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2023.02.09
「シンヤコヅカ」2023秋冬コレクション 落語やアートなどの考えを取り入れ、見る人によってニュアンスや解釈が変わる服を追求
「シンヤコヅカ(SHINYAKOZUKA)」は2023年2月7日、恵比寿ザ・ガーデンホールで2023秋冬コレクションを発表した。
「理解される服ではなく、解釈される服を」という同ブランド。“SUPPLYMENT SCAPE(補完する景色)”、“OTHER’S PROJECTION(他人からの投影)”、“WORD PLAY(言葉遊び)”のキーワードを軸にコレクションとして構成した今シーズン。落語やアートなどの考え方や本質、表現手法を取り入れ、見る人によってニュアンスや解釈が変わる服を更に追求したコレクションを見せた。
文字を入れたエプロンと下着風の白いアンダーウエアの組み合わせ、ヌードカラーや黒のジャケットなどをキャンバスに見立てて絵を描いたようなデザイン、黒と様々な色の丸、三角、四角を組み合わせてパッチワークのようにしたり、繊細な色の変化で風景や自然を描いたりした、アート作品や絵画のようなジャケットやニット。印象派のような美しさを持ちながら、キュビスムやシュルレアリスムの絵画のようにも見える。
見る人の想像を刺激するデザインは、色彩と線を駆使した表現や音楽を視覚化したことで知られるアーティスト、パウル・クレーの作品をモチーフにしたもの。モデルの目を白や赤、青などの色で眼鏡のように囲んだメイクや、繊細な色や幾何学的な線や色を加えた帽子、小物などもクレーのようなムードを強調する。一見シンプルに見えるデニムジャケットとパンツのスタイリングなども丸や半円、三角、四角などの切り替えをプラスすることでパウル・クレーのようなニュアンスを生み出している。
また、言葉遊びの代表の1つである、袖の長いオーバーサイズ気味のニットは白い文字で「もういやだ」と書きながら、赤い矢印を上向きにし、声のトーンを上げたようなムードをプラスすることによって否定的ではなく、ポジティブな表現にしたという。ヌードカラーのニットには、連想ゲームのように「BUS STOP」や「KIND OF CROW BAR」などの文字が書かれている。
ファーを使ったエプロン、海外の手紙などで使われるシーリングスタンプのような赤いボタンをアクセントにしたデザイン、封筒風なポケットやベルトなどを描いたトロンプルイユが印象的な黒のコートなども登場した。
「落語が好き。それぞれの解釈の違い、受け手によって解釈やニュアンス、景色がガラッと変わるようなコレクション。未完成の美、余白の部分を見る人が埋めて完成にもっていくようなコレクションを作りたかった」とデザイナーは話した。
取材・文:樋口真一