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2018.06.14

【ピッティ・ウォモ2019春夏 ハイライト1】カラフルなスポーツ&リゾートトレンドとオータムカラーを中心としたレトロトレンドが同時進行

ピッティ・イマージネ・ウォモのランドマークである広場

 6月12日、第94回ピッティ・イマージネ・ウォモが伊・フィレンツェのフォルテッツァ ダ バッソで開幕した。今回のテーマは“P.O.P Pitti Optical Power”。メインパビリオン前の広場ではカラフルなオプティカルペイントを施したマネキンがずらりと並ぶインスタレーションが。また、これまではインスタレーションのみで立ち入り禁止だった場所の一部にビーチハウスのようなドリンクスペースを作るなど、目前に迫った夏のバカンスを連想させるような楽しくリラックスした雰囲気だ。

新パビリオン「I GO OUT」

 そんなテーマに通じるかのように、カラフル&ジョイフルなテイストが全体的に流れている。これは今回、“リゾート”や“トラベル”が全体的なムードになっているということ、そして同時に昨今のスポーツ&アウトドアのトレンドがますます色濃く出ていることもあるだろう。そんな流れを象徴するかのように、今回のピッティから新パビリオン「I GO OUT」が登場。スタイル、機能性、クオリティを備えたアウトドアスタイルを提案するブランド陣が揃う。

ジーゼニア

バリー

 今回、テニスプレーヤーのアレクサンダー・ズヴェレフの“ゼニアフェイス”就任をお披露目した「ジーゼニア(ZZEGNA)」は、テニスをテーマにスポーツウエアとテーラリングを追求したコレクションを発表。洗えるアウターの「ウォッシュ&ゴー」シリーズを強化するなどハイテク素材の追及にも余念がない。奇しくも、同じテニスというテーマでコレクションを展開した「バリー(BALLY)」は、1991年にテニスプレーヤー、ジャコブ・ラセックが使用して優勝したアーカイブモデルのスニーカー「チャンピオン」を復刻させ、「スマッシュ」、「コンペティション」の新色と共にスニーカーラインを強化する。

シーズ

ポール&シャークとニック・ウースターのコラボコレクション

 スポーツテイストのコレクションにおいて、切っても切れないのがハイテク素材やディテール加工の革新だが、そんな中、トラディショナルなテーラースタイルを守りつつイノヴァティブなテクノロジーを極めた新スポーティカジュアルブランド「シーズ(SEASE)」がデビューした。SEA=海とEASE=自由を組み合わせてできた名前の通り、リラックスしたスポーティカジュアルブランドだが、創立者はかのロロ・ピアーナファミリーのフランチェスコ&ジャコモ・ロロ・ピアーナ兄弟。故に、サステナビリティを意識し、自然素材を使って、コンテンポラリーかつエレガントに表現している。

 クラシックやブランドの本質を意識しながら、革新を入れ込むという意味では、「ポール&シャーク(PAUL&SHARK)」のニック・ウースターとのコラボカプセルコレクションにも注目。ニットウェア、ロゴやディテールなどブランドのオリジンの部分を大事にしながら、カラー、プリント、パッチワークでパンチを効かせたコレクションだ。

ロダ

ラルディーニ

 また、リゾート、トラベルを強く意識したブランドも多いが、特に「ロダ(RODA)は、「ラグジュアリー・リゾート・ウエア」というテーマで、全コレクションをリゾートウエアだけに専念するという大胆な試み。フラワーモチーフやトロピカルなプリントや刺繍が各所に使われ、カラフルで楽しいコレクション。「ラルディーニ(LARDINI)」もテーマは「フレンチリヴィエラ」とし、1940~1950年代のルネ・グリュオのイラストからインスピレーションされたレトロテイストに1970年代の色使いをミックス。またスポーティラインの「イージーウェア」シリーズも強化され、全体的にカラフル&スポーティ。だが、それと対照的に「サルトリア」シリーズはかたくなに英国調のクラシックなテイストを強化。今回のコレクションのために英国で独自に開発した軽量化された生地。コレクション数も絞ったよりこだわりのあるコレクションに仕上がっている。コロニアルテイストを継続させ、色使いもあえてブラウンを基調とした暖色系のアースカラーがメインだ。

ラルディーニ

ブルネロ・クチネリ

ザ・ジジ

 同様に、夏らしい明るい色をあえて使わないブランドも多いというのは、カラフルトレンドと対極をなしていて興味深い。例えば「ブルネロ・クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」は“ダイナミックディスティンクション”というテーマで、「華麗なるギャッツビー」のような1920年代のエレガントスタイルを意識。全体的にスポーティなトレンドを反映し、テニスやゴルフなどのディテールを入れながら、1920年代のスポーツの中にもエレガンスがミックスしていた時代のテイストを提案する。が、ここで使われている色使いは、オフホワイトやライトグレーなどの優しい色に加え、タバコ、ベージュ、ワインレッドなどの秋冬に使われるようなスモーキーな色使いが目立つ。また「ザ・ジジ(THE GIGI)」でもオレンジ、グリーンなど強烈なアシッドカラーの素材をガーメントダイで仕上げることで、スモーキーでくすんだ色にしたり、ポリエステルなどモダンな素材もガーメントダイで仕上げてくたっとしたテイストを出すなど、春夏らしからぬ雰囲気をあえて出している。

取材・文:田中美貴

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