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2015.07.22
NYコレクションメンズを通じて見た「NY X ファッション X テクノロジー」のコラボレーション
TODD SNYDER | #NYFWM
7月13日から7月16日の4日間に渡り、アメリカのメンズファッションデザイナー等が2016年春夏の最新コレクションを発表しました。13日はアメリカ版「GQ」誌も注目する新進気鋭の若手デザイナーがグループのプレゼンテーションを開催し、その中には今年のCFDA/VOGUEファッション基金アワードのノミネートデザイナーの一人であるDAVID HART(デヴィッド ハーツ)もコレクションを発表しています。
2日目の14日は、THOM BROWNE.NEW YORK(トム ブラウン ニューヨーク)に始まり、また2014年度のCFDA/Vogue基金アワードのメンズ・デザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞したPUBLIC SCHOOL(パブリック スクール)と取材は続きました。今回パブリックスクールはランウェイではなく、プレゼンテーション形式でコレクションを発表しました。警察署での面通しをインスパイアさせる四角いボックスの中に並ぶモデルたちは、ブランドのシグネチャーであるブラックとホワイトを中心としたコレクションに身を纏ったのです。招待客からはこれだけパワフルな印象を与えるプレゼンテーションの見せ方であればランウェイである必要はないよね、という声も聞こえました。
午後には日本でも展開されるTODD SNYDER(トッド スナイダー)。夜には尾花大輔氏が手がけるN. HOOLYWOODのランウェイショーが開催されました。今季もモデルをニューヨークの街中でスカウトするなど、コレクションだけでなく、その発表のスタイルにもオリジナル性を感じます。
インスタグラムが今季も最強のデジタルマーケティング ハッシュタグは #NYFWM
今回メディア関係者はバックステージ等のすべてのアクセスが許されました(事前申請/承諾、有料)。アメリカではインスタグラムなどの写真のシェアとは別に、Vine(ヴァイン)やSnapchat(スナップチャット)といったビデオでのソーシャルエンゲージがファッション業界では目立っています。このFASHION x ITのコラムでもインスタグラムがアメリカのファッションシーンで活用され始めている事は数年前より既に紹介しています。
Vol.17 “なう”が好きな人はインスタグラム (2012年9月掲載記事)
Vol.26 ファッション業界でも流行!「Vine」ってなに?(2013年2月掲載記事)
どちらもミレニアム世代を中心に人気のSNSとして知られ、メディア関係者もインスタグラムを返し、自分のSnapchatのアカウントをフォローするよう促す人をちらほら見かけ、動画でのエンゲージも再び注目されています。しかし、今季もまだまだインスタグラムが最強のデジタルマーケティングとしてファッション業界で活用されているのが現実です。
シリコンアレーと称される街・ニューヨーク
今回のNYファッションウィークメンズのスポンサー/サポーターの中にはAmazon Fashion(アマゾンファッション)、Fashion GPS(ファッションジーピーエス)、Tumblr(タンブラー)といったIT系企業が含まれ、中でもアマゾンがメインスポンサーとなりました。ファッションショーのスポンサーというと大手自動車企業などが多いが、IT系企業がスポンサーになるという事は今私たちの生活、ファッションとの関わりの中でテクノロジーが欠かせない存在となっており、その必然性を感じずにはいられません。
ニューヨークといえば、ファッションの街であり、今では「シリコンアレー」と呼ばれるほど、クリエイティブエージェンシーや、ファッション業界、メディア関係者などの様々な人々が集まり、IT系のスタートアップがマンハッタンのダウンタウンエリアを中心に多いことでも知られ、その中にはもちろんファッション関連のサービスを提供する企業も多いのです。
今回スポンサーとなったAmazon Fashionはウィリアムズバーグ地区(ブルックリン)に広大なフォトスタジオを2013年にオープンしています。撮影に関わる人材が全米から飛行機に乗ったりして西海岸で撮影が行われることが多かったらしいのですが、ファッションの撮影をしているのに、その業界に関わるヘアメイクやスタイリストといったクリエイティブな集団が多く住むニューヨークに、スタジオを持つ方が合理的ではないかという理由もありスタジオを建設したとも聞いた事がある。ニューヨーク市としてはAmazon Fashionがスタジオをブルックリンにオープンしたことでクリエイティブな仕事を持つ人々にとって雇用を生んでいる訳なので万々歳な訳です。
リテールも参加し、ファッションウィークを盛り上げる
ファッション関連のブランドとしてはデトロイト発で、ニューヨークのトライベッカにフラッグシップストアを持つ時計ブランドの「SHINOLA(シャイノラ)」もスポンサー/サポーターとして参加しました。メイン会場となったスカイライト・クラークソンではポップアップショップも出店。次回のコラムではその辺りも紹介したいと思います。
Bloomingdale’s | #NYFWM
オフィシャルスポンサーではないものの「Bloomingdale’s(ブルーミングデールズ)」や「Bergdorf Goodman Men’s(バーグドルフグッドマンメンズ)」などマンハッタンに店舗を持つ両リテールは、NYコレクションに参加したデザイナーを、ストアのウィンドウを活用しニューヨークコレクション特集のディスプレイを作り、初となるNYファッションウィークメンズを盛り上げました。
Bergdorf Goodman Men | THOM BROWNE. NEW YORK | #NYFWM
両リテールともに、ウィンドウにはハッシュタグ「#NYFW」を明記し、ストアのウィンドウディスプレイを撮影する人々にハッシュタグの活用を促しました。バーグドルフグッドマンメンズでは通常、「#GoodmansOnDisplay」もストアウィンドウの写真のシェアの際に活用しています。
次回コラムでは、ニューヨークファッションウィークメンズの会場となったスカイライト・クラークソンや、また周辺で行われたFASHION x ITについて紹介したいと思います。
R I N A 90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。
以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。
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