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2019.05.09

【メチャカリ部の澤田昌紀部長に聞く ストライプインターのサブスク戦略】 有料会員数が1.3万人に、サブスクは「言葉が独り歩き」

 

 「アースミュージック&エコロジー」など衣料品ブランドを展開するストライプインターナショナルのファッションサブスクリプションサービス「メチャカリ」が好調だ。メチャカリは専用アプリから月額5800円で新品の服3アイテムを借り放題できるというもの。春夏商品の投入に合わせてCM放映を実施し、有料会員数を増やした。2015年9月のサービス開始から順調に拡大し、定額制のサブスクリプションサービスの中で数少ない成功事例とも言える。サービスを統括する同社メチャカリ部の澤田昌紀部長(=写真)に戦略を聞いた。

 ――3月末にはアイドルグループを起用してCMを放映したが、その成果は。

 「CMにより有料会員は1万3000人になった。毎年1・5倍のペースで伸びている。CMは年に一度、9月や10月などアパレルが伸びる秋に放映していたが、今期(2020年1月期)はメチャカリの広告宣伝費を3億円増額したこともあり、春夏ものに合わせて放映した。今期は秋冬にもCMを打つ可能性はある」

 ――宣伝費の増額の理由は。

 「事業が順調に伸長し、採算が取れる見込みがたったことにある。広告宣伝費を除くと、昨年時点ですでに黒字化は達成している。サブスクはストック型で増えていくので、広告宣伝費は翌年にインパクトが出る。投資してもきちんと見返りが得られるくらいの事業規模になった。サービス開始時点の投資は認知向上が目的だが、今は計画の中でリターンが得られるであろう投資と言える」

 ――以前からCMでは「レンタル」ではなく「サブスク」という言葉を打ち出している。

 「当社の場合、新品のアイテムを貸すのが最大の差別化だと考えている。その意味でレンタルだと中古のイメージがあるため、それを払しょくするのが狙いだ」

 ――昨今サブスクに参入する企業は多いが、成功事例は少ない。

 「サブスクはすぐに儲かると思われがちで、言葉だけが独り歩きしている。成功事例として話題に挙がるのもネットフリックスなど1兆円の規模のサービスで現実味がない。音楽や動画などのデジタルコンテンツは利用者が増えるほど原価が下がるが、服の場合は利用する人が増えると原価がかかる。変動比率が高いと言える。事業計画を間違うと赤字になる」

 ――具体的には。

 「例えば、月1000円でコーヒー飲み放題の場合、原価が1杯100円とすると月6杯であれば400円儲かるが、20杯飲まれると、1000円の赤字になる。そこで1日1杯などの制限がつく。つまり最初に打ち出した月1000円の見立てが間違っていたことになる」

 「ファッションはこれに原価だけでなく、運賃もかかる。平均的に片道600円として往復1200円。これも毎月何回往復するかの想定を間違うと赤字になる。そこで慌ててサービスの利用回数に制限をつけると、サービスそのものが変わってしまう。このように、実際にやってみて儲からないと気づくケースは少なくないだろう。当社の場合で言うと、もっと頻繁に借り換えるであろうと想定していた。つまり悪いほうに考えて価格を設定した」

 ――それが上手くはまったと。

 「フタを開けると、借り換えの頻度は想定よりもゆるやかだった。ただ、それで儲かるからいいと思っているわけではなく、もっと借り換えてもらいたい。サービスを楽しんでもらい、利便性を感じてもらいたい。そのためにコーデを案内するチャットボットを搭載したり、物流面の改善などを進めている。それにより結果的に継続率は高まり、会員増のスピードも上がっていくと考えている」

 ――メチャカリと自社通販サイト「ストライプクラブ」との相乗効果は。

 「ストライプクラブとメチャカリは顧客属性が違う。現状は大きな相乗効果はないが、メチャカリで新規がとれており、顧客を食い合っていないとも言える」

 「倉庫はECと同じ場所で保管している。発送も同じ作業で、メチャカリはそこに返却が加わる。中古のアイテムは1点ずつ返却されるので、その検品の仕組みなどをシンプルにすることで、儲かるか儲からないかも分かれてくる」

 ――メチャカリの今期の目標は。

 「会社としては有料会員数2万人を目指している」

 

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