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2023.05.06

リユースEC活況、新品価格高騰で高まるニーズ

 リユース商品のEC市場が拡大を見せている。買い取りや査定など、ネット上でもリアルと同様の高いレベルでサービス提供ができるようになったこともあり、利用者の裾野拡大が進んでいるようだ。また、近年は原材料価格の高騰などもあって、新品商品価格そのものに手を出しづらくなったことも影響している。時代にマッチしたリユースECの成長について、今回は注目の大手EC2社の取り組みをまとめた。

 

下取りとセットで割引、物流で買取コスト抑える工夫も

GDO

 ゴルフ関連商品の販売などを手がけているゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)では、ゴルフクラブの販売が堅調に伸びている。特に中古品が好調なようで、背景には原材料高騰を起因としたゴルフクラブの全体的な価格上昇のほか、昨年6月に開始した「下取り割サービス」の存在も大きい。下取りを通じてゴルフクラブを手軽に購入することができ、また、同社としても中古ゴルフクラブの安定的な在庫の確保につながっている。

 同サービスは顧客が手持ちのゴルフクラブを下取りに出して、それと同時に対象としている新品・中古のゴルフクラブを差額のみで購入できるというもの。差額分での購入となるため、割安感にもつながり、また、ウェブのみで完結できるスキームとなっていることから、顧客負担も少なく利用することが可能となっている。

 

 中古品のゴルフクラブの流通について、同社によると、元々ゴルフ用品は、リユース市場が確立されており、また、ゴルフクラブそのものの単価も高いことからリセールバリューがあるため、「買う」行為と「売る」行為について、自然とゴルフユーザーが慣れていた背景があるという。

 そのため、ゴルフ用品販売の実店舗のチャネルでは、こうした中古ゴルフクラブの買い取りと新品ゴルフクラブの購入を同時に行うサービスは当たり前にできていた。しかし、EC上ではあまりなかったため、同社で行うことを検討していったという。

 EC上で買い取りと販売を同時に行う作業にはいくつかのハードルがあった。それが、顧客の手持ちのゴルフクラブを査定する作業だ。リアルチャネルでは、来店客が持ち込んでくれるため、店員がその場で商品の状態を見て買い取り価格を提示することができる。しかし、ECではまず、買い取りセンターに買い取り希望の商品が届いてからでないと担当者が査定できず、金額を顧客に提示することができないこととなる。「最初に買い取り金額を提示して、購入したい商品から差し引くという(同時決済などの)フロント部分が簡単ではないため、ECではあまり行われていなかったのでは」(同社)と分析する。

 このハードルをクリアするために、同社が取り組んだポイントとしては、買い取り金額をある程度決め打ちして、「この型番のこの商品はこれくらいの価格で買い取る」ということを事前に顧客に伝えるようにしたことだ。現物の状態などはあまり考慮せずにワンプライスを提示するというもの。それに加えて、ある程度高額な買い取り価格を設定することで、他社よりも優位に買い取り商品が集まるように設計したという。

 現物が届く前に価格を提示することでのデメリットなどがあるかについては、「買い取った商品の中には、実際に見てみると状態の悪いものも中には少しあるが、おしなべて考えていくとそこまで利益を悪化させるような状況は起きていない」(同)と説明する。

    

 また、もう一つのポイントとなるのが、顧客との間で生じるゴルフクラブの配送スキームについてだ。もともとオンラインで買い取りを行う場合は、まず、顧客が買取査定を希望している手持ちの商品を入れて同社に返送してもらうための専用の箱を送る工程が必要だった。

 しかし、同サービスではそもそも買い取りと同時に新しいゴルフクラブを購入してもらうことが前提になるため、まず、購入したゴルフクラブを顧客に送り、その購入したゴルフクラブを入れていた箱にそのまま買い取りを希望するゴルフクラブを入れて返送してもらうということが可能になる。

まり、空箱を送るという工程が一つ無くなるため、この送料分のコストが削減されることとなる。そうしたことから、他社と比べてもある程度高額な買い取り金額を提示してもペイできる構造になっているというのだ。

 このサービスを通じて販売だけでなく、市場でも人気の高い中古ゴルフクラブの在庫も多く確保できるようになることから、同社にとっては多くのメリットが見込めるようだ。今後も買取ができるアイテムの拡大などを検討していき、中古クラブの販売でこれまで以上のボリュームアップを図っていく考え。



