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2020.11.18

「心斎橋パルコ」11月20日オープン ファッションビルに百貨店ゾーンやSCブランドが集結

「心斎橋パルコ」の外観

 株式会社パルコは2020年11月20日、大阪市中央区に「心斎橋パルコ」をオープンします。そしてオープンに先立ち11月17日に内覧会を行いました。同社は同館を「渋谷パルコ」「名古屋パルコ」と並ぶ基幹店と位置付け、133億円を投じ年間220億円の売上を目指しています。その戦略を紐解いていきましょう。

 

 同社は「心斎橋パルコ」を“新しい都市型パルコを具現化した「NEW COMPLEXビル」”としており、また “ファッションビル〜百貨店の枠を超え、 さらに「モノとコト」が、「日常とアート」が、「リアルとテクノロジー」が、ボーダレスに交わる新しい商業ビル”というコンセプトを掲げています。同社が2019年11月に東京都渋谷区にリニューアルオープンした「渋谷パルコ」に通ずる「モード」「アニメ」「NEW飲食」「アート」に加え、百貨店テーマの「ラグジュアリー」「高級飲食」「ゴルフ&スポーツ」に、東急ハンズや無印良品、シネマコンプレックスなどの大型テナントやイベントスペースをミックス。ファッションビル、百貨店、ショッピングセンターの要素を融合させているのが特徴です。

 

 この背景には、同社が傘下にある「J. フロント リテイリング」の掲げる「アーバンドミナント戦略」があります。同グループの、都市部の同商業地に物件を保有しドミナント出店していくことで都市部の活性化を図るというものです。ハイブリット百貨店として注目を集めた「大丸心斎橋店」に隣接して「心斎橋パルコ」をオープンすることで、日本屈指の商業地である心斎橋をさらにパワーアップさせるというものです。その狙いはテナントミックスからもうかがえます。

写真:グッチ(GUCCI)

写真:サカイ(sacai)

写真:エンポリオ アルマーニ カフェ(EMPORIO ARMANI CAFFE )

 

 まずは、国内外の観光客を意識したテナントミックスです。同じ1階の大丸区画にある「エルメス」「グッチ」と連動するように1階、2階には「ティファニー」「バーバリー」「メゾン マルジェラ」「ヴァレクストラ」などのラグジュアリーブランドや「グラウンド ワイ」「サカイ」「バオ バオ イッセイ ミヤケ」などの日本を代表するブランドを集結しています。また、関西初出店となる「エンポリオ アルマーニ カフェ」や株式会社メディコムトイが手がけるコンセプトショップ「2G」も話題となりそうです。そして6階は「ポップ カルチャー シンサイバシ」というフロアを設け、関西初となる「ゴジラ・ストア」のほか「ウルトラマンワールドM78」「どんぐり共和国」などを揃え、日本から世界へ向けた体験型ジャパンカルチャーの西日本を代表する発信拠点としています。

 そして広域商圏を抱える心斎橋に相応しくコンテンポラリーファッションや上質なリアルクローズのテナントもミックスしています。2階には「ユナイテッドアローズ」とともにゴッファエックスが手がける新業態「9」も出店。古着店で創業した同社が仕掛けるクロージング業態です。このようなコンテンポラリーファッションやリアルクローズのストアやショップを2階から5階までそれぞれのテーマにそって配置しており、心斎橋筋のファストファッションや隣接する「心斎橋大丸店」、近隣のアメリカ村などと共存させていています。

 大型店も新たな取り組みをしており、来街客の目的来店を促すことでしょう。7階の全てを占める「ムジ」は、「イデー」や「ファウンドムジ」をシームレスに構成。セルフサービスのコーヒースタンドも設置し、来店客に憩いの場を提供。同グループの「大丸」も8階に出店し、ゴルフやアウトドア、シューズのブランドを集積しています。そして心斎橋筋にあった「東急ハンズ」は9階から10階にオープン。当時のファサードに使用していたサインも設置するなどの取り組みをし、地域密着性を訴求しています。

写真:ムジ(MUJI)

写真:8階大丸心斎橋店「ゴルフ・スクール/アウトドア/シューズ」

写真:東急ハンズ

 来店頻度アップのための取り組みにも注目です。1階や9・10階はポップアップやイベントスペースを設け、11月20日から12月15日には1階のポップアップスペース「ザ ウィンドウ シンサイバシ」でスイスの高級時計「ウブロ」と「ヨウジヤマモト」のコラボレーションイベントを、9階にはロバート秋山のクリエーターズ・ファイル「ヨウコフチガミ」の期間限定ショップ、10階にはゲイを描いたアーティスト「トム・オブ・フィンランド」の個展を開催します。

 「パルコ」が得意とするパブリックアートも魅力。地下2階と13階には彫刻家、五十嵐威暢デザインでの「渋谷パルコ」外壁に設置されていたネオンサインの文字を展示、2021年3月オープン予定の地下2階へ通じるエスカレータ周りにはグラフィックデザイナー金田遼平による大阪のランドマークが描かれ、AR(拡張現実)で楽しむことができます。

 

 

 

 日本屈指の大商業地にオープンする「心斎橋パルコ」。12階のシネマと13階の飲食フロア「御堂筋ダイニング」は2021年1月、地下2階のネオ酒場「心斎橋ネオン食堂街」は2021年3月のオープンを予定しています。しばらく大阪での話題の中心になりそうです。

 

■心斎橋パルコ

住所:大阪府大阪市中央区心斎橋筋1-8-8

延べ床面積:約58,000m²

階数:地下2階〜地上14階 ※屋上階除く

店舗数:約170店舗

※新型コロナウィルス感染症拡大防止の観点から、11月20日から当面の間入店に関しては事前予約制(詳細は同館公式サイト参照)

公式サイト

https://shinsaibashi.parco.jp/

 

取材・Text:山中 健

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