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2018.08.04

シェアオフィスの増加は時代の変化を映し出している


三井不動産のシェアオフィス「WORKSTYLING渋谷」。(画像: 三井不動産)

 

 複数の利用者が同じスペースを共有し働く。デスクや会議室、OA機器やネット回線が整備されている。通常の貸しオフィスに比べ賃料が割安ゆえに、起業家や個人事業主の利用が多い。

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 ソフトバンクグループの孫正義CEOは投資先であるシェアオフィス最大手の米国ウィークワーク(世界22カ国75都市に約280オフィスを展開)と合弁で設立した日本法人を、「設立(昨年7月)して間もないが今年の売り上げは倍増、来年も倍増見通し。アリババ的な急成長企業になると期待している」と先の株主総会でぶち上げた。

 門外漢!?と思われるような業態からも、「保有不動産の有効活用」という視点からの参入組が少なくない。不動産各社もこぞって積極的な展開を見せている。例えば三井不動産などこんな具合だ。

 10分単位で使用可能。社員の勤怠管理は専用アプリで容易に行える施設を現在、ターミナル駅周辺を中心に全国31カ所で運営している。今年初めの法人契約数は30社超に過ぎなかった。それが半年余りで約2,000社まで急拡大した。同社では「テレワークの加速に象徴される、働き方改革に対する注目度の高さが背景にある」と説明する。シェアオフィスの増加はまさに「時代の変化」を映し出している。

 そうした中、今年4月に渋谷区千駄ヶ谷に注目すべきシェアオフィスが設立された。最寄り駅はJR千駄ヶ谷駅、メトロ副都心線の北参道駅。最寄りのエリアの利用者が多いが、江東区や杉並区から通うワーカーも多い。ワーカーは全て子連れの「働くママ」。1階はこのビルのオーナー:TMさんの仕事場。2階がシェアオフィス(フリーデスク20席、個室のスモールオフィス5室、ラウンジ)。そして3階が保育室。ママ・ワーカーは機に触れ我が子を覗き・スキンシップをはかることができる。日常的には専門スタッフが面倒をみる。周辺の公園などの散歩には、TMさんも同行する。

 働き方改革の一環には、「ママ・ワーカーの社会進出の促進」もポイントのはず。「保育施設付きシェアオフィス」の建設に自治体なり国は、一歩踏み込んだ施策を実行すべきと考える。(千葉明)

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