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2023.02.21
【2023秋冬NYコレ ハイライト2】華やかなプレゼンテーション、合同ショー、パーティーに注目
ニューヨークファッションウィーク(NYFW)では、その期間にあわせたイベントもさまざまに催された。ここではハイライトで、展示会とイベントをピックアップして、ご紹介しよう。
NYらしい工夫を凝らしたプレゼンテーション
ケイト・スペード ニューヨーク(kate spade new york)
「ケイト・スペード ニューヨーク」がホイットニー美術館で 2023秋冬コレクション、14ルックを発表した。
ちょうどブランド30周年を迎えて、ブランドカラーであるグリーンを、パントン社と共に刷新、新しいケイト・スペード・グリーンを発表した。その色合いにペイントされたキャブが美術館の前に並び、またそのカラーに彩られた空間に、新作のバッグが陳列された。
SVP兼RTW部門およびライフスタイル部門のデザイン責任者であるトム・モーラと、レザーグッズとアクセサリー部門のデザイン責任者であるジェニファー・リューによるコレクションは、「多様で、カラフルで、フレッシュなスタイルで装うことの喜び」を強調したという。再び人々が装い、外出できるようになった喜びを表現するコレクションらしく、プレイフルでポップなルックが展開された。
今季の特徴は単色スタイリングだろう。グリーンのドレスに同色のダウン、ソリッドな赤のパンツスーツ、イエローのミニドレスに同色のフェイクファーコート、ホットピンクのコートなどが目を引き、総ラメのパンツスーツやドレスが華を添える。「ケイト・スペード ニューヨーク」らしい幾何学模様が多くあしらわれ、心躍るコレクションを披露した。
アリス アンド オリビア(alice + olivia)
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Photo by Rony Alwin
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Photo by Rony Alwin
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Photo by Rony Alwin
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Photo by Rony Alwin
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Photo by Rony Alwin
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Photo by Rony Alwin
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Photo by Rony Alwin
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Photo by Rony Alwin
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Photo by Rony Alwin
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Photo by Rony Alwin
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Photo by Rony Alwin
ステイシー・ベンデットが手がける「アリス アンド オリビア」は、ハイラインに近い会場でインスタレーション形式の展示会を行った。
ステイシーは、今季のテーマを“アメリカン・アイコン”に求めたという。ウォーホールのキャンベル缶をオマージュした小道具に、「アリス アンド オリビア」らしいデコラティブで、ポップなコレクションが並ぶ。
鮮やかな赤のフェイクレザーのトレンチコート、スパイクのついたクロップ丈のバイカージャケット、あるいはストライプやポップアートカラーのスポーツウェアが展開される。そして遊び心のあるパーティスタイルが多く披露された。刺繍をほどこしたバロック風のケープや、黒と白のティアードドレスは、往年のハリウッドを彷彿とさせるゴージャスさだ。
今季の注目アイテムはデニムだろう。会場では、女性スケートボーダーたちがその場でスケートボードを楽しむという演出があり、彼女たちもデニムを着用。モデルが着こなしたのは、ローライズのワイドなバギージーンズで、クロップド丈のブクレジャケットを合わせるスタイリングが光る。
またアメリカンカルチャーを代表するスナック菓子をモチーフにしたバッグ類も、ポップさを添えており、明るくパワフルな「アリス アンド オリビア」の世界を展開した。
ラブ シャック ファンシー(Love Shack Fancy)
クリエイティブディレクターのレベッカ・ヘッセル・コーエンが2013年に設立して、セールスを伸ばしている「ラブ シャック ファンシー」は、プラザホテルで展示会を発表した。
色彩パレットは甘くソフトで、ビンテージからインスパイアされた花柄や、甘い色彩パレットで、フリルやレース、ティアードがたっぷりほどこされたフェミニンなアイテムが並んだ。
ニューヨークメンズデイ(NYMD)
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Cross Eyed Moose
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Terry Singh
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BULAN
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Cross Eyed Moose
