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2020.01.16
ダイドーフォワード ECと店舗の顧客情報統合へ、8月メドにサイト刷新、EC限定ブランドも始動
トラッドスーツなどを製造・販売するダイドーフォワードは、今期(2020年3月期)からスタートした3カ年計画で自社ECと実店舗の連携を強めるほか、ECチャネル向けの商材開発に力を注ぐ。
EC売上高の大半を占める自社ECでは今期、主力の通販サイト「NYオンライン」(画像)で実施しているEC購入品の店舗受け取りサービスについて対象店舗を約40店舗に拡大した。郊外店など在庫を潤沢に供給できていない環境をウェブ上の仕組みで補完。店舗で受け取れるようにすることで来店機会の拡大や、店舗受け取りは送料無料になることから、EC利用の拡大にもつなげる。
従来はニューヨーカー銀座フラッグシップショップなどの都心店が受け取り対象店舗で、職場から帰宅する途中に商品を受け取るケースが多かったが、郊外店では店頭スタッフが同サービスをうまく勧め、店頭でサイズ・色欠けしているアイテムや、店頭の品ぞろえにない商品の販売につなげているようだ。
昨年秋からはアウトレット店も店舗受け取りの対象としたことで、同サービスの利用件数も増えてきているという。
今後は、収益力強化に向けた基盤づくりとして、自社ECと実店舗の顧客管理システムの統合に踏み切る考えで、今年8月をメドにシステムをリプレイスする計画だ。顧客情報、会員プログラムを一元化することで、店頭スタッフはユーザーが自社ECと実店舗で何を買ったのかを把握しながら接客することができるようになる。
システムリプレイスに合わせて「NYオンライン」では、ブランドの魅力をしっかり伝えられるページ作りに力を注ぐ。現状も商品の販売だけでなく、”装いのコンシェルジュ”としての役割をECに持たせ、ネクタイの結び方やマフラーの巻き方といったハウツーの情報を発信しているが、トラディショナルなブランドとしてファッションの”流儀”を伝えるコンテンツや、購入後の手入れ方法など商品を長く使ってもらえるようにすることで、ブランド価値を高めていく。
また、ブログ機能やスタッフコーディネートなど、人や服の着方にフューチャーしたコンテンツを強化したい考え。
顧客情報の一元化を最優先にリプレイスに取り組むが、オムニチャネルサービスも段階的に拡充する方針で、EC購入品の受け取りだけでなく、店舗試着予約サービスなども視野にあるようだ。
商材開発強化 シプリが始動
一方の商材開発については、昨年8月末にEC限定ブランドの「SIPULI(シプリ)」をスタートした。同社は主軸ブランドの「ニューヨーカー」が昨年に55周年を迎え、ブランドともに顧客も年齢を重ねてきたことや、会社の活性化を図るためにも次世代ブランドを開発する必要があると判断した。
ターゲット層は30代以上の子育て世代の女性で、自分や家族の心地良い暮らしを心がけている女性に向けたサステナブルかつファッショナブルなブランドで、スマホを顧客とのタッチポイントとしたデジタルコマースを推進。将来的にはブランドを体験できるショップの開設も検討しているが、決済はECというような同社として新しい販売手法を見出していきたい考え。
中心となる商品はワンピースやオーガニックコットンのカットソーなどで、コットンはオリジナルのレシピで糸の撚りや混紡を工夫し、肌触りの良さやハリ・コシを大事にしている。今冬はアクセサリーを含めて60品番程度を展開。20年春シーズンには70品番程度を投入する予定だ。
「実店舗がメインだとさまざまなコストが発生するが、ECチャネルでは良い商品を適正な価格で販売できる」(横田浩之デジタルマーケティング部eコマース課課長)とし、コストパフォーマンスの良さで勝負するが、「商品の良さをウェブで伝える努力と工夫は課題」(同)とする。
売り場は「NYオンライン」に加え、外部モールの「ゾゾタウン」と「アイルミネ」「フラッグショップ」「ストライプデパートメント」に出店し、認知拡大と新客開拓を図っている。
現状はインスタグラムを軸に情報を発信。インフルエンサーマーケティングにも取り組む。売り上げはこれからのようだが、ペルソナ像に近い住居エリア、年齢層のユーザーが購入しているという。
なお、同社のEC事業は、前期は2ブランドを休止した関係で苦戦したが、今期のEC売上高は前年比8・0%増の11億3500万円を計画。22年3月期には15億円、EC化率12%を必達目標に掲げている。