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2019.05.09

【アクティブソナー 中古ブランド品ECの成長戦略は?㊦】 国内の販売も順調に拡大、三越伊勢丹の店頭に窓口設置、フルフィル拠点も拡充

 

 ハイブランドの中古品を扱う通販サイト「RECLO(リクロ)」を運営するアクティブソナーは、国内市場でも順調に成長しているようだ。

 マクロで見ると、足もとの国内リユース品市場は成熟してきており、街の質屋を含めてリユース品を扱う企業は商品集めに奔走し、販促費用も上昇。市場はレッドオーシャン化し統廃合も起き始めている。

 そうした中、売り値を伝えて適切な価格で買い取るという透明性の高い「リクロ」の事業モデルが支持され、サービスを繰り返し利用してもらえているという。昨今は中古品をネットで簡単に売買できるインフラは整ってきたが、今後は「量だけでなく質も伴うリユースサービスの時代になる」(青木康時社長=写真)と見ている。

 アクティブソナーでは異業種も含めて提携先を順調に拡大。昨年は2月にマガシークが運営する通販サイト「アウトレットピーク」のユーザーに「リクロ」で扱うブランド中古品の販売を始めたほか、7月にはエニグモとの協業関係を強化し、同社運営の仮想モール「バイマ」のユーザーが過去に購入した商品を下取りに出すと、その場で新品の価格が割り引きになる「ソク割」サービスを共同で開始した。

 8月にはディノス・セシールとの協業で、同社の「ディノスオンラインショップ」内でブランド品の買い取りサービスを展開するなど、リユースサービスの機能提供によって提携先ネットワークを拡大し、ブランド中古品の調達力と販売力を高めてきた。今年に入っても三越伊勢丹との協業を強化。4月からは同社の旗艦店である伊勢丹新宿本店と三越銀座店に「リクロ買取ご相談窓口」を開設するなど提携先を増やし、結果として消費者がよく見るサービスとして「リクロ」も浸透し始めている。

 三越伊勢丹グループとは2016年に三越伊勢丹グループと資本業務提携し、同社が抱えるMIカード会員向けに専用サイトを通じてブランド品の委託販売と買い取り、購入サービスを提供。利用者は順調に増え、百貨店顧客との相性が良いことを確認できた。

 「リクロ」の主要ユーザーはスマホやネットを普段から利用する30~40代が中心で、60代以上は少なかったが、百貨店利用者はアッパー層が多く、これまで弱かった年配者へのアプローチを強化するためにも、「オンラインだけでなくオフラインにも出ていくべき」(青木社長)と判断。両チャネルでシームレスにサービスを提供できるようにした。

 

 百貨店店頭の買い取り窓口には新規採用した実店舗スタッフを配置したのに加え、「リクロ」で買い取り対象のハイブランド品やファッションカテゴリーにとどまらず、骨董品や宝飾品、着物、アートなども扱うことで、百貨店顧客層のニーズに対応するほか、出張引き取りも行っていく。

 売り場の拡充もあり、「リクロ」は”商品が早く売れるサイト”として認知されてきているようで、値下げをしなくても仕入れた商品の60%が1カ月以内に売れ、3カ月後には80%以上が売れるという。

 アクティブソナーでは海外向け販路も広げていることから、日本国内ではあまり人気がない商材であっても、中国では高く売れるとか、日本では季節外れなアイテムも南半球ではニーズが高いといった具合に商品が最大価値で評価され、出品者に高還元できるサイクルが整ってきている。

 足もとでは、取り扱い商品の増加に伴い、4月15日にフルフィルメントセンターを東京・芝浦に移転し、従来の約2・5倍となる1500平方メートル程度に倉庫面積を拡張した。同拠点はハイブランド品の鑑定や撮影などのささげ業務と保管機能を持つ出荷センターで、出品されたブランド品の靴やバッグなどの臭いを除去するオゾン脱臭装置も設置した。

 なお、同社は国内の順調な伸びと海外販売の拡大で、売り上げの伸び率は18年が前年比約2倍となり、19年は同2・5倍を計画するという。(おわり)

 

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