション ( CHIZU NISHIDA ) ■ビジネス関連のお問い合わせ:小林まで
【公式サイト】http://www.maxrecorp.com/ |