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2019.02.07

【ベルーナ・「ジーラ」創刊の狙いは?②】 企画開始を2カ月後ろに、商品にトレンド盛り込みヒットへ

 ネットを意識する上で重要となるのは「トレンドを取り入れた商品を掲載する」ことだ。カタログの弱点は、どうしても商品企画から実際の発行までに期間が必要なこと。例えば1月発行の春号であれば、企画がスタートするのは前年4月末。これでは発行時のトレンドとのずれが生じる恐れが高くなる。

 今年春号の企画スタートは昨年7月初め。つまり、始まるのが約2カ月遅くなったわけだ。「制作会社や印刷会社にご協力いただき、カタログの制作・撮影・校正にかける時間を短縮した。そうしなければトレンド情報を盛り込めず、売り上げを拡大することができない」(鎌田祐介室長代理)。トレンドとずれていると売り上げは伸びにくくなるが、2カ月スタートを遅くしたことで、前シーズンのトレンドを活かしやすくなった。亀野綾香主任は「市場調査や情報収集についても大きく変更した」と話す。

 例えば今回のカタログであれば、パーカーやデザインレギンスがこうした商品にあたり、売れ行きは非常に良いという(写真は該当商品を掲載したカタログのページ)。「従来なら企画スタートに間に合わない時期でも情報収集が可能になり、商品に反映することができた。パーカーは韓国出張の際に得た情報を落とし込めたし、デザインレギンスについては『流行しそう』というベンダーからの情報や、競合通販サイトの売れ筋ランキングなどを参考にすることができた」(工映子チームMD)。今後発行する夏号についても、こうした経緯で製作された商品を多数投入する予定だ。工チームMDは「やり方は間違っていないし、このスケジュールがベストなんだと感じている」と自信を口にする。

 カタログにおける商品の”見せ方”も変えている。従来であれば「赤文字系のエレガンスページ」や「赤文字系のカジュアルページ」など、テイストを区切った見せ方をしていた。ただ「最近はテイストをまたいだトレンドの流れが来ており、これまでの見せ方では間口を狭める結果となっていた」(鎌田室長代理)。

 今回からは大幅に見直し、テイストではなく、「売り方」や「コンセプト」で見せる方式に変えた。「今までは”甘系”アイテムであれば甘系コーディネートで統一していたが、”甘辛ミックス”でも見せるようにしている。より顧客の間口を広げるためのビジュアルを重視した」(同)。「私はこのページしか買えない」という構成ではなく、万人が「私でも着られるかも」と思えるような構成に変えたという。

 価格についても、これまでは中心となる価格は2990円だったが、1990円に下げた。その狙いについて、亀野主任は「より買いやすい価格にすることで、新規の顧客を獲得したい」と説明する。ただ、当然ながらライバルは多く、安さだけではアピールできない。「カタログの紙面に落とし込む際のビジュアルの良さや品質を維持しながら、できるだけお手頃な価格を実現した」(亀野主任)。

 ”プチプラ”商品を強化する上で「安かろう悪かろうと思われないようなMDは心がけている」(工チームMD)という同社だが、同等と思われる品質の競合商品を購入・検証は欠かさないという。工チームMDは「1990円の商品であれば、できる限り3990~4990円くらいのクオリティーは実現したいと思っている。それを実現するためのベンダーを探し、作ってもらわなければいけない」と説明する。

 鎌田室長代理は「20~30代女性がターゲットのアパレルネット販売専業で伸びている会社は多く、品質や商品のデザイン、価格などは意識している」と話す。

 近年は他社商品も含めて、レビューを見ることである程度顧客満足度を把握することができる。実際に商品購入し、品質を検証しながら満足度の高い商品づくりにつなげている。生地の品質はもちろんのこと、生産する工場も重要になってくるという。

 ネットを主軸とする上で、カタログの役割や位置づけはどうなるのか。「紙媒体を持っている強みは必ずある。当社で培ってきたマーケティング力は大きく、ネットへの誘引も含めて紙媒体の使い方を工夫していきたい」(鎌田室長代理)。ネットで購入した顧客に対し、再来訪を促すために紙媒体を送付するといった取り組みも検討している。「もっと通販サイトに来てもらうための紙媒体活用はできていなかったので、これまで以上に強化する」(同)。

 春号に関しては、発行部数に対しての売り上げ効率指標を約10%伸ばす計画だ。ネットでの売り上げは2月中旬にピークになることから、結果が出るのはこれからだが「間口を広げたことと値下げにより、顧客数は増えており、手応えは感じている」(同)とする。

 今後はネットにおけるヒット商品を増やすために、売り方やMDのブラッシュアップを続けていく。また、SNS活用に関しても「まだできてない部分なので、カタログとの連動なども含めて、うまく使っていきたい」(亀野主任)という。(おわり)

 

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