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2023.06.20

まだまだ加速する韓国ファッション

 ドラマ、グルメ、K-POPと、20年近くあらゆるジャンルでブームが衰えない韓国カルチャー。ファッションにおいても若者の心を惹きつけてやまず、その勢いはまだまだ続きそうだ。今号のファッション力では韓国現地取材を含め、昨年日本に上陸して話題の韓国ファッションサイト「ムシンサ」、日本に複数の店舗をもつ韓国セレクトショップ「エージェム」を取材。韓国ファッションブームの実態をレポートする。

 

 

Interview : Masahiro Kubo、Utako Amino
Photo : Masahiro Kubo、Sakura Tomii、Sakura Tsuchiya、Ewori Wada
Illustlation : Hiroko Fukuchi

 

 

 

◆ソウルマップ

 コロナからの復活を遂げたこの数シーズン、パリで見かけるアジア人バイヤーと思しき人々からは、振り返るとハングルが聞こえてくることが多い。トレードショー「トライノ」内にも、「ソウルファッションウィーク」がパビリオン出展する。そんな勢いのある韓国。ソウルでベンチマークすべきショップをマッピングした。

 

 

강남(カンナム)

A:10コルソコモ

 ミラノの有力セレクトショップのソウル店。カフェも併設し、ライフスタイルブランドも数多く取り揃えている。

(住所:416 Apgujeong-ro, Gangnam-gu, Seoul,)
Instagram @10corsocomoseoul

 

 

B:ビーカー

 漢江を挟んで2店舗を展開するビーカーは、世界からブランドをそろえるセレクトショップ。木製のビンテージ什器に囲まれ、どこかほっこりとした感覚で楽しめる。

(住所:Itaewon-ro 241: Yongsan-gu: Seoul: 140-893.)
https://www.ssfshop.com/beaker/
Instagram @beaker_store

 

 

C:トム・グレイハウンド

 新進ブランドも揃えるソウルきってのセレクトショップで、パリ・マレ地区にも進出して話題となった。
(住所:10-3 Dosan-daero 45-gil,Gangnam-gu,Seoul)
Instagram @tomgreyhound

 

 

D:ブーン・ザ・ショップ

 清潭の路面店と新世界百貨店などにテナント出店するラグジュアリーなセレクトショップ。

(住所:21 Apgujeong-ro 60-gil, Gangnam-gu, Seoul,)
https://boontheshop.com/
Instagram @boontheshop_official

 

 

홍대(ホンデ)

 

E:ムシンサ スタンダード

 ムシンサのプライベートブランド「ムシンサ スタンダード」の路面店。ウェアから小物まで、トータルで揃うシンプルでベーシックなラインナップがソウルの若者の支持を得ている。
(住所:144, Yanghwa-ro, Mapo-gu, Seoul)
Instagram @musinsa_standard

 

 

F:ムシンサ テラス

 韓国最大規模のファッションストア「ムシンサ」が運営するキュレーションスペースで、弘大前駅ビルの17階に位置し、テラスからの眺望は抜群。カフェやポップアップスペースなどで情報発信基地として機能している。

(住所:17F, 188, Yanghwa-ro, Mapo-gu, Seoul)
Instagram @musinsaterrace

 

 

 

G、H:SNAP

 東京で例えるなら渋谷、原宿のようなお洒落ティーンズの集まるエリアの弘大(ホンデ)。デニムやミニスカートをあわせたカジュアルスタイルが多かった。ちなみにH(写真右)はエーランド弘大店のショップスタッフ。

 

 

여의도(ヨイド)

I、J:SNAP

 韓国の北部を流れる河川、漢江(ハンガン)に近い汝矣島(ヨイド)は、無地でシンプルにまとめるスタイルが多い。デートスポットとしても人気のエリアで、カップルはシンプルコーデのペアルックが流行っている。

 

 

 

◆CLOSE UP 01

 

MUSINSA

昨年グローバル進出した注目のファッションストア「ムシンサ」

 

 2001年オンラインファッションコミュニティーとしてスタートした「ムシンサ」は、韓国内で2009年にオンラインストアをスタートし、2022年に日本をはじめグローバルサイトをオープンさせた注目のファッションストアだ。国内で約7000ブランドを展開し、日本では約300ブランドを取り扱っているが、グローバルアンバサダーであるK-POPグループ『NewJeans(ニュージーンズ)』を起用してから日本でも認知度を大幅に拡大している。

 「世界中の皆さんに韓国ファッションの良さを知ってほしいという思いからグローバル進出しました。今後は今より女性向けのブランドも増やしながら様々なスタイルを展開していきたい」とはムシンサ グローバル マーケティングチーム室長のキム・ユンジョンさん。現在10~30代の購入者が多く、フレンチカジュアルテイストの「マルディメクルディ」は花柄アイコンのアイテムが人気で、日本での売れ行きも良い。また、「韓国は日本に比べて歴史の長いブランドが少ない。韓国のブランドも長い歴史を保てるように頑張っています」と、若手ブランドのサポートにも注力している。

