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2017.02.14

三陽商会が新経営計画で中期売上目標800億円 衣料品以外の事業開発も


新経営計画を発表する岩田功社長

 

 バーバリー事業終了後の業績不振が続く三陽商会(東京、岩田功社長)がきょう14日、新経営計画「Sanyo Innovation Plan 2017(SIP2017)」を発表した。直営・EC事業にリソースを集中させるとともに、衣料品販売にとらわれない新規ビジネスモデルの開発にも着手。ライフスタイル全般に渡るサービスを提供する総合ファッションカンパニーへの構造転換を急ぐ。2019年度には売上高650億円・営業利益20億円を計画。中期目標として売上高800億円、営業利益率5%、ROE5%を目指す。

 同日発表した2016年12月期連結業績は、売上高が前年同期比30.6%減の676億1,100万円、営業損失84億3,000万円、経常損失81億9,600万円。純損失は過去最低の113億6,600万円だった。2015年7月以降に立ち上げた新規2ブランド(「マッキントッシュ ロンドン」「ブルー/ブラックレーベル・クレストブリッジ)の苦戦が響いた。「バーバリー後継ブランドとして一気に出店しなければならなかったため、過剰在庫を抱えてしまった」と岩田社長。2019年度までの新経営計画にもとづき、粗利益の改善を図るとともに、従来の主要チャネルである百貨店以外の販路開拓や新規事業の立ち上げ、EC事業に注力。数値目標として、2018年度の黒字化(売上高630億円)、2019年度の売上高650億円・営業利益20億円を掲げた。中期的には、売上高800億円、営業利益率5%、ROE5%へと利益体質を改善する。

 新経営計画策定にあたり、岩田社長は、「アパレルメーカーとして培ったものづくりの基盤や生産体制は私たちの強みでもあるが、生真面目な気質ゆえ保守的な体質を生んだ。実際、私たちの主要領域である衣料品は、市場全体の構成比で45%にとどまっている。新経営計画は、継承と革新がキーワード。ものづくりを軸にした既存モデルを時代にマッチするよう進化させつつ、新規ビジネスモデルを創造する。従来の総合アパレルカンパニーから、ライフスタイル全般に渡るサービスを提供する総合ファッションカンパニーへ転換させる」と話した。

 主要施策は大きく4つ。①粗利率は、MDの高度化やサプライチェーン見直しなどで、2019年度には現在の41.8%から50%にまで改善、②EC事業は、商材拡充やパーソナライズ機能強化などで年平均24%成長させ、2019年度には売上高80億円へと倍増させる、③「100年コート」などコートを中心としたコーポレート事業は、新規チャネル開拓や海外への卸を強化し、2019年度に現在の3.5倍となる25億円事業へと拡大、④販売力向上による売上高向上―をあげた。

 加えて、直販型ビジネスやECの活用、都市型商業施設への出店、海外大手ECとの協業、カバーできていない20代後半~30代に向けたリアルクローズ提案、同社が出資するエシカルブランド「Skin Aware」に代表されるエシカル・オーガニック・エコを軸としたブランド商品開発など、既存ビジネスモデルにはない施策も発表した。これに伴い、現在全体売り上げの69%を占める百貨店売り上げは、2019年度には63%とする計画。「M&Aも視野に、3~4つの新規事業を計画している。生活雑貨やエコを軸とし、販路についてもECプラットフォームを活用するなど、複合的な要素を備えたものになる」(岩田社長)と明かした。

 同社は2015秋冬でのバーバリー事業終了を前に、「中期5カ年経営計画」を2014年に発表。2017年度の黒字化、最終2018年度の売上高1,300億円達成などを掲げたが、バーバリーの後継ブランドとして立ち上げた「マッキントッシュ ロンドン」「ブルー/ブラックレーベル・クレストブリッジ」の苦戦などで赤字が拡大し、2016年度中間決算(1~6月)発表時に同計画を撤回した。以来、若手リーダーも起用した経営改革委員会「サンヨー・イノベーション・プロジェクト」を立ち上げ、事業構造の抜本的な見直しを実施。既存7ブランドの廃止や希望退職者250人の募集、売り場170拠点の削減に加え、百貨店以外の新規チャネルへの出店、好調なEC事業のオムニチャネル施策強化策を発表した。意思決定の迅速化を目指した社内組織のフラット化や、シーズンサイクルに合わせた管理会計期間(3~8月、9~2月)への変更、役員報酬額の削減(2017年1月から最大30%)などにも着手。1月1日には、経営企画畑出身の岩田功取締役兼常務執行役員が新社長に就任し、新経営体制を整えてきた。

来期は不採算ブランド・売り場撤退で売り上げ6.8%減

 2017年度の連結通期業績予想は、不採算ブランドの撤退・不採算売り場の削減などにより、売上高が6.8%減の630億円、営業損失30億円、経常損失28億円、純損失14億円を見込んでいる。

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