査定の対応時間など拡大、海外販路強化と値付けで優位性


デファクトスタンダード

 中古ブランド品の買い取り販売サイト「ブランディア」を運営しているデファクトスタンダードでは、リユース商品へのニーズの高まりに対応し、昨年は過去最高の流通額を記録した。近年は販路自体も国内・海外を問わず拡大しており、それに伴って海外の方からの購買も増加。世界規模でのリユースブランド商品の潮流が見られるようだ。

 同社の昨年の取り組みとしては基本的には前年からの方針と変わらず、主に買い取り実店舗の拡大とビデオ通話によるオンライン買取「ブランディアBell」などの強化に努めた。実店舗については出店の目的として、宅配買い取りよりもより高単価な商材を買い取りしやすくできる体制をつくっていくことを掲げた結果、堅調な拡大が続いている。「他社に負けない値付けをできる仕組みに取り組んでいる。顧客ニーズでもある『高く売りたい』ということから私たちは逃げてはいけない。可能な限り高く買い取れる仕組みを作る必要がある」(同社)と説明した。

ころ。世界中に販路を作っていく中で、「買われる候補の顧客が広がれば広がるほど、同じ商品でも高く買われる可能性がシンプルに上がる。商品を10人に見せるよりも、1万人に見せた方がより高く買ってもらえる人を見つけやすい」(同)と見解。世界中をターゲットとして商品を買ってもらえる顧客を広げることでより高く販売できることとなり、結果として高い買い取りの値付けを行える仕組みになっている。

平均買取り単価も上昇

 
 
 また、昨年についてはブランディアBellにおいても、人員や対応枠など体制の強化を図ったという。もともと、気軽にビデオ通話で接客員と話しながら、オンラインでブランド品の買い取りができることが同サービスの特徴となっている。

 対面でオンライン査定する以上、1つの枠で1人の顧客にしか対応できないことから、査定依頼を受けた際にその枠が空いていない状況を作らないことが重要だった。

 昨年からは顧客がいつでも利用できるように、対応できる時間帯をかなり広げたとする。実店舗が閉まっているような早朝や深夜などの時間帯でも受け付けるようにし、平日は24時までの対応ができるように変更。前年比較では、予約可能枠数が3倍に広がったと見ている。

 さらに、人員に関しても査定員・接客員などを増やしており、育成も含めて強化している。「買い取り量ももちろん増えているが、取り扱いの価格帯も大きく変わっていて、22年の平均買い取り単価については、前年比で1・5倍程度(21年は20年と比べて約1・7倍)になった」(同社)とした。

 そのほか、買い取りサービスそのものの認知拡大に向けて、2月1日から3月31日までの期間限定で、オンラインで提供している無料査定を体験できる個室ブース「テレキューブ」を「横浜ランドマークタワー」内に開設した。

 同ブースでは常設のタブレットから直接接客員を呼び出して、予約不要でその場でオンライン買い取りを体験することが可能。買い取り成約後には接客員が利用者の自宅に日時指定での集荷手配を行い、商品を後日発送してもらう仕組み。ブランディアのイメージキャラクターであるタレントの菜々緒さんを起用するなど、注目されるビジュアルデザインで展開した。

 リアル、オンラインの様々な角度から買い取りの選択肢を提供することで、今後もより多くの利用者を開拓していく。


フリマアプリ台頭も影響、購入先の使い分けも進む

 リユースECの市場が年々拡大している理由として、おそらくは消費者が中古品を通販で買うという行為に対して抵抗感が以前よりもかなり薄まり、一般化してきていることがあるだろう。

 今回取り上げた2社だけでなく「メルカリ」なども含めた大手フリマアプリが次々と台頭しているのも、その後押しとなっている。加えて、消費者側の事情としても、近年はあらゆる生活品の値上げが続いているため、使わなくなった手持ちのものを少しでも現金化したいというニーズが拡大。あわせて、なんとか安く商品を手に入れたいため、新品・中古に拘らないというケースが増えているのではないだろうか。

 また、リユース品を通販で買うということが一般化されていく中で、消費者が買う商品によって、利用するサービスを選んでいる傾向もうかがえる。とにかく低単価で真贋の有無をそこまで求めていないような価格帯の商品であれば、CtoCのマーケットプレイスの方が商品数も多く、使い勝手も良い。一方で、お得に買いたいけれども偽物商品や保管状態など商品への不安を確実に払拭したいという条件であれば、間に真贋判定などもできる専門企業が介在しているプラットフォームを利用する。こうした住み分けができていることも市場が成熟していく上で必要な変化に感じられる。

 今後は、商材ジャンルの拡大や購入単価など、さらなる変化も予測される。リユースEC市場の更なる進化に注目したい。
 
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