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2022.07.02
ブルックリン美術館でヴァージル・アブロー回顧展が開催 「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー」 限定商品も販売
米ニューヨークのブルックリン美術館で、ヴァージル・アブロー回顧展「フィギュアズ・オブ・スピーチ(Figures of Speech)」が2022年7月1日から開催している。
ヴァージル・アブローは1980 年生まれ、2021年没。今展覧会は、デザイナーでありアーティストであったアブローの20年間にわたる作品をまとめたものであり、本来は2020年に開催される予定だったものが、パンデミックで延期された経緯がある。
この展覧会は、2019年に「シカゴ現代美術館」で行われた同タイトルの展覧会をベースにしつつ、「バージル・アブロー・セキュリティ」社が協力して成立したもので、生前のアブローが、今展覧会のために作っていた作品もあり、また今までにない未発表作品も公開されている。
ヴァージル・アブローはガーナ系移民の子として、シカゴで育ち、大学で建築を学ぶかたわら、音楽とファション、アートとの交叉に興味を抱き、2007年にカニエ・ウエストのクリエイティブチームに加わり、アルバムカバーの製作に係わる。
2013年にはアブローのブランドである「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」 を設立。そして2018年に「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズ・クリエイティブディレクターに、黒人として初の就任をする。
今展覧会では、アブローの多岐にわたる活動をキュレートして見せており、数多くのスニーカーや、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー」 や「ルイ・ヴィトン」で発表したファッションがまず目を引く。
またオブジェのアート作品や、DJとしての音楽作品、アルバムカバーデザインやステレオ、建築や商業デザイン、映像作品など、驚くほど多彩な作品が展示されている。村上隆とのコラボ作品や、ブラウン社とのコラボレーションによるスピーカーとリールプレイヤー、ラジオ、アンプを一体化させた作品など、コラボの仕方も興味深い。
圧巻なのが、会場の中心におかれた「ソーシャル・スカルプチャー」と名づけられた木の家で、これがアブローの最後のプロジェクトにあたる。この「ソーシャル・スカルプチャー」は、アーティストを始めとして、さまざまな人たちが「物理的に」集える場所として設計したものだという。これはアブローによる、歴史的に黒人アーティストや黒人たちにとって文化的な研究所で集える場がなかったということに対抗する作品となっている。
今展覧会から、ストリートカルチャーとアート、ファッションをつなげたアブローの先見性のあるクリエイションがうかがわれ、知とデザインの巨人の偉業をたどることができるだろう。
またこの展覧会ではミュージアムショップに並ぶ限定商品が、非常に充実しているのも特徴だ。アブローのデザインを生かした「F.O.P(フィギュアズ・オブ・スピーチ)」限定ウェアはフーディ、Tシャツ、パンツ、キャップやトートバッグなど、多くのアイテムが揃っており、加えて「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー」 の限定ウェアも販売される。
また展覧会目録の本の他、ノート、キイチェーン、ステッカー、あるいはアブローの名言録など、さまざまな商品が展開。ブルックリン美術館のオンラインショップでも購入できる。
文・撮影:黒部エリ
■ヴァージル・アブロー回顧展(Virgil Abloh Figures of Speech)
開催場所:Brooklyn Museum
200 Eastern Parkway, NY 11238
開催期間:2022年7月1日~2023年1月29日
ブルックリン美術館公式サイトはこちら