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2018.06.09
「Apple Watch」は「iPhone」に続くアップルの鉱脈となるか
2017年9月に発売された「Apple Watch Series 3」。(画像: Apple)
ウエアラブル端末という商品分類がある。この商品には、腕(リストバンド)や耳(イヤホン)などの肉体に直接装着するタイプと、シューズやパンツ、シャツなどの衣類に装着するタイプがある。
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従来は地味で安価なリストバンドタイプの人気が高かったが、ユーザーの関心がより洗練された機器へと移行するとともに、ブランドへの拘りも顕著になってきたようだ。
米アップルが、スマートウオッチを「Apple Watch」として発売した15年の年間出荷台数は1,200万台に届かず、スマホの出荷台数と比較すると10分の1以下であった。以後も低調な推移が続いていたが、アップルが昨年9月に投入した第3世代のモデルである「シリーズ3」が俄然雰囲気を変えた。なにしろ発売直後から12月までの出荷台数が、800万台となり58%増となった。昨年の総出荷台数が1,770万台だったことを勘案すると、3カ月間で年間販売数量の半分近くを売り切った計算になる。マーケットシェアも63%という高率だった。
「シリーズ3」のセルラー対応(携帯電話通信機能内蔵)モデルは、iPhoneが近くになくても、電話やネット接続を可能にしたところにポイントがある。従来のApple Watchは、iPhoneとの接続が前提だった。アップル好調の要因は、セルラーモデルが新たな販路開拓に成功したことというのがIDCの評価である。
ちなみに、1~3月期の順位は1位アップル、2位中国シャオミ(小米科技)、3位米フィットビット、4位中国ファーウェイ(華為技術)、5位米ガーミンの順で、米中一騎打ちの様相を見せている。
アップルは昨年、有機ELパネルを初めて採用し、ベゼル(画面の枠)を無くして画面を拡大した上に、顔認証を導入したiPhone X(テン)を、発売時期を若干繰り下げるという苦肉の策まで駆使して市場に投入した。ところがそのiPhone Xが、期待に反して予想外の苦戦を強いられた。
スマホが行き渡ってしまい、余程目新しい機能や利便性をアピールできなければ、新たな投資をする気にならない人が増えて来たという分析もある。スマホですら市場の成熟に直面した訳だ。
その間隙を埋める役割を「シリーズ3」に託す見方も出て来た。「シリーズ3」の好調な出荷が、スマートウオッチが普及期に入ったことを象徴しているとの見方だ。アップルがスマホの先にある鉱脈に辿り着いたのだろうか?(矢牧滋夫)