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2017.06.04

ホームショッピングの新スタイル 「アンボックス」動画に商機あり?

 テレビショッピングでお馴染みのQVC。製品の特長を事細かに説明したり、実際の使用感を伝えたりと、巧みなホストの説明によって、視聴者はたちまち商品の魅力に引き込まれます。画面に出ている電話番号から直接注文するというスタイルは、短時間の放送で売り上げを現実化できるという利点もあります。

 

 これが若年層達のバージョンになるとどうなるか?QVCショッピングからインスピレーションを得たユニークな発想のスタートアップアプリが話題になっています。

元HuluのCTOが立ち上げた「packagd」はショッピング機能搭載で成長中

 ユーチューブの中でも人気のコンテンツ「アンボックス」動画は、購入した商品のパッケージを開ける(=アンボックス(Unbox))ところからスタートし、商品の特長や使用感をレビューするというもの。まさに素人版のQVCに近い感覚です。元Huluの役員エリック・フェン(Eric Feng)氏のスタートアップ「packagd」アプリは、「アンボックス」動画を見るだけでなく、ショッピングカート機能を加えたことで、視聴者が気に入った商品をそのまま購入することができるのです。現在、電化チェーンのベストバイやマイクロソフトがスポンサーとなり、20名の人気ユーチューバーとのパートナーシップを結んでいます。それぞれのユーチューバーに100万人以上の登録者がいるので、大きな影響力があります。

 実際にアプリをインストールしてみると、まずは自分のアバターを作るところから始まり、その後、商品紹介のホストである人気ユーチューバーや他の会員とのチャットができるようになっています。スクリーンには、次のオンエア時間とホストが紹介する製品が並んでおり、その時間がきたら知らせてくれる機能もあります。もちろん、過去に放送された商品の動画の閲覧も可能。商品のラインナップは、若年層好みのゲーム機器や電化製品、ガジェットが中心。ベストバイ、アマゾン、アップルなどから、直接購入できるようになっています。

「See now, Buy now」の新しいカタチとなるか

 買い物前のリサーチ方法として、価格比較だけでなく、実際に使った際のレビューや口コミを見ることが一般化しているなか、QVCでは、ホストの説明があり、アンボックス動画では、ユーチューバーの、より視聴者に近い目線でのレビューが現実的な説得力を生んでいます。企業広告は見た目のよさしか見えず、混雑する店頭では、ようやく店員を捕まえても詳しい知識のある人が少ない。それならば、自宅でゆっくり、エンターテイメント性も兼ね備えたユーチューバーの動画を見た方が無駄がありません。こういった現象も、消費者が店頭に足が運ばなくなった理由の一つと言えます。

 

 ユーチューブのアンボックス動画トップ5の登録者数は、トータルで3,300万人にも上ります。世代別でみると、6,000万人存在するジェネレーションZ(14~18歳)が特に多く視聴しています。下の動画は、12歳の娘を持つお母さんが2012年にスタートしたチャンネルで、おもにおもちゃを扱ったアンボックス動画。登録者数は73万4,000人、1カ月の平均視聴数は1,700万回。今や自分で新商品を買う必要はなく、企業から送られくる製品を次々と紹介する有名人だそうです。

 

 本家のユーチューブが「packagd」のような企業を買収、もしくは類似したショッピングカート機能を取り入れたとしたら、 アンボックス動画を見ながら即購入。新しい形の「See now, Buy now」のショッピングが可能となるかもしれませんね。


 

 

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