NEWS
2023.04.15
「ミキオサカベ」が2023秋冬コレクションを発表 “ゴミ屋敷”をテーマにしたランウェーショー
「ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)」は2023年4月14日、東京・新宿のウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会で2023秋冬コレクションを発表した。
リリースに「テーマは”トリロジー (trilogy)”。プロダクトの発展をテーマに感情表現を模索しました。ジャケットをはじめとするプロダクトの経年劣化と身体との融合によって、あきらめた後に訪れる希望の心地よさを表現。服にのみデザインを入れるのではなく、心とプロダクトの関係性にのみデザインをすることで、多角的な可能性を感じるコレクションにしました」と書いた今シーズン。
美しい教会には青や黒、白のゴミ袋が積み上げられ、2階の客席まで届くほどの山を作り、幾つもの窓も捨てられている。ランウェー中央にはたくさんのハンガーラックが並び、長い列を作り、そこには埃をかぶったジャケットやシャツ、ドレスなどがかけられている。SDGsやサスティナブルということなのだろうか。
コレクションは手が見えないほどオーバーサイズの白いシャツと黒のパンツ、会場に置かれたジャケットのように、襟や肩にほこりが乗ったように見えるグレーのシャツとアシメトリーなミニスカートからスタート。構築的で美しいテーラードジャケットも肩や襟の一部がほこりをかぶったようなデザイン。シャツの襟付近だけを残したアイテムやフリルの付いたシャツと組み合わせる。モデルの頭にもほこりを乗せている。
アクセントとして登場したのは、青や黒のゴミ袋のようなオフショルダードレスや、スリットを入れたジャケット。ゴミ袋を着てしまったようなムードのトップスは、オーバーサイズのジャケット、裾のほつれた布を巻き付けたようなミニスカートとコーディネートする。マニッシュとフェミニン、テーラードジャケットやパンツ、シャツなどの美しさをはじめとするプラスのイメージとほこりやゴミ袋などマイナスのイメージなど、相反する要素が共存している。
また、後半にはゴールドやシルバーのドレス、光沢のあるピンクのパーティドレスなども登場。キラキラしたドレスも、遠くからは、一瞬、エレガントなドレスやゴージャスなドレスにも見えるが、総合ディスカウントストアや雑貨店・ライフスタイルショップなどにもありそうなチープな素材を使い、ファッションにした、という。
今シーズン、楽天ファッション・ウィーク東京でも多くのコレクションで見られた美しい服作りや本質的な服作りと、SDGsやサスティナブルから求められる、長く着られる服という要素もありながら、「ミキオサカベ」らしい視点と演出でひねりを加え、これまでとは違う新しいアプローチにも挑んだコレクション。
坂部三樹郎は今回のショーについて「ゴミ屋敷をテーマにした。引きこもりで、ゴミ屋敷に住む人がすべてをあきらめた後には外に行きたくなるのではと考え、久しぶりに外に出た感じにした」と説明。
また、リリースについて問われると、「デザインするときにはデザインをメインにすることが多かったが、最近は、服自体はプロダクトに徹底し、どちらかというと、その発展や人が生活する中でファッション性をどう入れるのかということがやりたかった。肩の形をとがらせるなど、服にデザインを入れるとわかりやすいけど、後に残らない。全体の中で生まれるものに興味があったので、そこに徹底してデザインはわかりやすくしなかった」などと話した。
取材・文:樋口真一
Courtesy of MIKIO SAKABE