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2018.12.05
エニグモ須田社長の故郷(地方)活性化策
地方再生・活性化が喫緊の課題とされる中、故郷にUターンする人も少なくない。が、都会で働くいま右から左にUターンとはいかないのも、また現実であろう。ただ私もそうだが生まれ故郷の原風景は常に頭の中で生き続けているし、「どんな風に変わっているのか」は気になるところ。服飾品を中心にソーシャル通販を展開するエニグモ社長の須田将啓氏もそんな1人の様だ。
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須田氏は茨城県水戸市の出身。水戸駅北口エリアにある築50年を超えるビルを今年初め購入した。そして今秋、「高校生起業家育成」をコンセプトとしたビルにリニューアルし新たな施設を立ち上げた。事に当たっては自己資金で「M-WORK」を設立。何故か。須田氏はこんな風に語っているという。
「自分が高校生だった頃と比べると、人通りは3分の1位に減少している。界隈のビルでは空室が増え続けている。地元の活性化になにか役立つことはできないかと考えたのが契機だった」
この築古のビルにはかつて喫茶店やゲームセンターが入っていた。須田氏自身が高校生活を謳歌したところでもあったという。購入した時点では8割方が空室だった。リニューアルしたビルはこんな具合に生まれ変わった。地下1階はイベントスペース。1階にはカフェ。2-3階はコワーキングスペース。
「リノベーションしてテナントを誘致しただけでは、活性化策としてはインパクト不足。周辺には高校や大学など、文教施設もあり若者も多い。しかしこの街には、起業するという文化がなかった。このビルを活用することで若者の起業の土壌を醸成したいと考えた」という。
現にビルのコワーキングスペースは高校生が無料で利用できる。法人会員や高校生以外の起業を望む人々にも利用を呼びかけ、開放する。来年以降はビジネスプランコンテストなどを中心に、様々なイベントを展開していくという。須田氏の故郷活性化への強い想いはこんな言にも読み取れる。「先々、水戸から有力な起業家が生まれればエニグモが投資することも視野に入れている」。
これもまた故郷回帰、故郷(地方)再生のひとつの道といえよう。(記事:千葉明・記事一覧を見る)