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2019.07.30
お客様第一主義とユーザー中心デザインの違い
デザイン思考のゴールの1つが、顧客の視点に立って物事を考え、そのニーズに即した商品やサービスをデザインすることになる。
しかし、これを聞いた多くの人々が「そんなの以前からやっているよ」と言う。そう、世の中の多くの企業は、すでにお客様からの意見を最優先し、それに即したサービス作りや改善を日々行なっている。
なぜ今さらデザイン思考が特筆すべき存在になっているのだろうか?おそらくその理由は、いわゆる ”User Centered Design (ユーザー中心デザイン) ”と呼ばれる概念を通じて、ユーザーも想像だにしなかったようなイノベーションを生み出す事が可能になるからである。
どうして、今までの、お客様第一主義からはなかなか世の中を驚かせるようなソリューションが生み出しにくいのだろうか?
おそらくその理由は、お客様第一主義とユーザー中心デザイン (UCD) が、似て非なるものであるからだろう。
お客様第一主義 ≠ UCD
ビジネスやプロダクトデザインにおいて、お客様の声を最優先することは一見当たり前のように感じる。しかし、お客様の声をそのまま商品に反映するのと、その潜在ニーズをより深く理解し、顧客の想像を超えるレベルのプロダクト作り出すのとでは、結果に大きな差が生まれる。
少し前に話題になった「ここがちゃうねんデザイン思考」にも紹介されている通り、ユーザー視点で物事を考えることは、顧客の言うことをすべてやることではない。
特に危険なのは、お客様のことを考えて、と考えるが故に、いつの間にかユーザーの御用聞きになってしまっている状態。実は、多くのユーザーは自分が本当に欲しいものを100%理解しておらず、言われたことをそのまま形にしたとしても、多くの場合、失敗におわってしまう。