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2021.11.18

アリババ、京東とも流通額が最高に「中国独身の日セール」、ヤーマンら日本の事業者も売上伸ばす

 11月11日を最終日として、概ね10日間開催されている中国などアジア地域で最大規模となるECセール「独身の日」が今年も行われた。中国で現在、巨大IT企業へのEC販売規制が強化されている中、中国仮想モール最大手のアリババグループでは例年のような派手なプロモーションなどは行わなかったものの、前年のセール期間の流通総額を超えるなど好調さを維持。また、同セールに合わせて越境ECの拡販を強化した日本の通販実施企業も成果を出せたところが少なくなかったようだ。日本においても、もはや一大商戦となっている「独身の日」の今年の状況は。
 
 中国最大手の仮想モール「Tモール」を運営するアリババグループが実施した今年のECセール「天猫ダブルイレブン(独身の日)」の流通総額(11月1日~11日の累計)は前年比約16%増の約5403億元(約9兆6173億円、1人民元=17・8円のレートで換算)だった。前年の流通総額4982億元を上回った。

 同社によると、今年は過去最大となる29万ブランドが参加し、うち65%が中小企業、工業地帯にある製品メーカー、新ブランドだったという。また、新興地域にある農業地帯は、農業製品の流通総額が前年比20%増となるなど、好調に推移した。

 78ブランドの売上高が去年の1000万元レベルから1億元を突破し、698のブランドの売上高が100万元レベルから1000万元レベルに増えた。商品を購入した消費者のうち、45%以上が1990年以降の生まれだった。特に、2000年以降生まれの消費者は前年比で25%増となった。

 中国国外のブランドは2万9000以上が参加。「天猫国際」で130万以上の新商品が発売された。このうち、2800以上のブランドは初参加となる。

 日本に関しては今年9月、天猫国際が運営する海外直送(Tモール海外フルフィルメント)において、日本倉庫が備蓄された商品数は、前年同期比で10倍以上増加したという。また、アリババ傘下の物流プラットフォーム「菜鳥(ツァイニャオ)」が展開する中国保税倉庫の日本ブランド全体の在庫数は、今年9月から10月までの期間、前年同期比で286%増加した。11月1日の第1弾販売の開始から半日間で、53のブランドの売り上げが昨年の20日間の売り上げを上回ったという。

 一方、直販EC最大手の京東集団(JD.com)の独身の日セールの流通総額(10月31日~11月1日の累計)は、前年比約29%増の約3491億元(約6兆2139億円、レートは同上)となり、前年の2715億元を上回って過去最高を記録した。

 31ブランドの売り上げが10億元を超え、米アップル製品は100億元超の売り上げとなった。家電製品やハイエンドスマートフォン、農産物、アパレルなどが好調に推移。また、グローバルに販売された商品の数量は前年同期比27倍だったという。

 現在中国では、貧困格差の是正を目的に、昨年以降、EC事業者を含む大手IT企業への規制を強化していることから、アリババでは環境への配慮を理由に昨年までのような大規模なイベントなどは行わなかったものの、ECの一大セールという認知度は消費者、事業者ともにすでに浸透しており、今年についても順調に流通総額を伸ばしたようだ。

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