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2018.11.02
GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)包囲網が進行中 (後編)
10月8日には、米グーグルが最大50万人分の個人データが流出した可能性を発表した。フェイスブックでの大規模な流出が続いているため、些細な事故のように感じてしまうが、グーグルの「グーグル+(プラス)」という交流サイト(SNS)のソフト不具合を3年間程放置していた。この期間情報が野ざらしにされていた可能性があることに加えて、公表が半年ほど遅れているという事案の悪質性も指摘されている。グーグルの社内では今春に問題を把握していたが、上記のフェイスブック問題でマーク・ザッカーバーグCEOが米議会公聴会で厳しい追及を受けていたため、「意図的に隠ぺいしたのではないか」とのうがった見方までされている。
【中編は】GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)包囲網が進行中 (中編)
グーグルは今後10カ月の期間をかけて、同サービスを終了するところまで追い詰められた。グーグルの件はGDPRの施行前に発生した事案であるため対象からは外れそうだが、施行後の流出であれば「情報流出発覚後72時間以内に監督当局に通知する」という義務にも違反することとなり、厳しい処分に直面した可能性がある。
アメリカで個人データ流出に関わる和解金の支払いが過去最高規模を記録したのは、ウーバーテクノロジーズだ。16年11月に約5700万人分の個人情報の流出を社内で確認したが、情報を流出させたハッカーに10万ドルを支払ってデータを削除させた。1年後の17年11月に問題の公表に至ったが、9月26日に和解金として総額1億4800万ドル(約170億円)を支払うことで全米50州とようやく合意にこぎ着けた。解決までに3年の期間を要したことになる。
以上の事例に通底するのは、情報技術の最先端を走ると目されている企業のあまりに甘い管理能力だろう。贔屓目でみると、急速な業容の拡大に管理体制が追い付かないのかも知れないが、攻守のバランスが取れていないことは否めない。
GAFAは自らに忍び寄る包囲網の存在を意識し始めた。10月24日にベルギーのブリュッセルで各国のデータ保護規制当局者が集まる国際会議「ICDPPC」が開催された。この会議で基調講演を行ったアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は「アメリカでもGDPR同様の制度導入を政府に働きかける」と宣言し、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOも「適切な規制が必要であり、当局と協力する」旨を表明するに至った。
IT事業者の事業と儲けが拡大する宴は終わったが、着地点を定めるまでには様々な関係者の思惑が飛び交うことになりそうだ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)