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2019.01.12

【2019秋冬ピッティ・ウォモ ハイライト2】ストリートに対抗する大人シックの復活

「ブルネロ クチネリ」(画像:ブルネロ クチネリ)

 スポーティやアウトドアの流れが全盛のなか、小さく芽生えつつあるクラシック回帰が見られる点にハイライト1で触れたが、同様にストリートに対抗する大人のシックの復活の予兆も感じられる。確かにシルエットにおいては全体的にゆったりで、ジャケットはアンコン主流、かつラグラン袖などブルゾンとの中間のようなデザインのものまで登場していたり、ジャケットの下はシャツでタイドアップするのではなくニット、またはシャツジャケットだったりするのだが、それを新開発によって生まれる様々な素材で独特の風合いや柄を生み出すことで、ストリート系のテクノ素材とは一線を画するシックさを漂わせるアイテムが多い。

  • 「タリアトーレ」

  • 「タリアトーレ」

  • 「フェデーリ」

  • 「フェデーリ」

 そして色使いでは今回、多くのブランドがブラックを提案しているのが新鮮だった。黒=イブニングスタイルというセオリーを重視するイタリア男たちにとって、デイリーウエアにはなりにくい色だったが、ネイビーに飽きた(すでに持っている)大人の男たちが纏う次の色としての提案だろう。いつも大胆な配色や柄が多い「タリアトーレ(TAGLIATORE)」も今シーズンのテーマカラーはブラック。ラルディーニは“トラベリング エクスペリエンス”というテーマでロンドン、ミラノ、NYの3都市からのインスピレーションで、各都市のイメージで3つに分けたコレクションを発表したが、NYスタイルとしてブラック&ホワイトに黄色の差し色というコーディネートを展開していた。ニットブランドの「フェデーリ(FEDELI)」のようなカラーバリエーションが自慢のブランドさえも、展示では黒のシリーズをあえてアピールしていた。

「ラルディーニ」

 色に関してのもう一つよく見られたのはキャメルやベージュ。そしてそこに赤やバーガンディの差し色。例えば前出「ラルディーニ」の3つのスタイルのうちのロンドンのカラーテーマは、キャメルと赤の組み合わせ。ニットメーカーの「グランサッソ(GRAN SASSO)」もキャメルに赤の差し色がキーとなっていた。

  • 画像:ブルネロ クチネリ

  • 「ブルネロ クチネリ」(画像:ブルネロ クチネリ)

  • 「ブルネロ クチネリ」(画像:ブルネロ クチネリ)

  • 「ブルネロ クチネリ」(画像:ブルネロ クチネリ)

  • 「ブルネロ クチネリ」(画像:ブルネロ クチネリ)

  • 「ブルネロ クチネリ」(画像:ブルネロ クチネリ)

 また「ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」は“ジェントルマン・アット・イース”というテーマでリラックス&カジュアルダウンしたスタイルがメインだが、多用されているのはベージュを中心とした淡い色。そこに同ブランドがバローロと呼ぶワインレッドやブルーベリー色が差し色として使われているのが目を引いた。

東京ファッションアワード

 ところで前々回の高橋盾の「アンダーカバー(UNDERCOVER)」と宮下貴裕の「タカヒロ ミヤシタ ザ・ソロイスト(TAKAHIROMIYASHITA The Soloist.)」による合同ショー、前回の「フミト・ガンリュウ(FUMITO GANRYU)」、「ベッドフォード(BED.J.W.FORD)」・・・とこのところ毎回日本人デザイナー達がピッティでショーを発表し、ジャパニーズファッションへの注目度が年々高まっているが、今回は「東京ファッションアワード 2018」受賞デザイナー6組、「アーネイ(ANEI)」、「チノ(CINOH)」、「ジエダ(JIEDA)」、「ノブユキ マツイ(NOBUYUKI MATSUI)」、「ポステレガント(POSTELEGANT)」、「レインメーカー(RAINMAKER)」が会場内にブースを構えた。

  • The Japanese White Leather Project

  • The Japanese White Leather Project

  • The Japanese White Leather Project

 また、姫路の伝統製法「白なめし」(塩と菜種油のみでタンニンを使わない独特のなめしで、いまやこのなめしができる職人は1人しかいない)によるレザーに焦点を当てたプロジェクト「The Japanese White Leather Project」のもと、江崎賢の「エド ロバート ジャドソン(ED ROBERT JUDSON)」、赤坂公三郎による「コウザブロウ(KOSABURO)」、山鹿竜輝の「メアリ オル ターナ(MARY AL TERNA)」、緑川亮の「ミドリカワ リョウ(MIDORIKAWA RYO)」がこの革を使用したコレクションを展示した。外国メディアからも注目を集めており、今後の世界展開が期待される。

「Y/プロジェクト」

例年に比べイベントが少なめで、やや華々しさに欠けるという声も聞かれた今回のピッティだが、そんな中でもゲストデザイナー「Y/プロジェクト(Y/PROJECCT)」、ピッティ・イタリックスの招待デザイナー、「アルド・マリア・カミッロ(ALDO MARIACAMILLO)」、スペシャルイベントとして、「ビヨンド・クローゼット(BEYOND CLOSET)」、「ハキュラ(HACULLA)」のショーが行われた。

グッチ ガーデン(画像:グッチ)

 またピッティ期間中には、「グッチ(GUCCI)」が「グッチ ガーデン(GUCCI GARDEN)」の特別展示室にて「Il Maschile-Androgynous Mind, Eclectic Body」(男-両性具有の心、折衷的肉体)という新たなエキシビションのオープニングと、イタリアのアーティスト、MP5、英国人アーティスト、アレックス・メリーによる新しいウォールペンティングのお披露目イベントを開催。ミラノのストリート系有名セレクトショップ「スラムジャム(SLAM JAM)」は、創立30周年を祝ってマリーノ・マリーニ美術館にてインスタレーションを行った。

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