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all beneath heaven
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ATELIER CILLAN
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DIONYSUS
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JAHNKOY
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NICOHLAS RAEFSKI
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nobis
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potts
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RALEIGH
今季はNYFWの一貫として、初日10日に「ニューヨークメンズデイ」が開催された。参加したのは、12ブランド。午前、午後のチームにわけて同じスカイライトスタジオの会場で展示会が行われた。
今季のスポンサーでもあり、午前午後を通じて展示をした「クロス・アイド・モース(CROSS EYED MOOSE)」は“アーバン・エクスプロアー“と題して、アウトドアウェアの機能性や配色を、アーバンなウェアに落とし込み、街からアウトドアまでの服を提案してみせた。
またメンズのスカートスーツに徹した「テリー・シン(Terry Singh)」や、ユニセックスで個性的なニットを見せる「ブーラン(Bulan)」など、さまざまなブランドが個性を競った。
オフスケジュールイベントやパーティーも華やかに
アルファタウリ(AlphaTauri)
レッドブルが手がける「アルファタウリ」はNYFWに、「ジャズ・アット・リンカーンセンター」のアップルルームでイベントを開催し、アメリカ市場への参入をはたした。
壇上には、2023秋冬コレクションに加えて、F1チームであるスクーデリア・アルファタウリのF1®レースカーが登場。そしてスクーデリア・アルファタウリF1チームが誇る2人のドライバー、角田裕毅とニック・デ・フリースも、「アルファタウリ」の最新コレクションを装って現れた。
「アルファタウリ」のコレクションは、2023年7月以降はアメリカでも販売開始となる。
フライング ソロ(Flying Solo)
「フライング ソロ」はウェストチェルシーのカヌースタジオで、のべ52ブランド以上によるデザイナー合同ショーを開催した。同社はNYとパリに拠点を持つ、セレクトショップであり、ショールームであり、PRファームを兼ねている。「フライング ソロ」の傘下で、複数のブランドが参加できるランウェイショーを打っており、参加ブランドは世界中から募っている。
申請者のなかから選ばれたブランドは、5,900ドルの参加料で、ヘアメイク、スタイリング、フォト、ビデオ、バックステージインタビューのサービスがついて、8ルックのランウェイショーを披露できる。このプラットホームがあるため、参加するブランドは、アフリカや南米やアジア、オセアニアからと、まさに世界各地から集まってくる。
「粗清草堂」2023秋冬コレクション Couretsy of Fling Solo/Getty Images
今季は日本から北海道から「粗清草堂(SOSEISOUDOU)」が初参加をした。「粗清草堂」は、道北の美深町で羊を10頭飼いながら、その羊毛からウエット製法でフェルトを作っている。羊の毛はもともとの毛色を生かしており、またフェルトの上に羊毛の質感を生かしたもこもこした毛を飾っているので、重くなく軽いのも特徴だ。
デザイナーの逸見吏佳はふだんほぼ自給自足の暮らしをしているといい、「自分たちの暮らしの真逆にある先端のニューヨークで作品を見てもらいたかった」と語る。羊の毛を刈る4月から秋まで服を作り、冬に販売するという羊の生態に会わせた物作りをしており、究極のサスティナブルブランドといえるだろう。
こうした従来のファッションショーでは見かけなかった小ブランド、都市に拠点をかまえていないブランドが世界各地から、このようなプラットホームでNYFWに参加できるのは、興味深いビジネスモデルだ。
3.1 フィリップ リム(3.1 Phillip Lim)
「3.1 フィリップ リム」は、没入型ギャラリー体験という表現方法で2023秋冬メインコレクションを発表した。
映像作家には、NYを拠点として活動する日本人写真家の小浪次郎を迎え、“ア・ニューヨーク・バイブレーション(A New York Vibration)”と題してニューヨークのエッセンスを凝縮したビジュアルディスプレイを行った。
初日はメディアとインフルエンサー向けに、そして次の二日間は一般も公開をした。
ザラ ルイージ(ZARA RHUIGI)
「ザラ」は、ルイージ・ビラセノール(RHUIGI VILLASEÑOR)とコラボレートしたRHUコレクション第二弾をソーホーで発表して、ポップアップストアを開いた。ルイージはロサンゼルスを拠点として2013年にストリートウエア、「ルード(RHUDE)」を立ちあげ、クリエイティブディレクターを務めている。
「リデザイニング ヒューマン ユニフォーム(Redesigning Human Uniform))、略してRHUは、2022年に「ザラ」とルイージによって共同製作され、今季はRHUの現代的な「ユニフォーム」を進化させ、より大きな展開のコレクションを発表した。
今コレクションは、20型以上のRHUレディトゥウェア、5型のRHUシューズ、6型のRHUバッグが登場して、新しいフレグランス「RHUボディスプレー」も発売する。
取材・文:黒部エリ
画像:各ブランド提供 、筆者撮影