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2020.04.22

ついに日本にも上陸!「RaaS」はD2Cブランドの味方になるか

アパレルウェブ「AIR VOL. 34」(2020年4月発刊)より

「Showfields(ショーフィールズ)」の外観(公式ページより)

 小売業界では効率化のために、次々と新しいテクノロジーが登場しています。特にここ2、3年の間、米国と中国では「RaaS」(Retail as a Service)と呼ばれる新興サービスが注目されています。RaaSとは、ブランドに対し、小売りの運営に必要な店舗、スタッフ、インフラを予めパッケージ化して提供するサービスです。

 

 一般的に、ブランドが小売ビジネスを始める際、不動産、人員、POSシステムなどを個別で確保するためには、時間や多額な初期投資を要しますが、RaaSを利用すると、時間の節約や比較的低コストでビジネスを始められるということで、特にD2Cなどのスタートアップから注目が集まっています。本頁では、米国、中国を中心にした、RaaSの最新動向と今後日本のファッション業界に対する影響についてご紹介します。

米国「RaaS」の特徴はキュレーション型と店舗体験重視

テキサス州のAustinにある「Neighborhood Goods」(ネイバーフッド・グッズ)」の店舗(公式ページより)

 RaaSは世界で大きく、2つの傾向が見られます。①店舗体験を支援するRaaSを提供する米国の企業。②店舗、人員、POSや決済システムのインフラ以外に加え、物流まで提供する中国の企業です。
 

 まず、米国のRaaSの代表的事例として、Showfields(ショーフィールズ)、Naked Retail Group(ネイキッド リテール グループ)とNeighborhood Goods(ネイバーフッド・グッズ)を紹介します。この3社、ビジネスモデルの共通点は、ジャンルの違うD2Cブランドを誘致し、一つの大きな売場の中に、スペース(店舗として)を提供する点です。もちろん、売り場だけでなく、スタッフやPOSシステム、什器なども提供します。こうした店舗体験を支援する形が、米国におけるRaaSの基本モデルになります。また、この3社、単にオフラインで売る環境を整えるだけではなく、導入するD2Cブランドを編集して、一つの売り場の中にコスメやインテリア、ガジェット系ツールなど、様々なカテゴリーのブランドを共存させていることも特徴です。

 

 消費者の目線からは、次に流行するかもしれない、ブランドが集まっている見本市の様な感覚でショッピングできる空間に仕上がっています。こうした“わくわく感”は素敵な店舗体験に繋がっているとも言われています。また、ショーフィールズではアート展示を始め、音楽ライブやトークイベントなど顧客参加型のイベントの開催に注力しているなど、企業ごとにイベントなどで体験を強化している点も見逃せません。

「RaaS」がD2Cブランドに注目される理由は経営の効率化の向上

Naked Retail Group(ネイキッド リテル グループ )

 複数のD2Cブランドが集まった売り場では、例えば「ブランドA」を探しに来る顧客が「ブランドB」とも出会えることがあり、単独のポップアップストアと比べ、より多くの新規顧客接点が創られるのではないでしょうか。多くの新しいD2Cブランドがショーフィールズなどを使う理由は、ユニークな顧客体験の提供だけではありません。むしろ、金銭的、時間的コストを考慮したときに選択される場合が多いです。例えば、ポップアップストアのレンタルサービスを提供する「appearhere」を使って、出店を検討すると、出店費用のみで2,000~5,000ドルの費用がかかります。

 

 ここから更に、人件費、什器のレンタル代、決済システムの利用、内装をデザインする費用などがかかります。一方、ショーフィールズが提供するパッケージの場合、月額料金は6,000~12,000ドル、この金額には、店舗スタッフの手配、店舗及び在庫管理、POS、什器、ブランドの世界観に沿った店舗デザインなどが含まれています。同じく、ネイキッド・リテール・グループも月額制(金額は未公開、お問い合わせにより開示)で、ショーフィールズとほぼ同様のサービスが提供されています。

 

 また、機材や資材をサポートするだけではなく、来客数、顧客の声、商品の売れ行きなどの情報を分析するなど、販売戦略のアドバイスやサポートをしています。さらに、ネイキッド・リテール・グループでも自社のInstagramやメルマガで積極的にD2Cブランドを紹介することで、集客のサポートをしています。この集客サポートは、知名度がそこまで高くない、新興のD2Cブランドにとってありがたい取り組みと言えます。こうした、コストの削減、マーケティングサポートといったメリットを求めて、現在多くの新興D2CブランドがRaaSを利用しています。

JD.comが中国の「RaaS」をリード小売全体をサポートする

 2020年3月初旬、米アマゾンは、無人決済小売店「AmazonGo」に導入されている、レジなし決済システム「Just Walk Out」を、小売業向けにRaaSとしてサービス販売することを発表しました。「JustWalkOut」はもともと「無人コンビニ」向けに開発された技術で、前述したショーフィールズなどの事例とは異なり、小売のオペレーションを支えるインフラに注力している事例となります・・・

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