 韓国5か所にある「ムシンサスタジオ」は、ファッションに特化した共有オフィス。ブランドを始める人や始めたばかりの人の成長を支援するために、パターンやファブリックを集めたサンプル室や、商品を撮影するための空間など、他の共有オフィスには無い充実した設備を揃えている。今年4月には東京初のポップアップストアも開催。「今後は持続的に消費者との接点もつくっていきたい」と、日本でのさらなる展開にも期待したい。

 期間限定で原宿にオープンしたポップアップストアには、ムシンサがキュレーションした「サグ クラブ」や「2000アーカイブス」など、新進気鋭の若手ブランドをはじめ、選りすぐりの韓国ブランドが揃った。他にも韓国で人気スイーツ「ノッテッドドーナツ」や「コンパクトレコードバー」のDJブースなどホットな韓国カルチャーを体験できるコンテンツが盛り沢山で、オープニングにはグローバルアンバサダーのニュージーンズが来日し話題を呼んだ。

 

MUSINSA JAPAN @musinsa_japan
MUSINSA GLOBAL @musinsa_global

 

 

◆CLOSE UP 02

 

A’gem

実物を試着したいならココ!日本に実店舗多数の「エージェム」

 

 国内に複数の実店舗を構える「エージェム」は、アパレル企業「パワー・ボム」が運営する韓国ブランドをメインに取り扱うセレクトショップだ。コロナの入国規制緩和後、10〜20代を中心とした若者や外国人観光客で賑わう原宿店は、「パラグラフ」をはじめ、「OY」「マハグリッド」「ナイスゴーストクラブ」などの人気ブランドを揃え、売り上げも好調。

 「取り扱っているブランドはデザイナー自身が若いケースが多いです。韓国は若手デザイナーへの支援制度が充実していて、日本と比べて若者がブランドを始めやすい環境が整っています。取り扱っているブランドの中には、数年前まで自宅で打ち合わせしていたデザイナーが、一等地の一棟貸しビルをオフィスにするくらい成長した例もあります。大人がデザインするとどうしても商業的になりがちですが、消費者と同じ世代のリアルな感覚でデザインされた商品だからこそ惹きつける魅力がある」とは原宿店の宮前裕司店長。

 インフルエンサーとして人気のあるデザイナーもいて、来日したデザイナーと直接触れ合えるイベントでは多くのファンが店を訪れたという。「流行のスピードが早いのも若者文化ならでは。昨年売れていた商品も今では落ち着いているので、時代の流れを常にキャッチすることが大切です。バイヤーとして月1回位韓国へ出張することもありますが、日本にとっては近場で時差がないので、送料や関税などの面でも取引しやすい」と、事業としても継続していく予定だ。今後もどんなブランドが登場するのか、ぜひ足を運んでチェックしてほしい。

 猫のオリジナルキャラクターのショッパーが目を引くエージェム。原宿には2店舗あり、他店よりもストリート寄りのカジュアルアイテムをメインに取り揃えている。ユニセックスブランドが多いが、女性もオーバーサイズを好んで購入するそうだ。5人組YouTuberのコムドットが紹介してからバズって火がついた「パラグラフ」のアイテムは、スマイルマークやカラフルなデザイン、ロゴモチーフなどキャッチ―な商品が昨年から売れている。

 

A’gem harajuku @agem_tokyo_harajuku0

 

 

◆STUDENT’S SNAP

 

韓国ファッションを愛する杉野服飾大学の学生をスナップ!
本人が購入したお気に入りの韓国ブランドアイテムでコーディネートしてもらいました。

name: チョコ
◇アイテム
リュック L AUGHER
ジャケットMAGJAY
スカート BURU N J UDY
◇コーデのポイント:
お気に入りのガイコツ柄のリュックとテカテカのジャケットをポイントにクールなイメージでまとめてみました。

name: りんたん
◇アイテム
トップス LUV IS T RUE
◇コーデのポイント:
紫をポイントに、他は黒でまとめました。mahagrid、OY、oioi など他にも韓国ブランドが好きで購入しています。

 

name: 今津真鈴
◇アイテム
アウター Partiment
ニット mahagrid
◇コーデのポイント:
大好きなK-POPアイドルが着ていたレザージャケットとニットをお揃いにしたくて購入。韓国コーデでは定番のプリーツスカートを合わせました。

 

name: ゆうま
◇アイテム
帽子 WOOALONG
シューズ アキクラシック
◇コーデのポイント:
スポーツミックス。今日身につけているWOOALONG ほか、LMC など韓国アイテムはネットで購入しています。

 

name: あいる
◇アイテム
トップス me+emselect 
ボトムス perstep
◇コーデのポイント:
全体を黒で統一し、透け感を出せるようにコーディネートしました。

■「ファッション力 (Fashion Ryoku)」

杉野学園出版部が発行しているフリーマガジン。2008 年 6 月より、毎回パリ プレタポルテ、オートクチュール終了時を目安に年 4 回発行。
デザイナーインタビュー、コレクション報告、スナップ、座談会などを掲載している。

 

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