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2018.03.28

参加者は1・5倍に大幅増 3年目を迎えたリテールイベント「ショップトーク」注目の理由

 今年で3度目の開催となった世界最大のリテールイベント「ショップトーク(SHOPTALK)」。昨年は参加者が5,600人だったのに対し、今回は8,400人へと1・5倍に増加。世界各国から注目されるリテールとコマースのカンファレンスというポジションを確立したように感じました。

魅力的なスピーカーたちの顔ぶれ 充実したエキシビジョンホールも見逃せない

 

 4日間に渡り今年も開催されたショップトークは、CEOやエグゼクティブが登壇するキーノートやトラック(セッション)がずらりとラインナップ。ベンダーなどによる最新技術の展示会も行われ、こちらも昨年に比べ大幅な拡大が見られました。

 

 今年は、「人工知能(Artificial Intelligence)」、「新技術(Emerging Technologies)」、「未来のストア(Store of the Future)」、この数年でテクノロジー導入が活発化した「グローサリー(Grocery)」の4つをフィーチャーした特設展示エリア“ディスカバリー・ゾーン”を新設。広いエキシビジョンホールを少しでも有効的に回れるような工夫も行われていました。

 

 リテーラーと出展ベンダーが商談するエリアは以前からありましたが、今年はそのスペースも大幅に拡大され、スムーズに商談が行われるよう配慮されていました。このほかにもエキシビジョンホール内にラウンジスペースが数カ所設けられており、商談だけでなく、参加者同士のエンゲージメントを深める場所としても機能していました。

 また、エキシビジョンホール内には8つのテックトークステージ(Techtalk Stage)を設置。出展するベンダーたちが自身のサービスをプレゼンテーションするイベント開催され、どのステージも多くの参加者で盛り上がっていたのが印象的でした。

最注目アマゾン 今年は無人店舗「Amazon Go」にフォーカス

 アマゾンが取り組む事業はどの業界にとっても気になるところ。2017年度のキーノートのテーマは「Amazon Prime(アマゾンプライム)」で、今年は「Amazon Go」でした。米シアトルに今年オープンした店舗「Amazon Go(アマゾンゴー)」は、アマゾンが昨年買収したホールフーズマーケットとは別に、同社が手がけるグローサリー事業。アマゾンが作る、いわゆる“コンビニ”はどんなものなのか?という点に注目が集まりました。このAmazon Goは、アプリを使って買い物を行い、支払いはレジに並ぶことなくそのまま店を出ることができるという部分に大きな特徴があります。

 

<アマゾン キーノートでの注目ポイント>

 

・RFIDではなく、コンピュータービジョンを使用。
・リテールビジネスを行うということは、テクノロジーを取り入れることより大変なこと。
・レジを設置していないが、それにそのまま店舗から出ていいというサイン(JUST WALK OUT)を表示しなければならなかった。
・最も人気の商品はチキンサンドウィッチ。ミールキットや新鮮な果物も人気。
・「Amazon Go」アプリにより、リアルタイムで顧客のフィードバックを取得。豊かなリソースとなっている。
・ホールフーズマーケットでの導入は検討していない模様。

 

 私が個人的に気になったのは、リアルタイムでフィードバックを得ることで、すぐに問題改善をし、サービスの改善に取り組めという部分です。これらは「Amazon Go」だけでなく、Amazonのほかのサービスにも役立つものとなるのでしょう。

 

 出店に向けて、当然ながら多くの技術的な開発の壁はあったようですが、「Amazon Go」に訪れた人が買い物をしたくなるような品揃えや価格設定、また買い物のしやすさなど、一般的なリテールとして求められることを提供するということの大変さもあったようです。

 

 昨年はホールフーズマーケットの買収で、グローサリー業界をディスラプトしたアマゾン。ホールフーズマーケットへの導入はないとのことですが、絶対というわけでもなさそう。引き続きアマゾンの動向は気になるところです。

 ウォルマートのマーク・ロアCEOも昨年に続き参加。ボノボスのアンディー・ダンCEO(現在はウォルマートでデジタル・コンシューマー・ブランドのシニア・ヴァイスプレジデントにも就任)ととともにキーノートに登場しました。ウォルマート、しかもキーマンである2人がどのような話をしてくれるのだろうと多くの参加者が会場に詰めかけました。最新のテクノロジー情報が得られるだけでなく、有力企業のリーダーたちをはじめとする豪華な顔ぶれも同イベントが注目される理由でしょう。

 このほか、スタートアップながらも急速な成長を見せ、コスメ業界をディスラプトする「Glossier(グロシエー)」の創設者であるのエミリー・ワイズCEOのキーノートも注目を集めました。

「Shoptalk 2018」取材を終えて

 

 私が今年も引き続き参加を決めた大きな理由は、やはり素晴らしいスピーカーのラインナップにあります。大手リテーラー&ブランドのエグゼクティブから、急成長するスタートアップ、そしてベンダーまで、個人的に期待していたブランドの8割がスピーカーとして参加しました。IT系やリテールのカンファレンスが数多く米国で開催されるなか、注目ブランドやリテーラーをスピーカーとして確保できるのは、ブランドからも認められたカンファレンスだという証拠だと感じます。

 

 バイキング形式で朝食や昼食が用意され、ランダムに座ったテーブルではほかの参加者とエンゲージできるのも、「ショップトーク」の醍醐味。世界中から集まった参加者と話をする中で感じたのは、守りの姿勢ではなく、イノベーションしなければ生き残れない、それにはどうするべきなのか、という意識の高さでした。

 

 2018年度も引き続き「AI」や「マシンラーニング」「アルゴリズム」といった言葉が飛び交っていました。しかし、これからさらにリテール業界のディスラプションが起こることが予想されるなかで重要となるのは、そうしたトレンドのキーワードが何かを追うことではありません。オールドファッションのリテールビジネスをいつまでも継続していては、ビジネス存続は困難になるばかりだということ。

 

 そうしたなかで、「テクノロジー」「エクスペリエンス」、そして「顧客のエモーションを掻き立てるサービス」にフォーカスを置いたイノベーションを行う「実行力」を持たなければならないというのが、このカンファレンスを通じたメッセージであると感じました。

 

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【現地レポート】有力リテーラーが登壇する世界最大のリテールイベント 「Shoptalk 2018(ショップトーク 2018)」参加のススメ


 

RINA  

R I N A

90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。

 

以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。

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