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2018.06.13

欲しいものを事前にリストアップ「ウェディングギフトレジストリ」市場 ミレニアル世代の活用術

 デパートをはじめ、ターゲットやベッドバス&ビヨンドといった小売りチェーン、キッチン雑貨ウイリアムソノマやアンソロポロジーといった生活雑貨を扱うセレクトショップなど、小売り業界にとってビッグビジネスの1つといわれているのが、190億ドルとも言われているウェディングギフトレジストリ市場。家電やインテリアグッズなど、結婚予定のカップルが、欲しい商品を事前に登録しておくことで、ファミリーや友人達が、予算に合ったギフト商品を贈ることができる、非常に合理的なシステムです。すでに購入済みの物を買ってしまったり、趣味の合わないアイテムを選んでしまう心配がなく、忙しい利用者にとって最大のメリットと言えます。後期ミレニアル層がようやく結婚をスタートしていますが、どの様な変化があるのでしょうか。

経験を好む世代の現実的なウェディングギフト「キャッシュレジストリー」

ブループリント・レジストリの「Cash Registry」から

 家や車を所有せず、都心に住む傾向が強いミレニアル世代が、親達よりも婚期が遅れていると言われる原因の1つに、結婚前に長期間、同棲をするカップルが多いことが挙げられています。同棲生活の中でキッチン家電や家具はすでに所有しており、結婚ギフトとして必要としていません。オンライン・ウェディングギフトレジストリーの「ブループリント・レジストリ(Blueprint Registry)」によると、従来のギフトの代わりに急上昇しているのが、「キャッシュレジストリ」。「ブループリント・レジストリ」のサイトでは、ハネムーンのためのエアーチケット、キッチンのリノベーション(改装)費用、スカイダイビング、オペラ鑑賞、クッキングクラス、カップルマッサージのほか、家を買うための頭金1万ドルというようなオプションもあります。掃除機や調理器具など具体的な商品の代わりに、新生活のための軍資金や、カップルの趣味に合わせたイベントギフトが上昇し、「ブループリント・レジストリ」利用客の70%が、このキャッシュレジストリーを選択しています。

 

 4年前のスタート以来、50万人のカップルが利用している急成長のウェディングギフトレジストリー「ゾーラ(Zola)」でも、パーソナライズを好むミレニアル世代に向け、従来のギフトアイテムに加えて、「EXPERIENCE―経験」という項目を設けています。旅行、スパ&ビューティー、フィットネス、フード&ワインなどのカテゴリーがあり、自転車エクササイズ「ソールサイクル(SOUL CYCLE)」のチケットパス、材料とレシピがセットで届く「ブルーエプロン(Blue Apron)」の定期購入など、ライフスタイルに合わせたプランが並んでいます。

シェア45%に急成長 アマゾンもウェディングギフトレジストリに参戦

 そんな中、従来のギフトレジストリを扱う小売り店にとって、大きな脅威が、Eコマース最大手アマゾン。Loop Capital’s Anthony Chukumbas社が、結婚予定の200組のカップルを対象に行った調査によると、45%がアマゾンでレジストリを行っており、昨年の市場シェア12%から急成長していることがわかります。

 

 インターネットに精通したミレニアル層が、アマゾンを好んで使用していることが大きいのですが、家電から旅行まで幅広いセレクションであることはもちろん、送料無料、商品の予算が高い際に友人同士で購入できる「グループギフト」といったサービスが充実しています。また、他のECで希望の商品をレジストリ(登録)し、アマゾンの中でひとまとめにできる「ユニバーサルレジストリツール」も便利です。例えば、「アンソロポロジー」のサイトで閲覧したシャワーカーテンをアマゾンのギフトレジストリに加えることができるのです。そのほか、買い物完了時にディスカウントや無料のギフトなどの特典を利用できることも人気となっているようです。

 

 フードから、フラワー、インテリアデザイン、バンド音楽のサービス、ハネムーン費用に至るまで、ウェディングパーティーで必要なあらゆるモノ・コトをギフトにしてしまうサービスが登場しています。親世代とは異なったライフスタイルを持つ、合理的でパーソナライズを好むミレニアル世代ならではと言えます。アパレル業界でも、クリスマス商戦や、バック・トゥ・スクール商戦などで、受け取る側と購入する側の利便性やパーソナライズをベースにしていく中で、新たなビジネスのヒントとなるかもしれません。


 

 

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